介護ストレスに対処するために

介護イメージ

介護する側にもされる側にも大切なストレスケア。介護疲れや介護うつに陥らないよう、自分の時間を確保することはとても大切です

誰もが考える必要がある問題・介護。一方で、健康なうちは避けてしまう話題なのかもしれません。

しかし誰でも、急な怪我や病気で自分の身の回りのことができなくなったり、健康であっても加齢に伴い身体機能が低下してしまったりした場合、介護を受ける必要が出てきます。必然的に、家族も介護の問題に対処することになります。

ごく短期間の療養で済むものもありますが、疾患によっては進行していくものや、回復までに長い時間を要するものもあります。その間、介護をされる側はもちろん、介護する側の家族の負担は低いものではありません。「介護疲れ」や「介護うつ」などの言葉を聞かれたこともあると思います。

今回は介護によるストレスをどう乗り越えていくべきか、介護の状況はそれぞれですが、多くの方に共通する最も基本的な部分を、精神医学的な観点から詳しく解説します。

介護ストレス対策…まずは病気をよく理解すること

介護をする際、まず介護の原因が病気によるものならば、その病気について、正しく知る必要があります。これからどのような経過をたどりやすいのか? どのような症状があらわれてくるのか? そして、どのような時、家族は緊急に対処する必要があるのか? 疾患のタイプによっては、経過や症状も複雑で、正しく理解するだけでも大変なこともあるでしょう。

例えば認知症の方を介護しているときなど、場合によっては当人が介護してくれている相手が誰か分からなくなってしまうこともあるものです。病気のために正しい認識ができないことから、介護者に向けて暴言が出てしまうようなことも、起こりえます。こうしたことを上手に受け止めるためには、あらかじめ心の準備が必要でしょう。介護される側の心の問題などではなく、病気が時にそのような問題を生み出してしまうことを事前に知っておくことは、その場面に直面したときのショックを和らげる上でも重要なことです。

認知症は一般には経過と共に症状が進行していくタイプの疾患です。しかしその経過には、毎日の心理的要素の影響も見られます。介護をされる方が、介護を受ける生活を通じて気持ちが楽になっていれば、通常よりも良好な経過が見られることは、実際の介護の場でも少なくないのです。

介護される側のストレスケア

また、ストレスは、様々な病気の症状を増悪させる可能性があります。病気になった家族を支える側は、気持ちのゆとりを持つのは大変だとは思いますが、できるだけ相手の気持ちを楽にできるよう考えられるのがよいでしょう。

実際に病気になった辛さは、当人以外にはなかなか分かりづらいもの。時には辛さを我慢せず、大いに愚痴や文句として打ち明けたいときもあるでしょう。そうした際に、相手の愚痴をきちんと聞いてあげるということも、介護を受ける側の気持ちを楽にするうえでとても重要です。

また、時には公園など外へ連れていってあげることもあるかもしれません。こうしたことも介護を受ける側の方にとって、効果的なストレスケアになります。

認知症だけでなく、うつ病や統合失調症などの精神疾患の場合も、状態がよくなるまでには長い時間を必要とすることがあります。心の病気からの順調な回復においても、ストレスケアはとても重要です。症状が深刻になり入院された患者さんの場合でも、ご家族が定期的にお見舞いに来られ、時にどこかへ連れて行ってあげるなどの機会が多い患者さんは、一般に経過がより良好であり、入院期間もより短い傾向があります。

介護する側のストレスケアも重要

病気になった家族を支える際、身の周りの世話などが必要になってくると、時間とエネルギーも必要です。自分1人で介護をしなければならなくなった場合、仕事内容や働き方も変えなくてはならなくなるケースもあります。

そして誰かの介護をしている間は、介護に関することばかりが常に頭を占めるようになり、介護が生活の中心になってしまいがちです。

そのような場合、介護する側の生活は不健康なものになりやすいです。睡眠時間が不足する、食事内容がいい加減になる、あるいは運動して汗を流せるようなリフレッシュの時間が持てなくなる、といったことが起きやすくなります。これらに加え、ストレス解消としてタバコの本数が増える、飲酒量が増えるといったことも、通常より起きやすくなります。場合によっては介護する側がうつ状態になったり、アルコール依存症のような状態になってしまうこともあるのです。「介護疲れでアルコール依存症」と聞くと大げさに思われるかもしれませんが、アルコールなどの原因物質が依存症のレベルに近い状態の人は、成人人口のおよそ17%にも上るという統計報告もあります。

そして「介護うつ」と言う言葉は一般的にも認知されてきましたが、介護を通じて心身の負担が高くなると、うつ病など心の病気のリスクも高まります。こうした事を防ぐためには、介護する側の心身の負担の軽減、すなわちストレス対策が非常に重要なのです。

セルフチェック! ストレスケアの成果は笑った回数で分かる?

介護はしばしば長期戦になります。介護に関わる家族構成も、近くに親戚や兄弟姉妹が揃っている方もいれば、一人で孤軍奮闘せざるを得ない場合もあります。いずれにしてもしっかり確保すべきなのは、自分たちがリラックスできる時間です。場合によっては、月に1回のイベントとして、「今月は○○をする」「来月は××に行く」といったようにしっかりと楽しめるスケジュールをあらかじめ組んでおくことも大切です。

介護は大変なものですが、それまでの人間関係もなるべく大切にしたいものです。介護の悩みや辛さを愚痴としてこぼせる機会があれば、できるだけ逃さないようにしたいものです。

また場合によっては、ストレスケアがやはり上手くいかず、気持ちが冴えない、先が見えない、イライラする……といった気持ちが強まる時もあるかもしれません。違う視点で見れば思い詰めずに済むことでも、気持ちの余裕がないと、それが難しいこともあります。

たとえば、何かおかしなことを見たり聞いたりした時、クスリと笑えるような状態にありたいものです。もし悲観的な観念が頭に多くなっている人は、その日何回笑ったかを考えてみてください。もし1日のうち少しでも心をくすぐるような面白い出来事が0回だったならば、ストレスケアを真剣に考えてみるべきかと思います。

以上、今回は介護に関するストレスについて詳しく解説しました。現在介護をされている方は、特に、喫煙、飲酒などのストレス解消法が問題化していないかを考え、ストレス対策には充分ご注意ください。そして介護を通じて学んだことや、ストレスケアの方法については、誰もが知っておくべき貴重な知識です。ぜひ周りの方にも共有してあげてください。
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