自動車保険/自動車保険の選び方と比較ポイント

自動車保険の改定で2018年以降どうなる?

自動車保険の2018年以降の改定について、昨年末から2度金融庁に届出がでています。保険料率の改定などは各社バラバラに行うでしょうが、制度の変更は注意して今後の動向を見ていく必要があります。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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自動車保険は改定される?


自動車保険の2018年以降の改定動向は?

自動車保険の2018年以降の改定動向は?


自動車保険の収支状況が以前と比較すると改善傾向にあります。自賠責保険も人身事故の減少で2017年4月に8年ぶりの値下げ改定となりました。2016年11月、2017年5月に損害保険料率算出機構が金融庁に自動車保険の改定の届出を出してすでに適合性審査結果通知受領となっています。

昔と違って自由化されていますので、損害保険料率算出機構の改定をする遵守義務はありません。そのため保険料の改定時期や率などは各社バラバラに実施する可能性もありますが、一部制度にかかる改定も届出がでています。

これを受けて2018年以降の自動車保険の改定の動きについて確認していきましょう。

自動車保険改定の届出内容(2016年11月)

発売後3年以内の型式の自動車を対象に、AEB(※)割引を導入する見込みです。車種別に状況が違うので別々にみていきます。

※AEB(衝突被害軽減ブレーキ、Autonomous Emergency Braking)

■自家用普通乗用車、自家用小型乗用車
AEBの有無にかかる割引が導入されるようですが、発売後3年以内と限定しているのはデータがないからです。現在、自家用普通乗用車や自家用小型乗用車には「型式別料率クラス」というものが導入されています。

自動車の型式(車検証に記載されています)ごとに「対人」「対物」「傷害」「車両」をそれぞれ1~9の9段階のクラスに分けています。1クラスが安く、9クラスが高くなります。このクラスは固定されておらず毎年この型式ごとの事故率によって改定されています。

自動車保険の保険証券や満期案内などに自分の車の型式別料率クラスは記載されています。

このAEB割引導入後数年するとデータも収集できるので、あえて割引制度にしなくても型式別の料率クラスにそれを反映した料率になります。以前あったエアバックの割引などは今はないのと同じです。

■自家用軽四輪乗用車
軽自動車については、実はこの改定の影響が大きいので注意してください。軽自動車では現在型式別の料率クラスが導入されていません。自家用軽四輪乗用車は型式を問わず一律の料率です。

今後は自家用軽四輪乗用車にも型式別料率クラスを導入(2020年1月1日までに導入の前提)、それ以降は自家用普通乗用車などと同様にAEB割引が導入される予定です。

保険料については、自家用普通乗用車や自家用小型乗用車は一般的に引き下げとなるケースが多いでしょうが、軽自動車についてはかなり大きな影響を受けるはずです。

自動車保険改定の届出内容(2017年5月)

■自動車保険の参考純率を全車種平均で8%引き下げ
AEBを含めた装備の向上などで自動車の事故率が低下していることを受けて、自動車保険の参考純率は全車種平均で8%引き下げとなる予定です。

但し車種や契約内容によって保険料率変わる点、特に保険料率の改定は必ずしも各社同一の時期に同一の割引率で変えるわけではないでしょう。特に改定率などはこれまでもバラバラに改定しています。

■運転者限定割引の改定(家族限定割引)
現在、運転者の限定割引には、本人限定や夫婦限定、家族限定などがあります。会社によっては本人・夫婦限定割引などにしています。

このうち家族限定割引が廃止となる見込みです。背景としては家族限定の有無によることのリスクの差異が減少していることによるものです。

つまり家族限定割引があってもなくても、事故の有無にそんなに大きな影響がなくなっているのです。家族限定割引の割引率も実は縮小しており、廃止に伴い影響はそんなに大きくないと考えます。

■新規契約(6等級もしくは7等級)における年齢条件区分の廃止
知らない人も多いでしょうが、自動車保険の新規契約の際、同じ6等級でも年齢条件によってベースとなる割引率に差異が設けられています。

年齢条件で保険料が違うのは当然ですが、それ以前にベースとなる6等級(もしくは7等級)の新規契約は割引率が違うのです。これがなくなります。

すでに自動車保険に加入している人には関係ない話ですが、これから新規で自動車保険に加入する、増車する予定の人で年齢条件が若い設定をする人には大いに関係ある話です。

自動車保険で今後考えていくこと

長らく自動車保険は業界全体で収支が悪いと言われてきました。現在でも相当に良好とは言い難いところはありますが、業界の損害率は2016年度末で自由化前の1996年度と同じ水準に低下してきました。

自動車保険に限った話ではありませんが、その契約者、その自動車の損害率に応じた保険料を負担するという方向性に違いはありません。

自家用軽四輪乗用車に型式別料率クラスを導入することをみてもそれは明らかです。火災保険などにしてもここ数年の改定状況を見ていると同じような背景が見て取れます。

コスパなどの理由から軽自動車を利用している人も多いでしょうが、所有している軽自動車の種類、契約内容などによって今後は軽自動車の保険料は大きく変わってきます。

型式別料率クラスの導入時期を明確にしていませんが、この制度の導入が軽自動車の自動車保険料に大きいな影響があることは間違いありません。満期案内は早めに送られてくるので、早めに内容を確認して補償プランをどうするか考えていきましょう。

2016年11月の届出は、2018年1月1日以降にAEB割引は導入可能となっています。2017年5月届出内容に記載はありませんが、上記改定を踏まえて実施が予想されます。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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