定年・退職のお金/老後資金の貯め方

人生のリスクヘッジにiDeCoを活用する

個人型DC(iDeCo)は、基本的に老後の生活費を確保するためのツールですが、別な観点から見ると、人生のリスクヘッジにもなるという特性を兼ね備えています。それはどういうものなのか、簡単に説明していきましょう。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

  • Comment Page Icon

確かに途中引き出しは困難だけれども

これは個人型DCに限った話ではありませんが、確定拠出年金のデメリットとして、「現金化しにくい」点を挙げる人は、結構大勢いらっしゃいます。

確かに、確定拠出年金に加入し、積立を開始したら、途中で「生活費が苦しくなったから積立を止めて、これまでの積立分を現金化してくれ」と言っても通用しません。積立を停止させる、拠出金の額を減額させる、あるいは積立金を拠出せずに運用のみを行うことはできても、それまで積み立てたお金を引き出すのは、原則として認められないのです。

そもそも、そんな簡単に積み立てたお金を引き出せたら、老後の資産形成につながりません。引き出せないからこそ、長い歳月の中で積立を継続することを通じて、老後の生活に必要な財産を築くことができるのです。
 

確定拠出年金は差し押さえの対象にならない

積立期間中の全部もしくは一部の引き出しが認められないのは、何も確定拠出年金に限った話ではありません。公的年金も同様です。なので、個人型DCも「年金だから」と思えば、積立期間中の引き出しが認められないのは、腑に落ちると思います。

また年金だからこそ、きっちり法律によって守られている部分があるのも事実です。確定拠出年金法第32条には、以下の文面があります。「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」。

特に個人事業主の場合、会社の資産は自分の資産とイコールであるのが普通です。銀行融資を受ける際も、社長の個人保証によって行われる場合が大半です。そのため、不幸にして会社の経営が行き詰まり、倒産になると、社長の個人資産は大半が差し押さえの対象になります。

でも、個人型DCに関しては、国民年金と同様、差し押さえの対象になりません。これはもちろん、第2号被保険者として加入している企業型DC、および厚生年金についても同じです。確かに、原則として引き出せない不便さはありますが、だからこそ自分が経営する会社が倒産しても、あるいは自己破産しても、年金資産として守られる安心感はあるのです。
 

離婚時の財産分割にも役立つ個人型DC

そしてもうひとつ、これは結婚している方のみ当てはまる話ですが、将来、離婚した場合でも、確定拠出年金の資産は年金分割の対象にならないというメリットがあります。

熟年離婚した場合、「年金は2等分」という話があります。厳密に言えば、きっちり2等分にはいかない面もあるのですが、年金分割の対象になるのは、あくまでも婚姻期間中に該当する厚生年金と旧共済年金のみになります。つまり国民年金は対象外ですし、同様に確定拠出年金部分も対象外になるのです。

したがって、確定拠出年金に加入できる人は、この部分をいかに手厚くするかが、離婚した時に自分の財産を確保するためのリスクヘッジになります。企業型DCに加入している人は、所属している企業側が一定条件のもとに個人型DCとの併用を認めている場合は、必ず個人型DCにも加入したほうが良いですし、個人型DCのみという人は、できるだけ拠出限度額いっぱいまで掛けたほうが良いでしょう。

第3号被保険者の方も個人型DCに加入しておけば、月2万3000円を上限にして、着実に自分だけの資産を築くことができます。つまり、離婚時の財産分割で、相手と駆け引きをせずとも、個人型DCで積み立てておいた分は、確実に自分の財産として確保できるのです。

【関連記事】
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/11/30まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます