戸建の方か安い?首都圏のマンション・戸建て事情

不動産経済研究所発表の「首都圏新築マンション市場動向~2017年度上半期」によれば、2017年4月~2017年9月に首都圏で発売された新築マンションの供給戸数は、1万6133戸。東京都区部が、7910戸と半数近くを占め平均価格は、5993万円です。一方、不動産経済研究所発表の「首都圏建売住宅市場動向~2017年度上半期」によれば、2017年4月~2017年9月に首都圏で発売された建売住宅の供給戸数は、1972戸。東京都は、486戸で全体の24.6%で首都圏の平均価格は、4674.2万円です。首都圏全体で見ると、新築マンション価格の方が建売住宅よりも高くなっていることがデータに表れています。
表

2017年上半期の新築マンション 建売住宅の地域別平均価格(出典:不動産経済研究所)※小数点以下は切捨て 東京都新築マンションは、都下と23区のデータから計算 建売住宅の平均価格には、一部茨城県の戸建てが含まれる


建売住宅と新築マンションの供給エリアが必ずしも一致するわけではないので、単純に比較することは出来ませんが一都3県での比較でも、東京都、埼玉県、千葉県で建売住宅が新築マンションの平均価格を下回っています。一方、契約率のデータを見ると新築マンションの平均契約率が68.6%であるのに対し、建売住宅の平均契約率は44.5%。価格が安いからといって建売住宅の方が売れているというわけではないようです(竣工売りが一般的な建売住宅は、初月の成約率が低くなりやすいので単純に契約率比較できない点に留意ください)。事実、前年度の上半期との比較では、新築マンション価格は5.9%上昇している一方で、建売住宅は前年同期比で5.5%の下落となっています。


マンションが高く、戸建が安いのには、理由がある。

新築マンションと建売住宅の価格トレンドの違いは供給の構造である程度理解できます。新築マンション、建売住宅ともに大まかな原価構成は、土地価格と建物価格に分かれます。新築マンションと建売住宅を比較するとその原価を構成する土地価格と建物価格のトレンドが多少異なっているのです。

駅徒歩10分圏の交通アクセスの良い立地での供給が中心となる新築マンションは、駅前の商業ゾーンなど比較的利便性の高い場所での供給が中心となります。こうした駅アクセスの良好な場所は、インバウンドによるホテル需要の顕在化などを受け地価上昇率が高く数年前に比べて大きく上昇しています。

一方、住宅に用途が限定される郊外の住宅地は、商業などに比べ上昇幅が比較的小さい。毎年7月1日時点の地価を都道府県知事が公表する平成29年都道府県地価調査では、東京圏の商業地の上昇率は3.3%のプラス(前年は2.7%のプラス)となっていて、利便性の高い場所の地価の上昇率が高いのに対し、東京圏の住宅地の上昇率は、0.6%のプラス(前年は0.5%のプラス)と伸びが小幅です。

建築費の動向も建売住宅とマンションで異なります。建設物価調査会が発表している建築費指数(2005年を100とする)を見ると、集合住宅RCは、115.5(2017年9月 暫定値)であるのに対し、住宅Wは、105.7(2017年9月 暫定値)。道路建設などにも使われるコンクリートや鋼材の比率が高い鉄筋コンクリートの建設コストは、東日本大震災以降大きく上昇しているのに対し、木材は比較的価格が安定しており戸建て住宅の施工費を抑えています。また、事業資金に資本力を要するマンション事業に比べ、建売住宅事業は資本回転率が高く事業者の参入障壁が低い。こうした背景から、供給が安定していることも価格上昇しにくい要因と考えられます。
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こうした新築の供給動向は、中古市場の価格トレンドにも影響しています。東日本不動産流通機構発表の2017年9月度の月例速報によれば2017年9月度の首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比3.2%プラスの3226万円。一方、中古戸建住宅の平均成約価格は、前年同月比0.8%プラスの3116万円。地価上昇トレンドが続いている中でも、中古マンションに比べ中古戸建住宅の方が上昇幅は小さくなっています。国土交通省が発表している不動産流通価格指数を見てもここ数年のトレンドは、中古マンションの指数が全国的に上昇しているのに対し中古戸建の上昇は限定的。価格が安いからと言って必ずしも戸建てがお買い得とは言い切れないのが実情です。

次のページでは、竣工内覧会のあった「プラウドシティ大田六郷」「ザ・パークハウス 新宿御苑」を例に価格だけでは測れない戸建てとマンションの違いを紹介します。