良いマンションをつくる立地的要因とは?
立地で決まるマンションの階数

メジャーセブンが毎年実施しているマンショントレンド調査では、お金をかけてでもこだわりたいポイントの3位に「住みやすい間取りであること」が、3年連続選ばれています(1位は駅から近いこと、2位は日照採光が良いこと)。しかし、立地によっては良いプランが入らない場合もあります。

マンションをつくるにあたり、土地ごとに用途地域の指定や法規制などがあり、建てられるマンションに制約を受けます。今回は、間取りなどのプラン面から見た良いマンションの立地的要因を考えてみたいと思います。
パークホームズ等々力レジデンシャルスクエア

世田谷の第1種低層住居専用地域に建つパークホームズ等々力レジデンシャルスクエア。階高を十分確保し居住性の高いプランニング

建物を建築する際には建築基準法や都市計画法などの様々な法律があり、多くの制約の上でプランニングされます。例えば、都市計画法の高度地区というものがあります。土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区ですが、例えば建物の高さ制限が15mの地域にマンションを計画すると、一般的に5階建てのマンションになることが多いです。

また、第1種低層住居専用地域では、10mもしくは12mの絶対高さの制限を都市計画で定められるので通常3階建てのマンションが計画されるケースが多いです。

こうした高さ制限は階高に影響をあたえます。マンションの階高はリビングや居室の開放感だけでなく、スラブ厚の確保による耐久性や遮音性、二重床・二重天井による将来の可変性向上にもつながりリフォームもしやすくなります。例えば上記のケースだと1階部分を50cm地盤面より上げたとして、5階・15mなら2.9m、3階・10mなら約3.16mとなります。このケースだと両パターンとも二重床・二重天井は可能ですが、リビングの天井高は10mで3階建ての方が高くつくりやすいです。

20mで高さが制限されている地域もあります。この場合、7階建てのマンションが建てられるケースを見かけます。20m÷7=約2.85mになりますので、階高を確保しにくく、直床・二重天井を採用することが多いです。また1階の地盤面を掘り下げて階高を確保するケースもあります。こうした高さの制限は、マンションのプランニングにかなり影響を与えます。

高度地区の絶対高さ制限は行政によっても異なり、墨田区では指定容積率に応じて、17m、22m、28m、35mに地域によって指定されています。こうした高さ制限のある地域では、容積率が高い地域でも隣接街区に高さ制限がかかっていれば何階以上は眺望が現行法律上は確保されていると言えます。
墨田区

スカイツリーの建てられた墨田区は、景観を守るため、高度地区を設け一部街区に高さ制限をかけている

こうした制限があとから指定されるケースもあります。既存の建物の建て替えが大きな制約を受けるため緩和措置をとっているケースもあります。

船橋市では、告示日以降最初の建替えであること、建替え前の建築物の最高高さ制限超過部分の高さを超えないことなどを条件に、1回目に限り同規模の高さのマンションを建て替えることを許可する特例を定めています。

小・中規模マンションの良し悪しを決める敷地形状
敷地でプランは決まってくる!

建物のプランニングは、前述の高さの制限とともに敷地形状によってもプランニングが異なります。道路面への間口が狭く、高さ制限が厳しく、容積率が大きい土地は、良いプランが入りにくくなります。こうした土地でも、4方向道路に面していたり、敷地規模が大きいとプランニングがしやすくなります。

高さ規制の無い地域でも、容積率や建蔽率などと敷地の形状でおおよその住戸プランニングは決まってきます。敷地が決まった段階で、どんなマンションが出来るかも5割以上は固まってしまうと言えるかもしれません(土地価格の高い都市圏では、容積率の消化が命題となる。一方土地価格の安い地方都市のマンションなどは、容積率消化を優先せずプランニングを優先するケースもある)。

オアシティ錦糸町

オアシティ錦糸町の外観。錦糸町徒歩圏、総戸数146戸で全戸南向き。こうした恵まれた立地の物件はまれだ

敷地規模の大きい大規模マンションと比較した小・中規模マンションのメリットを上げるとすれば、立地とプランニングです。駅前のような利便性の高い場所でまとまった規模の土地が都心などの高度利用の地域で供給されるケースは少なく、再開発物件を除けば、中小規模のマンションが供給されるケースが多くなります。また、敷地が狭い分プランバリエーションが少なくなる半面、角部屋の比率は高くなりますので通風採光の良いプランニングもしやすくなります。ワイドスパンプランならさらに魅力的です。1住戸あたりどのくらいの開口部になるのかは、道路面に対してワイドフロンテージなのかどうかで決まってきます。絶対高さと同様に、南道路に面した24mの建物の間口を3住戸で割れば8mのワイドスパンですし、18mを3で割れば6mスパンになります。敷地が北道路のみの接道でかつ南北に長い敷地形状だと、東向きもしくは西向き中心のプランになってしまいます。
プラウド東京八丁堀の敷地配置図

完売したプラウド東京八丁堀の敷地配置図。4方道路で南面にワイドな開口部を持つ稀少な立地だった

立地を評価するうえで、敷地の形状や道路づけは建物の住戸プランを左右するという点で、とても大切なポイントと言えるでしょう。ディベロッパーの商品企画力の差異はあるとしても、マンションの敷地の形状と法的な制約でおおよそプランは決まってしまいます。

立地だけでなく、階高の確保や住戸プランに優れたマンションに出会ったとしたら、それは偶然ではなくその立地や敷地がもつ固有のポテンシャルが備わった土地であるからです(その魅力を活かすのもディベロッパーのスキルですが)。

マンションの稀少性を考える上で、立地だけでなくプランニングもその立地条件に左右される点は、ぜひ押さえておいてください。

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