日本で530万人もの患者がいる肺の慢性疾患・COPD

灰皿とたばこ

喫煙が原因となる疾患は、COPD以外にもたくさんあります

「肺の生活習慣病」ともいわれる慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。COPDの患者数は日本国内でも世界でも年々増加しています。そして、世界的に主要な死亡原因のひとつでありながら、広く認知されているとはいえません。

少し前の調査になりますが、2001年に行われた順天堂大学医学部の『NICEスタディ』という大規模な疫学調査では、40歳以上の日本人の8.6%がCOPD患者だと推定されています。人口にすれば、およそ530万人となります。しかもその大多数が、医療機関での診断や治療を受けていないというのです。

さらにCOPDの死亡率をみると、2017年のCOPDによる死亡者数は1万8523人に上っています(厚生労働省「人口動態統計の概況」)。死因別死亡数で見てみると、2010年以降は男女合計での死因で第9位に位置していましたが、2014年からは全体順位を下げています。しかし男性の場合は2017年時点でも第8位です。

 

COPDの原因はタバコ?喫煙者の15~20%がCOPDに

COPDの原因として、第一に挙げられるのがタバコです。喫煙者の15~20%がCOPDになるといわれ、患者のおよそ90%は喫煙歴があります。では、喫煙がCOPDにどう影響するのかを説明しましょう。

タバコの煙を吸うと、肺の中にある気管支が炎症を起こします。この炎症によって気管支が細くなったり痰や咳が出たりして、肺への空気の流れが悪くなる「慢性気管支炎」を起こします。

気管支は呼吸に欠かすことのできない組織です。タバコの煙はさらに、気管支の奥にある肺胞を破壊し、「肺気腫」という状態を引き起こします。肺には、酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する「呼吸」という、生命維持に欠かせないはたらきがあります。しかし肺気腫になると酸素を取り込みにくくなり、呼吸の機能そのものが悪化してしまいます。
 

COPDの症状…体を動かすと息切れする自覚症状がスタート

COPDの主な初期症状は、歩いているときや階段の上り下りなど、体を動かしたときに息切れを感じたり、咳や痰がずっとつづいたりすることです。ところが、このような症状は体調不良や風邪にありがちなので、多くの人がCOPDに気づかないまま日常生活を送っているのです。

病状が進むと、特徴的な症状とされる軽い息切れが、ちょっとした動作だけで起こるようになり、呼吸がとても苦しくなります。そうなると体の活動量が低下して、食事をすることすら困難になってしまいます。その結果、栄養状態が悪化し、心臓や血圧に関する合併症を引き起こすケースもあります。

COPDは非常に身近な病気ですが、最悪の場合、死に至ってしまうこともある怖い病気なのです。
 

COPDの診断法

COPDの診断では、スパイロメトリーといわれる呼吸機能検査が行われます。検査は、空気を思い切り吸ったあとに、できる限り速く息を吐き出して、最初の1秒間で出た量を測ります。この値を肺活量で割った数値が70%未満の場合、それが他の病気によるものでなければCOPDと診断されます。
 

CODPの対策法・治療法…まずは禁煙が大前提

COPD治療の基本は禁煙です。そのうえで、気管支拡張薬や吸引ステロイド薬を使った薬物療法や、呼吸をしやすくするためのリハビリテーションが行われます。症状が進んで、自力の呼吸だけでは健康が維持できなくなった人には、小型の人工呼吸器とマスクを使って呼吸を助ける、換気補助療法も必要となります。

COPDの恐ろしい点は、一度COPDになってしまうと、治療をしても肺の機能を元に戻すことができないことです。また20年以上の喫煙を経て発症するため、本人に病気の自覚が乏しく、発見したときには重症化していることが少なくありません。しかし、早期に発見すれば、治療で進行を遅らせることもできます。風邪でもないのに咳がつづくときは、医療機関で調べてみるようにしてください。(監修:今村 甲彦
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