栄養学の基本!「理想的なバランスのよい食事」は千差万別

サッカー少年

スポーツをやるからには勝ちたい、それは誰しもが願うことだと思います。実は食事で勝利サポートができるって知っていましたか?

「栄養バランスのよい食事を」と言われても、理想の食事がどのようなものか、実はよく分からないという人は多いと思います。「栄養バランスのよい食事」は、正確には一人ひとりに対して異なるため、個別にお話をさせていただかなければならないところですが、大まかには「目的」を決めることによって、その考え方を説明することができます。例えば、糖尿病があるなら血糖値を下げる食事、高血圧なら血圧を下げる食事、子どもなら成長を促す食事、といった具合です。

最近は「運動能力をあげるには、どのような食事をすればいいのですか?」と聞かれることがあります。このような質問は、筋肉をつけたいのか、血糖値を下げたいのかといった目的によって栄養学の考え方を変える必要があることが一般に認知されてきた証拠でもあり、嬉しいことです。

スポーツに強くなるための食事に関する質問には、「一言で言うなら、里田まいさんのブログにある食事。あれが理想です」とお答えしています。今回は、運動能力を伸ばしたい人、スポーツで強くなりたい人向けの「栄養バランスのよい食事」の考え方を説明します。

運動能力を上げたい人のためのスポーツ栄養学の考え方

部活などでスポーツに精を出す選手や、プロのアスリートなど、運動をする人の食事には、「生きるために必要な栄養」と「日常生活に必要な栄養」に加え、「スポーツをするための栄養」「スポーツによって疲労した身体をメンテナンスするための栄養」が含まれている必要があります。スポーツをするのが成長期の子どもである場合、これに「成長するための栄養」が加わります。スポーツをしている人は、スポーツをしていない同年代の人よりも摂るべき栄養素量が多くなるのです。摂るべき栄養素量が多くなるということは食事量も多くなります。もちろん、摂った栄養素を効率よく利用するために、栄養素のバランスのよさもスポーツをしていない人以上にシビアに要求されます。

すなわち、スポーツで強くなるためには、毎日の食事で必要な栄養素をしっかり摂ることが必要なのです。

スポーツ栄養学から考える理想の食事

「食事量は多く」「必要な栄養素をしっかり」と言われると、1日分のエネルギーを毎日計算しなければならないのかと途方に暮れる人もいるかもしれません。ですが、実際にはそこまでできる人はほとんどいないでしょう。現実的な方法として、大まかでいいので、3回の食事に「主食・主菜・副菜・果物・乳製品」という5つの要素が揃っているかを確認してください。これならできる気がしませんか? この5要素が揃っていることで、それぞれに大切な役割を持つ栄養素をバランスよく取ることができるのです。多く含まれる料理・食材もあわせて以下にまとめましたので、最低限の知識としてチェックしてください。

■主食……炭水化物(糖質)
エネルギーを作り出す働きがある。ごはん、パン、うどん・そば・スパゲティなどの麺類、餅に多く含まれる。

■主菜……主にたんぱく質
筋肉、血液、骨など体を作る基本材料になる。肉、魚、卵、納豆・豆腐などの大豆製品に多く含まれる。

■副菜……ビタミン、ミネラル
体調を整える、エネルギーや体の組織を作る際の潤滑油となる。きゅうり、レタス、トマト、白菜、キャベツ、にんじん、じゃがいも、セロリ等の野菜類に多く含まれる。

■果物……ビタミン、糖質
エネルギーを作り出す、疲労回復など体調を整える働きがある。りんご、みかん、バナナ、ぶどう、なし等の果物全般に多く含まれる。

■乳製品……カルシウム、たんぱく質
骨を強くする、筋肉の動きをしなやかにする働きがある。牛乳、ヨーグルト、チーズなどに多く含まれる。

一般の人の食事は「主食」「主菜」「副菜」の3つがそろっていればOKですが、スポーツをする人はこれに「果物」「乳製品」を毎食、追加します(スポーツをしていない人は「果物」「乳製品」は1日1回程度に抑えなければ食べ過ぎになってしまいます)。「副菜」は1品だけではなく、できれば2~3品は揃えたいところ。そのうち1品は汁物がよいとする考え方もあるようです。食べやすさの面で具沢山の汁を「副菜」とするのもひとつの案としてよいと思います。

こうした考え方をベースに里田まいさんのブログの食事を見ると、この5つの要素がしっかりそろっています。そのため「スポーツ選手の食事を作るなら里田まいさんのブログを参考にして下さい」というアドバイスをしているのです。

スポーツ栄養学的なおやつの考え方……間食も食事のうち

また、スポーツでどれだけ毎日体を動かしていても、1回の食事量には限界があります。1日3食の食事だけでは、どうしても栄養素が不足してしまいます。そんなときに活躍するのが「間食」です。スポーツ栄養では「間食」と呼ばれていますが、「分食」に近い考え方だと思っていいでしょう。スポーツ選手の「間食」は足りない栄養素を補うのが目的であり、単なる口寂しさを紛らわせるためのいわゆる「おやつ」とは異なりますので、スナック菓子やジャンクフードではいけません。栄養の不足分をを補うのが目的ですから、生活シーンに合わせて食べやすい時間に、3食では取りきれなかった栄養素を含む間食を食べるようにします。さらに、トレーニングや試合のタイミングにあわせて必要な栄養素を補充することが大切です。

日常のトレーニング時に必要な間食のタイミングは、「トレーニング前」「トレーニング中」「トレーニング後」に分けられます。それぞれの間食の目的と、適した食品例を以下で確認してください。

■トレーニング前
消化がよく、すぐにエネルギーに変わりやすい糖質(炭水化物)を多く含む間食を。おにぎり、バナナ、カステラ、和菓子、果汁100%ジュースなど。

■トレーニング中
水分調節が何よりも重要。適度にたんぱく質と糖質を含む間食は、疲労回復効果も見込めるのでさらに理想的。具体的には、果汁100%ジュース、(スポーツ飲料)など。

■トレーニング後
終了30分以内を目安に、傷んだ筋肉の回復を促すためのたんぱく質と、疲労回復のための糖質を含む間食が望ましい。牛乳、ヨーグルト、チーズ、(プロテイン飲料)などに加えて、おにぎり、バナナ、カステラ、和菓子、果汁100%ジュースなど。

スポーツ栄養学の実践は、競技にあわせたカスタマイズを

スポーツアイコン

スポーツに栄養管理が大切と言っても競技によって必要な栄養素が異なります。種目にあわせた食事を上手に摂るようにしましょう。


ここまでは「スポーツをする人」と大まかな括りでお話をしてきました。

しかし、一言でスポーツと言っても、レスリングや柔道、相撲のように体当たりに負けない強靭な筋肉を必要とする種目もあれば、陸上やテニスのようにすばやい動きを必要とするものもありますし、マラソンやサッカーのように持久力が必要な種目もあります。種目によって、必要な筋肉やエネルギーの使い方が変わってくるため、それぞれに適した栄養の摂り方を考える必要があります。さらに、試合の日や試合前後の調整など、勝つための栄養にはさまざまな要素があるのです。

さらに詳しいスポーツ栄養学の実践法については、「スポーツ栄養・アスリートの食事」記事の他、「ザバス(明治)」や「勝ち飯(味の素)」などのサイトも参考にされるとよいと思います。

正直なところ、学校の部活でレギュラーをとりたいという程度であれば、さほどシビアに栄養について考える必要はないかもしれません。しかし、プロになりたい、オリンピックや国体に出たいといった大きな夢がある場合には、これらの要素のすべてをひとつひとつ丁寧にケアしていかなければなりません。

大変だとは思いますが、やりがいのある夢だと思います。たゆまぬ練習という努力に加えて、栄養の知識も駆使し、素晴らしい選手がたくさん誕生することを願います。 
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