食と健康

夏場の「雑菌弁当」にご用心!食中毒リスクが高くなる3つのNG調理

【管理栄養士が解説】夏は雑菌が増えやすく、お弁当での食中毒リスクが心配されます。「生野菜を入れてはいけない?」「加熱すれば安心?」 よくある誤解に答えながら、避けるべき3つの危険なNG行動をご紹介します。

平井 千里

平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養 ガイド

小田原短期大学食物栄養学科 教授。女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員。女子栄養大学大学院 博士課程修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。肥満と栄養摂取の関連について研究。前職は病院栄養科責任者(栄養相談も実施)。現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養情報を発信。

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お弁当を作る女性

お弁当は衛生的に調理して水けをよく切ったおかずを衛生的に詰めると安全性が増します。

暑い季節に気になる、お弁当の食中毒。「お弁当は傷みやすい」「雑菌が増えやすいおかずを入れると危険」などと聞くと、お弁当作りが不安になってしまうかもしれません。

しかし、衛生面のポイントを押さえて作れば、過度の心配は不要です。
  • お弁当作りの前はまず手洗いをすること
  • 調理器具やお弁当箱はきれいに洗って使うこと
は大前提。あわせて、
  • 使う食材はきれいに洗う
  • 切る、焼くなどの作業が変わるタイミングでも、手を洗いながら調理する
という点をしっかり守りましょう。

あとは次に挙げる、お弁当の食中毒リスクを上げてしまう3つの「NG行為」に注意しましょう。
 

野菜についた水分で食中毒リスクが上がる!? 危険なのは、生野菜ではなく水分

「夏は生野菜をお弁当に入れない方がいい」という声を聞きます。しかし、危険とされるのは生野菜自体ではありません。洗った生野菜についた水分から、雑菌が増えやすくなるのです。

生野菜を入れるときは、清潔な状態で洗った後、しっかりと水分を切ってから、お弁当箱に入れましょう。同じように、水分の多い煮物も「水分活性」が高く傷みやすいので要注意。煮汁や生野菜の周りに付着した水分などが、傷みの原因になることがあります。煮物を入れる場合は、盛り付けカップを使い、他のおかずと接しないようにしましょう。
 

いい加減な加熱では効果なし! 火の力を過信しないよう注意

よく「加熱すれば菌が死ぬから大丈夫」「火を通せば安心」と考える人もいますが、とにかく加熱すれば安全というわけではありません。加熱するときは、中までしっかりと火が通っていることを確認してください。卵などもトロトロ感を残さず、中心部分もしっかり固まるまで加熱することが大切。

正しく加熱すれば、より安全性が高められます。ハムやちくわなどの加工品も、お弁当に入れる前に加熱をすると、さらに安心です。
 

温かいままの食材は危険! お弁当箱にはしっかり冷やしてから、衛生的に詰める

ご飯や加熱調理したおかずは、必ず冷ましてからお弁当箱に詰めてください。温かい状態のまま詰めてしまうとお弁当箱の中に蒸気が溜まり、お弁当が傷む原因になってしまいます。

また、料理ができあがった段階でも油断しないでください。調理済の料理にはできるだけ素手で触れないこともポイントです。おにぎりを握るときなども、素手ではなくラップの上から握ると衛生的に作れます。

食中毒を予防するためには、雑菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」の3原則を守って、安全でおいしいお弁当ライフを楽しんでくださいね。

■参考
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