漢字検定

凡例・重複、正しく読める?社会人が押さえたい漢字30

将棋界の天才・藤井聡太四段が発した言葉「望外」と「僥倖」の二つが世間の話題を攫(さら)いました。彼はまだ中学生にもかかわらず、大人でも知らないような言葉を巧みに使いこなしています。日常そんなに耳にする事がない言葉をサラッと使われると、とても知的な印象を受けませんか? 大事なビジネスシーンで使いこなしてみたい漢字、間違うとちょっと恥ずかしい漢字をいくつか紹介していきます。

藤本 正史

執筆者:藤本 正史

漢字検定ガイド

漢字の読み書きで「もやもや」しないために

社会人なら知っておきたい漢字

社会人なら知っておきたい漢字


「何となく意味が想像できるけれどハッキリとは説明できない」「読み間違っている人をよく目にする」……、そんな歯がゆい漢字熟語を集めてみました。

職場のビジネスシーンや発表の場でよくありそうな会話を例にしています。意味を取り違えないように注意して使いましょう。

社内表彰やコンペのスピーチに使える漢字熟語

読み違いのウッカリミスに注意です!

  • 1. 多くの強豪がひしめく中で勝てたことは、まったく「望外」の喜びでした。
  • 2. 勝負に徹底的に「拘泥」したことが、良い結果をもたらしたのだと思います。
  • 3. 競合との「熾烈」な戦いを制することが出来ました。
  • 4. 信じられないことに「土壇場」に来て大逆転となりました。
  • 5. 今回のプレゼン大会では相手チームの「独擅場」に終わりました。
  • 6. 試合に勝てたのは本当に「僥倖」としか言いようがありません。
1. 望外(ボウガイ): 望んでいた以上に結構なこと。
2. 拘泥(コウデイ): こだわること。「泥」はネチネチとくっついて動きがとれない意。
3. 熾烈(シレツ): 「熾」は火勢が強い意で、勢いが盛んで激しいさま。
4. 土壇場(ドタンバ): 決断を迫られる最後の場面のこと。もとは斬罪の刑場の意。
5. 独擅場(ドクセンジョウ): その人だけが思うままに活躍できる所。「擅」はほしいままの意。「ドクダンジョウ」とも言うが、「壇」と誤ったことから。本来は「ドクセンジョウ」と読むのが正しいです。
6. 僥倖(ギョウコウ): 思いがけない幸せ、偶然の幸運。 将棋の藤井氏は「(勝てたのは)僥倖としか言いようがない」というコメントを残しました。大人でもなかなか使うことのない言葉ですが、これを機に覚えておいて損はないでしょう。ビジネスシーンでも時事ネタとして話題が広がるかもしれませんね。

オフィスでちょっと知的に見せられる漢字熟語

  • 1. 先方との交渉の成り行きは「予断」を許さない状況だ。
  • 2. 納品にキズが付いているなんて、これは相手方の「瑕疵」責任です。
  • 3. 自分の不注意により会社から「譴責」を受けることになってしまった。
  • 4. 辛い状況の中で頑張ってくれた皆さんの気持ちを「忖度」します。
  • 5. 今回は皆さんの不断の努力を称し、評価に「斟酌」を加えました。
  • 6. 当クラブから素晴らしい人材を「輩出」することが出来ました。
1. 予断(ヨダン): 前もって判断すること。「ーを許さない」の形で、状況や展開が不確定で見通しが立たないことを言う。
2. 瑕疵(カシ): 物や権利などに本来あるべき要件や性質が欠けていること。「瑕」も「疵」もきず、欠点の意。
3. 譴責(ケンセキ): 過失などを厳しくせめること。「譴」はせめる意。
4. 忖度(ソンタク): 他人の心中をおしはかること。推察。
5. 斟酌(シンシャク): 相手の事情・心情などをくみとること。
6. 輩出(ハイシュツ): 才能あるすぐれた人が次々と世に出ること。「輩」は並んで続々という起こるさま。 忖度と斟酌は似ていますが、気持ちを推し量るのが「忖度」で忖度したうえで何らかの処置を施すのが「斟酌」、と覚えておけばよいでしょう。 また「輩出」は「排出」と書き間違えないようにしましょう。

言葉に重みを出したいときに使える漢字熟語

  • 1. そのプロジェクトを進めるのはまだ時期「尚早」だ。
  • 2. 今回の取り組みは当社にとって「破天荒」の一大プロジェクトだ。
  • 3. 研究室にこもって実験「三昧」の日々を送っている。
  • 4. 全国の現場に行くことが出来て、とてもやり「甲斐」のある仕事だ。
  • 5. 設計にミスがあって製品の作り直しを「余儀」なくされてしまった。
  • 6. そんな「凡庸」な作品では人の心を掴むことが出来ません。
1. 尚早(ショウソウ): そのことをするにはまだ早過ぎること。ここでの「尚」は、今もなお、まだ、の意。
2. 破天荒(ハテンコウ): 今まで誰もしなかったことをすること。「天荒」は天地未開の混沌たるさまで、「破天荒」これを破る意。「未曽有」は同義語。「型破り」の意味は間違い。
3. 三昧(サンマイ): 仏教で雑念を捨てて精神を一つ対象に集中すること。濁音化した 「~三昧(ザンマイ)」で、そのことに熱中する、一心不乱に事をするさまを言う。
4. 甲斐(カイ): ある行為に値するだけの効果。「~甲斐(ガイ)」で、~するだけの価値、~にふさわしい効果などの意を表す。「甲斐」は、「効(かい)」の当て字。
5. 余儀(ヨギ): 他の事、他の方法の意。「余儀ない」は他にとるべき方法が無い事で、「余儀なくされる」はやむなくされる意。
6. 凡庸(ボンヨウ): すぐれたところのないこと。平凡。「庸」は一般並の、普通の意。 言葉の意味も含め、思い込みで疎(うろ)覚えせずにしっかりマスターしておきましょう。ビジネスに限らず生活のいろいろなシチュエーションで実際に使ってみるといいですね。

赤っ恥!読み違いをしやすい漢字

次はウッカリすると違う読み方で読んでしまいそうな、間違いやすい漢字です。ガイドの職場の上司や同僚でも、「重複」を「ジュウフク」と読む方が多くいました。そのたびに「違うんだけどな……」と心の中で思ったものです。

打ち合わせや会議の席で資料説明の際に間違えたりしないよう、十分気をつけましょう。
  • 1. 凡例を示す  
  • 2. 事の発端を説明する 
  • 3. 約款に違反する   
  • 4. 秘密裏に進める  
  • 5. 周囲に翻弄される 
  • 6. 作業が重複する  
◯ ハンレイ  ×ボンレイ
◯ホッタン ×ハッタン
◯ヤッカン ×ヤクカン
◯ヒミツリ ×ヒミツウラ
◯ホンロウ  ×ハンロウ
◯チョウフク ×ジュウフク

うっかり……、書き間違いをしやすい漢字


最後に、つい書き間違えがちな漢字です。

どこかで見たり読んだりしたことがあるかと思いますが、どれだけ実際に書くことが出来るでしょうか。 メールや文書ソフトなら変換すれば確実に漢字が出ますが、会議の席でホワイトボードに手書きで書くときなど、間違えないよう十分気をつけましょう。
1. 物価がコウトウする。 
2. 戸籍トウホンを手に入れる。
3. 意味シンチョウの発言。  
4. 仕事がナンコウする。
5. ジガ自賛する。  
6. ムガ夢中で行う。

1. 高騰 謄本の「謄」と間違えないように。
2. 謄本 高騰の「騰」と間違えないように。
3. 深長 「慎重、新長」と書かないように。
4. 難航 「難行」と書かないように。
5. 自画 「自我」と書かないように。
6. 無我 「無画」と書かないように。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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