【2018年ルースター役・青柳塁斗さんインタビュー】

さらにダイナミックになった大ナンバーとともに、
僕らの詐欺師っぷりも楽しみにいらしてください

青柳塁斗undefined90年北海道生まれ。アクターズスタジオ北海道本部校を経て上京し、ミュージカル『テニスの王子様』で人気を博す。以来『FROGS』、地球ゴージャス『海盗セブン』『HEADS UP!』『三文オペラ』等の舞台、映画、ドラマなど様々な分野で活躍。6月開幕オリジナルミュージカル『ザサーカス』に出演予定。(C)Marino Matsushima

青柳塁斗 90年北海道生まれ。アクターズスタジオ北海道本部校を経て上京し、ミュージカル『テニスの王子様』で人気を博す。以来『FROGS』、地球ゴージャス『海盗セブン』『HEADS UP!』『三文オペラ』等の舞台、映画、ドラマなど様々な分野で活躍。6月開幕オリジナルミュージカル『ザサーカス』に出演予定。(C)Marino Matsushima

――初日まで1週間を切りました。今、お稽古はどんな段階でしょうか?

「オーケストラ付きの通し稽古をやっています。だんだん全体像が見えてきたところですね」

――アニーが探す“本当の親”になりすまし、ウォーバックスから大金をせしめようとするルースターと恋人リリー。青柳さんは昨年からこの役を演じていますが、今年はどんなテーマで取り組んでいるでしょうか?

「変装して一芝居打ちに行く時、本気で騙しに行っています(笑)。登場した時、お客様が“あれは誰?!”と混乱するぐらい。姉のハニガンとのやりとりではコミカルに鶏の真似をしたり、甘え上手なところを見せるけれど、後半、金のためなら邪魔者は消すとほのめかして冷酷さを見せたりと、いろいろな面のある役です。振付の広崎うらんさんが海外で『アニー』を観た時は、この役がとてもかっこよかったそうで、僕も“Easy Street”などではカッコよさを追求していますね」

――彼とハニガンのきょうだいは、もとはどんな家庭に育ったのでしょう?

「貧しい家庭で、金のためなら人を裏切ってもいいという家訓のなかで育ってきました。人を利用して生き延びてきたので、ギラギラした部分はあると思いますね。詐欺師を演じるにあたって、以前、メンタリストがブームになったとき、人の心を読む心理学の本を何冊か読んだことがあって、それが役立っているかもしれません。(人をだます)コツとしては、“さっと行ってさっと退散”と台詞でも言っていますが、一方的に話してやばいと思ったら話を切り替える、そういうテンポ感が大事なんだろうと思っています」

――今回、初共演のハニガン役・辺見えみりさんとは、どんなきょうだいになりそうでしょうか?

「辺見さんのハニガンからは、芝居のあちこちで、(いずれも曲者のきょうだいだけど)弟を上に立たせまいとする“圧”を感じますね。姉貴としての力強さがあります。いっぽう、序盤の登場シーンで、姉にお金をせびるところでは、ふつう距離感がありがちなのに、初めてやった時から演出の山田(和也)さんが“仲の良さが出てるね”とほめてくれました。辺見さんが稽古場で積極的に話しかけてくれた事もあり、そうしたものがうまく役にも出ているのかもしれません」

『アニー』2018年undefined(C)Marino Matsushima

『アニー』2018年 (C)Marino Matsushima

――続投の山本紗也加さん演じるリリーとの関係性はいかがでしょうか?

「改めて、ルースターとリリーとの関係は薄っぺらいものだったんだなぁと感じます(笑)。恋人のはずなのに、(ラブラブなムードより)金にしか反応しない。“金”という言葉が出てくると目を合わせる二人です。互いに利用し合っていることがよりわかりやすく見えるかもしれません」

――昨年は鮮やかな宙返りも取り入れていましたが、今回は?

「やっています。 “日替わり”でいろいろと試しているところです(笑)。でも今年はダンスキッズが凄くて、男女ともアクロバットをやる子がいるんですよ。そこは負けないぞ、と彼らとは違う技を出そうと思っています」

――今年のアニー役の二人はどんなアニーでしょうか?

「やえちゃん(宮城弥榮さん)はあいさつもしっかりしていて、真面目に取り組む姿勢が歌に生きている。ストレートにこちらに(その時の心情が)伝わってくる歌声です。ゆめちゃん(新井夢乃さん)はこの前“クラス替えがあったんだけど、疲れちゃって……”と学校の様子を話してくれて、ちょっとおませな感じがアニーらしいです。歌や芝居もいいけど、何より立ち姿が面白いですよ。子供ならではなのかもしれないけど、僕にはできない力の抜け加減で、アニーの抱えているいろいろなものが伝わってきます。

(演出の)山田さんと(振付の広崎)うらんさんは、今年の子役たちに対して、孤児院育ちなのだからもっと悪ガキっぽさも欲しいということで、しばしば“いい子にならないように”と言っていますね。大人の僕らであっても難しいことだと思うので、見ていて勉強になります」

――どんな舞台に仕上がりそうでしょうか?

「ビッグナンバーの“NYC”も少し変わってきて、さらにダイナミックな舞台になっていると思います。とてもわかりやすいストーリーで、僕らが出てくるパートは笑いも多いし、音楽もすごくいいので、気楽に観ていただきながら、アニーに勇気づけられ、元気をもらって帰っていただけるといいなと思います」

――プロフィールについても少しうかがいたいのですが、青柳さんはどんな経緯で芸能界に入られたのですか?

「郷里の北海道のアクターズスタジオに知り合いがいて、何となく行って気づいたらオーディションを受けていました。小学4年生の時です。男兄弟の家庭でみんな野球をやってたけど、アクターズスタジオに入ったことで僕だけダンスが好きで、夢中になってました。それで中二の時、今の事務所に声をかけられ、上京しました」

――中学二年生で上京とは、大きな決断だったのでは?

「当時の芸能界は東京メインでやっている人が多かったので、東京に行けば芸能人になれる!という感覚で、寂しさなどはまったくなかったです。でも上京してから、長く下積みが続いて……。当然ですよね、周りはすごい方ばかりで。北海道のスタジオは小さくて、その中でできるといっても、東京では強者ばかり。いろいろな舞台に出させていただき、苦しみながら楽しみながら現在も修正中です」

――でも上京したての頃にはやくもミュージカル『テニスの王子様』に出演されていますね。

「中三の時ですね。オーディションで皆がやっていないことをやろうと思って、台詞の書かれた紙を置いて、壁をけって回ったりしたのが自己表現として評価されたみたいです。歌ったり踊ったりという表現が楽しくて、ミュージカルをやっていきたいと思うきっかけになった作品ですね」

――幼馴染の平間壮一さんは、同じ飛行機で上京し、今も同じ事務所に所属する仲ですが、彼はどんな存在でしょうか。

「北海道にいた頃は、どちらが上に行けるか競っていたけれど、もう“ライバル”とは思わなくなりましたね。時々連絡して、ごはんにいって。相手が頑張っているから自分も頑張れる、という支えにもなっている。いわば兄弟のような存在でしょうか。たまに会うと、“お互い、長く続けていこうぜ”と言い合っています」

――表現者として、どんなビジョンをお持ちですか?

「これまでは“体がきく”と評価してくださる方が多かったけれど、これからはさらに自分だけのカラーを出しつつ、いろんな分野に挑戦していきたいですね。例えばハリウッドという可能性を考えると、英語も磨いていかなくちゃいけないし、日本刀を使ったアクションも極めていきたい。公演ごとに取り組む殺陣にとどまらず、継続的にアクションを学んでいきたいです」

――和服も似合いそうです。

「そういう自分でありたいです」

*次ページで2017年版稽古場・観劇レポートを掲載しています!