集まる注目

取材を受ける子ども達

取材を受ける子ども達

将棋界はルネサンス期に入った。過去記事でそう書いた

とくに藤井聡太四段という歴代最年少中学生棋士の誕生と、その後の連勝記録に注目が集まり、子ども将棋教室を主宰するガイドにも新聞・テレビなどの取材が相次いだ。

「藤井さんの活躍について、どう思いますか?」

ガイド、いささかというか、たっぷり便乗気味に、人生のピークを迎えた感がある。取材を繰り返されるうち、なんだか偉くなったような、果ては藤井四段が自分の教え子であるかのような錯覚にさえ陥っていた。マスコミって怖っ。というか鼻をふくらませている自分が情けない。

まあ、それはともかくである。教室の子ども達にも藤井四段に関する質問がされていた。続けて、多くのメディアが子ども達に尋ねていたのは、下記のような質問だ。

「将棋をしていて良かったなって思うことは、どんなことですか?」

この質問は、将棋の教育的効果の自覚を問うているに他ならない。マスコミは大多数の代表として取材に来ている。だとすれば、今、多くの関心は、そこにあるに違いない。

将棋は子育てに役立つのか?

では、鼻をふくらませずにガイドします。


将棋のプラスアルファ

記者会見などにおける藤井の中学生とは思えぬ落ち着き。これには辛口コメンテーター達もため息を漏らした。もちろん視聴者も驚嘆した。

テレビに引っ張りだこの棋士は藤井だけではない。加藤一二三のあの明るい笑顔(関連記事)。豊川孝弘の恐るべき「だじゃれ」回転力(関連記事)。

どうやら、将棋に精進すると、将棋の腕が上がるだけではない。将棋にはプラスアルファがありそうだ。お茶の間に、そう感じる人が増えてきた。

将棋とは対極感のあるスポーツ界も然り。野球界を代表する名監督・野村克也は「野球で必要なことはすべて将棋にある」と語った。また、日本オリンピック委員会が開催した「平成28年度オリンピック有望選手研修会」では羽生善治の著書『捨てる力』が紹介された(関連記事)。

では、子育てにも好影響があるのではないか。子ども達は先ほどの質問に声を大にして答えていた。

「友達が、増えた」
「じっくり考えられるようになった」
「勉強ができるようになった」

などなど。やはり、何かがありそうだ。


ガイドが実感する、将棋の教育効果

過去にも述べてきたように、ガイドは大分県別府市で子ども将棋教室「将星会」を開いている。以前は小学校の教員や、補導員、体育指導員、少年院の面接委員もやっていた。必然的に、かなり幅広く、いろんな子ども達と30年以上関わることができた。

将棋をする子はお得をしている。

手前味噌に聞こえるかもしれないが、これが実感だ。


将棋をする子どもが得る「お得」は「知床」にあり

世界遺産・知床

世界遺産・知床

どんなお得をしているのか。キーワードは「知床(しれとこ)」だ。流氷の南限であり、多種多様な生物の宝庫、世界遺産・北海道を代表する岬「知床」。

子ども達には「知床の地」のように豊かな成長がもたらされているのである。ガイドしよう。 


知床の「し」――集中力

集中の表情/ガイド撮影

集中の表情/ガイド撮影

「し」は集中力だ。81マスに展開される勝負。1手1手に相手の手と自分の手との価値の吟味が要求され、気を抜く暇がない。

しかも、将棋には特有の即負けルールがある。いかに優位に進めていようとも、例えば二歩(同じ列に自分の歩を2枚にしてしまうこと)をした途端に反則負けになる。この即負けルールが、いやが上にも集中力を高めてくれるのである。

参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『将棋のルールを覚えよう』 

知床の「れ」――礼儀

礼儀の一場面/ガイド撮影

礼儀の一場面/ガイド撮影

「れ」は礼儀だ。伝統文化でもある将棋。居ずまいを正しての挨拶は基本中の基本。

「王将」と「玉将」をどちらが取るか、駒の持ち方、並べ方、対局時計の扱い方まで、様々なマナーと作法が確立されている。だから、知らず知らずに礼儀が身についていく。これも将棋の特徴だ。

こちらも、参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『将棋のマナーと作法を覚えよう』 


知床の「と」――到達

到達の喜び/ガイド撮影

到達の喜び/ガイド撮影

「と」は到達だ。将棋には段級位がある。これは教室や道場、日本将棋連盟の支部だけでなく、ネットの将棋サイトや将棋アプリにも必ず設定されている。つまり、常に自分の到達目標が数値で表されているのだ。将棋により、到達の喜び、充実を知る機会がぐっと増えるのだ。

これまた、参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『自分の上達を把握する指標、「段級位」


知床の「こ」――交流

交流での役割/ガイド撮影

交流での役割/ガイド撮影

「こ」は交流だ。わずか40センチ程度の盤を挟んでの対局。そこには言葉もいらぬ交流がある。

一例をあげれば、大震災(2016年「熊本大分地震」)の被災地、大分の復興1周年将棋イベントに、福岡将棋会館(館長:関口 武史五段)の子ども達が、豊川孝弘七段(関連記事)とともに駆けつけてくれた。大分側の主催者として、感謝・感激しきりの交流会だった。

また、将棋の交流は時として海さえも越える。実際に上海の使節団の皆さんと子ども達の将棋交流に関わった経験があるが、言葉も通じぬ者同士が、出会ったその日に盤に向かいあえるのだ。こんな経験は、なかなかできるものではない。


流氷のごとく寄ってくる、将棋の教育効果

楽しく学ぶ/ガイド撮影

楽しく学ぶ/ガイド撮影

いかがだろうか。将棋をする子ども達はかように「知床」を身につけていくのである。そして、もう一つ明記しておきたいことがある。それは、将棋のルーツが遊びであるということだ。

遊びを原点とするがゆえに、子ども達にとって取り組みやすい文化だと言えよう。だからこそ、「知床のお得」は流氷のごとく寄ってくる。そして豊潤な産物を育んでくれるのである。

どうです。将棋っていいでしょ?

じゃあ、お前は知床なのかって?そこは、シレっと、こたえずにしれとこう(しておこう)。

おあとがよろしいようで。

(了)

追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。
(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。
(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。
(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述/画像に関して」
(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。
(2)ガイド撮影の画像については、すべて個人情報の取扱において許可を得ています。




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