休職から復職へ…スムーズな移行のために心がけたいこと
休職後の久しぶりの出社……復職時は誰でも不安になるものです。なるべく少ないストレスでこの時期を迎えるコツを押さえておきましょう
スムーズな復職 Point 1:生活リズムをチェックする
生活リズムは、大きく「起床時間、食事時間、外出時間」で考えます。復職前にどの点に気を付けて整えておくと安心か、個別に解説します。■起床時間は仕事に行く時間に合わせておく
休職期間中であっても、仕事に行く時間に合わせて毎日起きることが大切です。毎日起きられていないのであれば、それは働く準備が出来ていないことになります。例えば、出社時間が10時の場合、直近2週間では出社に間に合うような時間に起床しておきたいものです。10時までに出社する為に、8時半に起床して9時半までに家を出るのであれば、9時半に起床していたのでは間に合いません。厳しい言い方になってしまいますが、1日だけ9時半であっても良くないと言われています。体調が良いとき、起床時間のばらつきは遅刻さえしなければ許されます。しかし、復職のときはどうしても厳しく評価されるため、しっかりと整えておきましょう。
■食事時間は仕事での休憩時間。適宜上手な休憩を
食事時間は、生活リズムを考える上で、仕事での休憩時間に相当します。従って日中の過ごし方の中で、上手に休憩が取れているのかを判断するものになります。それ以外の時間でも1~2時間仕事をしたら、休憩を15分入れることを考えると良いでしょう。
■外出時間は「復職後の勤務時間」と仮定する
外出時間は、外出している時間を勤務時間と仮定して、勤務しているときと同じように過ごすことを言います。職場復帰をする際に、この外出時間はとても重要になります。なぜならば、家の中の活動だけでは気づきにくい疲労感や他人との会話での緊張感を体験することが出来るからです。具体的には図書館やカフェで読書をする、PCを使うなどということをやります。理想は、就業時間に合わせての時間ですが、難しい場合は最低でも朝の出社時間に合わせて家を出て、カフェ等で数時間は滞在することを心がけてほしいと思います。
スムーズな復職 Point2:起床時の疲れは「ゼロ」を目指す
復職者に求められていることは、何だと思いますか? 仕事で成果を出すこと? 良好な人間関係を築くことでしょうか? 復職者に最低限求められていることとは、「継続的に働ける」ことです。それを可能にするのは、「コンディションの安定性」です。実際に復職者に求められるのは、業務遂行性(集中力や判断力)、コミュニケーション(適応力)などもあげられますが、まずはコンディションを安定させるうことが第一です。
コンディションの安定性を測定する指標として、起床時の疲れがあります。起床時の疲れが高いのと低いのが交互にある場合は、まだココロもカラダも仕事に戻る準備が出来ていません。仕事をしていると色々なひとと話をしたり、問題を解決したりと、とても疲れるわけです。そのためには数ヶ月かけて仕事に「慣れる」必要があります。しかし疲れがまだある状態で復職をしてしまうと、復職後から疲れが蓄積してしまい途中で疲れがピークを迎えてしまい、せっかく復職したのに再度、仕事にいけない状況になってしまいます。
コンディションを安定させるためには、日常の中で精神的な疲れを溜めないことと毎日の睡眠で疲れを解消することこの2つしかありません。この2つを復職前にしっかりと習得しておきたいものになります。
まず評価方法については、10段階評価で考えます。全く疲れがない状態をゼロ、疲れて全く起き上がれない状態を10とした場合に、この1週間で平均でどのくらいだったのかか点数をつけてみましょう。起床時の疲れが、5/10(半分)もあれば、現時点でコンディションが安定しているとは言えません。残念ながらこのような状況であっても主治医が復職できますなんて診断書を書いてくれる場合もありますが、復職後に長続きしない可能性が高いので、しっかりと自分で評価してみましょう。
どのくらいであれば、復職が出来るのかということになりますが、原則は「ゼロ」です。仕事をしていないのであれば、起床時の疲れは「ゼロ」にすることが必要です。最悪2/10くらいまでは許されるかもしれませんが、これでも復職後に失敗する可能性が高くなります。
そのためには、しっかりと睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めることが不可欠となります。従ってPoint1とも関係しますが、日中の外出を含めた生活リズムを良くすることが重要です。
スムーズな復職 Point3:働くイメージを持てるようにする
Pointの3つ目は、当たり前かもしれません。復職をするためには、「働きたい」という就労意欲が不可欠です。実は、この「働きたい」という気持ち、仕事がから離れれば離れるほど薄れていくものです。誰かと繋がっているからこそ仕事のイメージは湧いてきます。私の経験上、1年半休職しているとなかなか働くイメージを持てと言われてもそれは難しいわけです。従ってこれを避けるためには、上司や同僚とのコミュニケーションが重要になります。一般的に上司・同僚とのコミュニケーションを頻回にしていくことで仕事のイメージは醸成されるため、休職中でコンディションが安定してきた段階で、上司や同僚と連絡をとってみましょう。メール、フェイスブックやLINE等のチャット、社内チャットシステム、電話、そして直接に会ってもよいかもしれません。頻度としては、メールやチャットレベルであれば週1回、電話であれば2週間に1回、直接会う場合は月1回程度がベストです。
伝える内容として大事なことは、自分のコンディションを伝えます。たとえば、「この1週間波があるものの、朝8時に起きられるようになっています」とか「今の課題は、疲れを感じやすかったり残しやすいことなので、それを改善するために、睡眠時間を増やしています。それでも日中の外出をカフェで読書をしたりPCを使うなどして感覚を取り戻しています」などです。上司や同僚としては、コンディションを知ることで今の状況を把握できるので、それを知った上で復職後の対策も考えやすくなります。さらに自分のことだけでなく、仕事の話や今の部署の状況を上司、同僚から聞くことができます。自分が信頼している部署の人はもちろん、業務の配慮を可能にする上司との会話は特に不可欠です。当然ですが、今回の休職に至った原因が上司であれば、人事総務や同僚が良いかもしれません。
スムーズな復職 Point4:復職後は、睡眠、睡眠、睡眠
復職後は、特にカラダもココロも疲れやすい状況です。特に、復職後2週間~2ヶ月目までは、職場での緊張感からカラダが硬くなり、疲れが取りにくいタイミングとなります。従ってこのタイミングでとても重要なのが、休職中の睡眠時間にほんの30分~1時間増やすことをします。具体的には、起床時間は今までと同じにして、寝る時間を30分だけ早めて下さい。どんなひとでも復職後の3ヶ月は辛いものです。仕事に慣れるまでには、3~6ヶ月かかり、若ければ若いほど短くなります。休職前のコンディションの重たさも、軽度であれば仕事に慣れるまでの時間が短くなります。逆に年齢の高い方や休職前のコンディションが重たかった場合、そして仕事の負担が強い、部署内の人間関係、スキルのミスマッチといった根本的原因が取り除かれていない場合は、通常業務に戻るまでに時間がかかり、再度休職になってしまう可能性も高くなってしまいます。
だからこそこのタイミングを乗り越えるために、「睡眠」を大切にしましょう。それ以外にも精神的な疲れを取り除くためには、「心拍数を上げるような運動」も効果的ですので、復職前から週1回程度は、継続しておくと良いでしょう。詳しくは「ビジネスパーソンが注意するべき「精神的な疲れ」」をご覧ください。