姿勢や動作に表れる腰の不調
いつの間にか腰部の筋肉が硬く緊張し、ツライ症状へつながる可能性があります
一方で、原因のはっきりしない「非特異的腰痛」の場合は、症状を繰り返したりと長引くケースもあり、どうしたら痛みから解放されるのかと不安を口にする人も少なくありません。不安を和らげるためにも、予防に繋がる方法を知っておくことが大切です。非特異的腰痛では、セルフケアをスタートする目安として、腰の調子が良い時と悪い時とを比較し、腰部への負担が生じている可能性を考えるきっかけとなります。
■腰の調子が良い時・悪い時で比較してみましょう
- 立ち姿勢や座り姿勢での変化がある
- 体を動かした際の可動範囲の減少を感じる
- 筋肉のつっぱり感・硬さを感じる
姿勢の安定感にも重要な「腰方形筋(ようほうけいきん)」
体のどの部位の筋肉が緊張して腰の不調(腰痛)に繋がるのかは、人それぞれです。ここでは姿勢の変化や体の動かしやすさに影響しやすい「腰方形筋(ようほうけいきん)」という筋肉に注目して、腰部への負担軽減を考えてみたいと思います。腰方形筋は、表面付近よりも深いところにある「深層筋」です。骨盤と腰椎・肋骨に付着し、背骨を安定させるためも働くに大切な筋肉です。そして、主に上半身を横へ倒したり(脊柱の側屈動作)、上半身を反らせる(脊柱の伸展動作)働きをします。
ちなみに普段、スポーツに取り組んでいる人は、前述の「調子が良い時と悪い時の比較」に加えて、コンディションがわかりやすいかもしれません。腰方形筋がベストな状態でしっかりと機能していると姿勢が安定するため、例えばゴルフやテニス、野球の素振りの動作はスムーズにスイングできるようになります。
荷物の片手持ち・脚を組む癖には要注意!
腰方形筋は、日常生活での姿勢や動作の癖が影響しやすいです。重い荷物をいつも片側の手で持ち歩く・脚を組んでデスクワークをするといった、無意識のうちにとる動作・姿勢によって、腰方形筋がいつのまにか疲労してしまう可能性があるのです。そして、筋肉が緊張して硬くなるとバランスを崩し、上半身が傾いたりと姿勢の悪さが目立つようになる場合があります。腰方形筋の過緊張が起こると、その影響が他の筋肉の機能へも及びます。結果、複数の正常な筋肉の働きが損なわれ、姿勢の悪化が見られるようになり、同じ部位に負担がかかりやすくなります。腰部への負担が生じて、なかなか解放されないと腰の不調に繋がる恐れがあります。
腰部の負担を減らし姿勢の悪化を予防するためにも、腰方形筋の過緊張は取り除いておきたいものです。生活する中でも癖も影響するため、その点の見直しをするとともに、腰方形筋のストレッチにも取り組んでみましょう。
仕事中、座ったままできる腰方形筋ストレッチ
デスクワークの合間や椅子に座ってテレビを観ている時にもできる腰方形筋のストレッチです。行う際は、両足の裏を床にぴたりとつけて、顔と体を正面に向けた状態からスタートします。上半身を左へ倒し、右側面が気持ちよく伸びるようにしましょう
立って行う腰方形筋ストレッチ
立ち仕事の人やデスクワークの合間に席を立った際、行うことができるストレッチです。座って行うストレッチと同様に背をまるめずに上半身を倒していきます。上半身を正面へ向けたまま、上半身を倒していきます
リラックスタイムにできる腰方形筋ストレッチ
お風呂上りの体が温まっている時や眠る前のリラックスタイムにも行うことができるストレッチです。ストレッチの際、背中が丸くならないようにご注意ください
腰が疲れやすいと感じた時・腰痛に不安を感じた時などは、腰方形筋の緊張が続き硬くなっている可能性があります。痛みが生じる前に少しずつでもストレッチを行い、腰部の負担を軽減することができればと思います。
■参考資料
- 図解姿勢検査法(著 新関真人)