1:消火器の使用期限で管理状況をチェック【敷地内】
本当は消火器がそのままに置かれているのもあまりよろしくない状況。最近は箱に入っている例が多い
集合住宅で敷地内に消火器が置いてあったら、きちんと定期的に交換されているかをチェックすることで、管理状況を知ろう。
消火器は業務用でおおむね10年、家庭用でおおむね5年という使用期限が決められており、本体に貼られたラベルにいつ製造されたか、あるいはいつまでが起源かなどの表示があるはず。それを過ぎた消火器は安全確保のため、更新するのがベター。
一般社団法人日本消化器工業会のホームページによると使用期限を過ぎた消火器には破裂の危険があるそうで、役に立つどころか、危害の原因になりかねない。また、腐食、キズ、変形などが見られる消火器も危険という。
ところが、物件によっては最初に設置されたまま、交換されずに放置されている例もあり、そうした物件では管理にお金をかけず、安全が確保されていない可能性がある。注意しよう。
2:建物の裏、庇の裏など裏から建物の状態を知る【敷地内】
建物の素顔は正面ではなく、多くの人が見過ごす裏に出るもの。建物の裏や庇(ひさし)の裏、裏手にある非常階段などを見ると建物や管理の状態が分かる。ゴミが捨てられていたり、雑草が生い茂っているなどの場合には、悪臭や害虫に悩まされる可能性もあり、あまりに手入れされていないようなら避けたほうが無難かもしれない。また、人目につかない建物裏手は女性や子どもを狙った犯罪が起きやすい場所でもあり、そうした観点からもチェックしておきたい。
3:他住戸のバルコニーから入居後の生活を想像【敷地内】
すでに入居者のいる物件なら、他の住戸に住む人の様子も気にしたい。といっても最近は個人情報の問題もあり、どんな人が住んでいるかを教えてもらうのは難しい。そこで確認したいのはバルコニーやエントランス回りなど、外から見える部分。隣戸のバルコニーがゴミの山になっていたり、エントランス回りに私物が積まれているような場合は、集合住宅のルールに無頓着な人が住んでいる可能性があり、あまりにひどい状況なら避けたほうが良いことも。もちろん、隣戸のみならず、他住戸も確認できるようなら見ておいたほうが良い。
4:湿度と水に注意して五感で住み心地を確認【室内】
健康的で気持ちよい生活を送るためには室内の「水」に注目しよう。まずは室内の湿度。湿っぽい部屋は結露が発生しやすく、見た目に不愉快なだけでなく、カビその他の発生に繋がり、健康にも悪影響を及ぼす。これを知るためには壁に手を当ててチェック。特に北側の部屋の収納部など、閉めっぱなしにしやすい場所は湿度が高くなりがちなので忘れずに確認を。北側に配置されることが多い玄関も同様。新築の鉄筋コンクリート造の建物は、新築時から数年はコンクリートから水分が放出されるため、どうしても湿っぽくなりがち。下見時に気になった場合には意識して収納部を開けておくなど、暮らしに注意が必要だ。もし、こうした湿っぽさを避けたい場合には新築ではなく、ある程度築年数の経っている部屋のほうが無難。
逆に築年数が経っている部屋では実際に水を流させてもらい、流れにくくないかをチェック。ただし、風呂の排水まではチェックできないので、これについては入居後すぐに確認するしかない。古い建物の場合にはシンク下などに水漏れの後がないかも見ておこう。
5:室内のサイズを測る時には2カ所が基本【室内】
下見時にはメジャーも忘れず持参、必要な個所を測ろう
カーテンや家具を置く場所を検討するために室内の採寸をする場合には必ず、2カ所で測っておこう。特に木造住宅の場合には建物そのものが微妙に歪んでいることがあり、建物によっては1センチ以上違う例もある。となると、家具の一端が入らなかったり、カーテンの長さが中途半端に見えてしまう可能性もあるのだ。
ちなみにそれ以外で下見時にサイズを測っておいたほうが良いのは冷蔵庫、洗濯機それぞれを置くスペースに、ベッドやクロゼットなどの大型家具を置く場所。
ひとつ注意したいのは一体型の洗濯乾燥機は意外に高さがあり、古い住宅の場合、水栓が邪魔になって入らないケースがある。その場合、水栓の工事が必要になるので大家さんに許可を得る必要が出てくるので、早めに採寸、許可を得るようにしたい。また、これから購入するのであれば、洗濯パンから水栓までの高さを測っておき、入る機種を選定するなどの手もある。
6:外部のゴミ置き場で周辺住民のマナーを見る【周辺環境】
「回収できません」などとして放置されているゴミがあるような場所は要注意
敷地内にゴミ置き場がある場合にはたいていの人が見に行くと思うが、敷地外のゴミ置き場を利用する場合も見ておきたい。位置、いつ、どの種類のゴミを出すのかを確認すると同時に周囲の人達もマナーもチェックできるからだ。連絡もなしに粗大ごみが出されていたり、分別されていないゴミが放置されているようなら、要注意。ルールを守っている人たちが多く住んでいる地域のほうが快適に暮らせるはずだ。
7:夜10時以降にうるさい場所は音に悩まされる可能性あり【周辺環境】
昼間は静かな公園が夜間、うるさいこともあるので注意が必要
防犯や夜間の音問題を気にする人なら、昼、夜2回の下見をお勧めする。いつも帰宅するくらいの時間に最寄り駅から歩いてみれば、どこの店が開いているか、暗い、死角になりそうな場所がないかなど、夜道の安全性がチェックできる。もし、人通りが少なく、不安な場所があったら他のルートがないかも調べてみるという手も。
また、夜10時以降は一般的な飲食店が閉まり、マンション等の楽器演奏も禁止されることが多い時間なので、この時間にうるさいということはずっとうるさい可能性もあり、要注意。昼間は静かなのに、夜間になるとカップルや団体が集まって話し声が気になる公園、緑道などもあるので、その辺りは不動産会社、地元の人にも聞いてみよう。
8:他の建物から見下ろして覗きの危険性をチェック【周辺環境】
住宅街の中では難しいが、商業施設などがある場合には駐車場から周囲が見ろせる場所などがあることも
周囲に下見した建物が見下ろすような建物があったら上らせてもらい、建物とその周囲を眺めてみよう。室内を覗かれないかどうかについては下見した部屋のバルコニーから外を見て確認するのが一般的だが、高さが違う、正面ではなく、斜めの建物などから覗かれた場合には気づかないケースがある。だが、他の建物から周囲の建物との位置関係を意識しながら見ると危ない方角が分かることがあるのだ。
また、周辺の施設との位置関係や、土地の高低などが少し離れた位置から眺めることで見えてくることもある。時には屋上に草が生え危ない状態であることが分かったりもするので、可能なら、ぜひ、上らせてもらうようにしたい。
もうひとつ、下見時でなくても良いが、気持ちよく住める部屋を見つけるために必ず聞いておきたいのは建物の所有者だ。注意したいのは最初から投資家に販売するために作られた物件や投資ファンドが所有している場合。前者では購入者が管理組合を作って管理に当たるが、収益しか気にしない人たちが所有している物件では管理が適切に行われていない例がある。投資ファンドは収益最適化を優先するので、住み心地に配慮がないケースもある。
もちろん、すべてがダメではないし、住み心地より利便性という判断もありうる。だが、気にしても良いポイントであることは確か。聞いてみよう。
下見時の8つのチェックポイントまとめ
■敷地内ではここを見る1:消火器の使用期限で管理状況をチェック
2:建物の裏、庇の裏など裏から建物の状態を知ろう
3:他住戸のバルコニーから入居後の生活を想像
■室内ではここを見る
4:湿度と水に注意して五感で住み心地を確認
5:室内のサイズを測る時には2カ所が基本だ
■周辺ではここを見る
6:外部のゴミ置き場で周辺住民のマナーを見る
7:夜10時以降にうるさい場所は音に悩まされる可能性あり
8:他の建物から見下ろして覗きの危険性をチェック
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