グルテンフリー食・グルテンフリーダイエットとは
ジョコビッチ選手が実践して大反響を呼んだグルテンフリーは誰にでも効果があるのでしょうか?(画像はイメージ)
詳細は、世界的なテニスプレイヤーであるジョコビッチ選手の自伝書ともいえる『ジョコビッチの生まれ変わる食事(ノバク・ジョコビッチ著)』に書かれています。
グルテンフリー食の効果は? 人気ダイエット法になった理由
「グルテンフリー食」がこれだけもてはやされることになったのには、2つの理由があると思います。- このダイエットの成功者が世界一のトッププレイヤーであること
- 「グルテンを取り除くだけ」というシンプルな方法
1つ目のトッププレイヤーが成功した方法なのだから、自分も真似をすることであやかりたいという気持ちはなんとなく分かります。
2つ目も新しいものが「流行する理由」として大きいのでしょう。特にグルテンフリーは、「グルテンとは何か?」という説明がされる際に、「グルテンは小麦に含まれているのだから、小麦を食べなければよい」というシンプルな伝え方がされるようになり、次第に「グルテンフリーダイエット=小麦粉抜きダイエット」と簡単に解釈されたことも大きいと思います。ここから現在では小麦粉を含まない食材への関心が高まってきているようです。
この方法を本格的に取り入れると、一般的に小麦粉を使って作られるパンやうどんも「小麦粉抜き」で食べることになります。これらをグルテン抜きで作るためにはそれ相応の技術力が必要になりますので、その分、製品は割高になることが多いです。より高い製品が売れることで、経済の活性化という意味では良いのかな?とも思います。
しかし、前提として注意していただきたいのは、ジョコビッチ選手は「グルテン不耐症」体質であることが医師による検査で判明していることです。グルテン不耐症で体調不良を起こしていたため、グルテンを摂取するのを辞めたことで効果が出た、ということになりますが、アレルギー体質ではない人が同じグルテンフリーの食事法を行った場合、同じような効果が出るのでしょうか?
グルテン不耐症でない人の「グルテンフリー」のデメリット
グルテンフリーをグルテンアレルギー以外の人が実践したらどうなるのでしょうか?各国から論文が出始めました。
他にも、米国心臓病協会の「Lifestyle and Cardiometabolic Health 2017 Scientific Sessions」の学会で、「ほとんどの対象者はグルテン摂取量が1日12g以下あり、この範囲でグルテンを最も多く食べている人は最も少ない人(1日4g以下)に比べて、2型糖尿病のリスクが13%低下していた」と発表しています。この発表を行った米ハーバード大学の研究者は「グルテンフリーダイエットをすることで、2型糖尿病の予防に欠かせない食物繊維や微量栄養素が少なく栄養価が低くなってしまい、2型糖尿病のリスクが上がるのではないか?」と推察しています。
ジョコビッチ選手の強さの秘密はグルテンフリー食ではない?
上記の論文から、グルテンアレルギー持っていない人がグルテンフリーダイエットを実行すると身体に悪影響を与える可能性があることが分かります。ジョコビッチ選手はグルテンアレルギーであったから、グルテンフリーダイエットが効果を奏したことも分かります。こうなると、ジョコビッチ選手が本当に強くなったのはグルテンフリー食のおかげではないように思いませんか?実はその通り。著書をよく読んでみると、強さの秘密はグルテンフリー食ではないようです。
上記著書の中では、ジョコビッチ選手が好んで食べている食材についても書かれています。「肉、魚、卵」「低炭水化物野菜」「果物」「穀物類」「ナッツおよび豆類」「健康的なオイル」「豆果」「ハーブとスパイス」です。
これを、「スポーツ栄養とは?効果的に運動能力を伸ばす食事法」でご紹介した「主食」「主菜」「副菜」「果物」「乳製品」に分類してみます。
- 主食:「穀物類」
- 主菜:「肉、魚、卵」
- 副菜:「低炭水化物野菜」「豆果」
- 果物:「果物」
- 乳製品:
- その他:「ナッツおよび豆類」「健康的なオイル」「ハーブとスパイス」
さらに、ジョコビッチ選手の栄養管理にはもう1つ、強さのヒミツがあります。「水分管理」です。水分管理についても、かなり徹底して行っているようです。スポーツをすると汗をかき脱水になりやすい状態になります。脱水状態では上手く体を動かすことができません。スポーツを志す人は「たかが水」と思わず、しっかり注意するようにして下さい。
ジョコビッチ選手は自分の体を知り、自分に必要な栄養素をきちんと摂っているからこそ強いのです。単純に小麦を抜いて「グルテンフリー」にすれば誰もに効果が出るといった簡単なものではありません。ジョコビッチ選手は自身の体験を通して、スポーツで勝つためには、自分の体をよく知り、それに見合った食事を摂ることが最も大切だと教えてくれているのです。