50代 資産形成をあきらめるにはまだ早い
2017年1月から利用者の対象が拡大し、新たにiDeCoの愛称で注目された個人型確定拠出年金ですが、50代になってからの加入は無意味だという意見も聞かれます。たとえば拠出限度額が月2万3000円の人が、限度額目一杯まで10年間積み立てたとしても、元本部分の総額は276万円ですから、非課税効果を存分に享受したいと考えている人には、確かに不満でしょう。
だからこそ、iDeCoをはじめとする確定拠出年金は、それに加入できるチャンスがあるならば、できるだけ早いうちから始めるに越したことはないのですが、一方で50代の人たちが、「自分はもう50歳を過ぎているから関係ない」などと諦めることも、またないと思います。
つみたてNISAに注目
確かに、iDeCoは拠出限度額が決められていますから、運用がめちゃくちゃ上手く行かない限り、大きく殖やすことはできません。元本部分の総額が276万円では、いくら運用益が増えたとしても、非課税効果はたかが知れています。でも、iDeCoで資産を殖やすのに限度があるならば、他の非課税制度を活用するという手があります。そこで注目したいのが「つみたてNISA」です。
実際に、つみたてNISAを通じての積立投資が始まったのは2018年1月からですが、この制度を用いれば、今後20年間、運用益に対する非課税措置を享受しながら、老後資金を作ることができます。ちなみにつみたてNISAの積立限度額は年間40万円ですから、20年間の積立によって、元本ベースで800万円の資産を築くことができます。
かなりの人が、70歳手前まで働く
最近は65歳定年制を導入する企業が増えていますが、まだ多くの企業は60歳が定年です。でも、60歳で隠居する人は、今の時代、ほとんどいないでしょう。総務省の数字によると、高齢者の就業者数は、730万人にも達しています。高齢者人口は3461万人ですから、実に21%超の高齢者が働いているのです。ちなみに、この統計で言う「高齢者」は65歳以上の人を指しています。また年齢別で見ると、65~69歳で働いている男性が男性高齢者全体に占める割合は52.2%、65~69歳で働いている女性が女性高齢者全体に占める割合は31.6%です。かなりの人が、70歳手前まで働くことを意味しています。50代で貯蓄がないと嘆いている人は、70歳までを現役と考えて働き続け、その間に70歳以降、必要になる生活資金を、つみたてNISAで作っていけば良いのです。
つみたてNISAの分かりやすい解説については、金融庁もガイドブックなどを作成しているので、参考までに目を通しておくと良いでしょう。以下のURLから、ダウンロードできます。
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/14.pdf