短時間で一幕だけ鑑賞

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歌舞伎は観たいがお財布は寒い


歌舞伎ってどうしても「値段が高い」「時間が長い」と敬遠されがち。ちょっと観てみたいなと思っても、5時間かかるなんて言われたら、躊躇しちゃいますよね。まずは、一幕だけ観られる一幕見というシステムを利用してみてはいかがでしょうか?

「え? でも、どうせ観るなら、一部ではなく最初から最後まで観たいのだけれど……」と思う人もいるかも。 いえいえちょっと違うんですよ。

歌舞伎座での上演は大抵昼の部と夜の部とに分かれています。(月によっては3部制のこともあります)その昼の部または夜の部で、それぞれ3ないしは4つの演目が上演されます。それぞれ別のお話や踊りを3つか4つ上演する方式を「見取り」といいます。(ひとつの長いお話を最初から最後までやる場合もあります。それは「通し」といいます)

長い話を延々とするのではなく、見所の箇所だけいくつかつまんで上演する「見取り」方式は歌舞伎座では多いのです。その一幕だけ観られるというのが、一幕見です。国立劇場は「通し」の上演が多く、一幕見はありません。


一幕見のメリット

一幕見のメリットはなんでしょうか。

・値段が安い
歌舞伎のチケットというのは、桟敷席が約2万円。1等席が約1万8000円。2等席が約1万4000円。3階A席が約6000円。3階B席が約4000円です。なかなか手が出ませんよね。

でも、幕見席なら4演目のうち1演目だけ観るので、3階B席の4分の1の値段、つまり1000円程度で見ることができるのです。3演目なら、たとえば1200円と800円と1000円とか、とにかく3演目続けて幕見をみたら3階B席の料金と同じになるような配分で金額が決定されます。
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1000円前後でお得なチケット

・時間が短い
1演目ですから、30分~1時間くらいと短い時間で歌舞伎を観ることができます。これなら気軽にトライできそうですね。

通の人は「月のうちに同じ贔屓の役者の演目を何度も観てみたい」といった理由で、一幕見に通う人も多いようです。


一幕見のデメリット

では、一幕見のデメリットはなんでしょうか。

・まとめ買いはできない
当日売りのチケットのみで一人一枚のみ、複数買いはできません。友達の分をまとめて買っておくとか予め前日以前に買っておくといったことはできないのです。

・ロビーにははいれない
1階から3階までの入場口と全く違う、まるで通用口みたいなところからエレベーターを使って4階まであがりますので、歌舞伎座の絨毯やロビーなどといった豪華な雰囲気を味わうことはできません。

・お土産屋も食堂も不可
歌舞伎座内のお土産屋に入ることも飲食スペースに入ることもできません。

・舞台から遠い
4階席なので、舞台からは遠いので、見えづらいし、聞こえづらいこともあります。

それでも、歌舞伎座全体が見渡せ、超一流の芝居を味わうことができるので、歌舞伎のなんたるかを知ることができますし、1000円そこらでプロの上質の演劇が観られるのですから一度試す価値はありますよ。

それでは、チケットをとってみましょう。


チケットを買う方法

・チケットを買う場所も一般チケット売り場とは別
歌舞伎のチケットの取り方は、ネットや電話で取る方法がありますが、一幕見のチケットの取り方はそのどれとも違います。歌舞伎座正面左側に「一幕見チケット売り場」という売り場があります。そこで買うのです。
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正面玄関左側の窓口が一幕見のチケット売り場


・売り出し開始時間をチェック!
フラリといって、フラリとはいる方法もありますが、それは時として「もう締め切りました」と断られることもあります。演目ごとに販売スケジュールが初日前に、ネットまたは歌舞伎座前で発表をされますので、そちらを参考にします。

たとえば、2017年1月の午前の部の演目とスケジュールを例に取って見てみましょう。
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売り出し場所で係員の人が見せてくれる

最初の演目は「将軍江戸を去る」です。上演開始は11:00上演終了は11:58です。このチケットを売り出すのが10:30。

人気の演目の場合は、上演開始の頃にノコノコ行っても売り切れの場合があり、みなさん売り出し時間の前から行列をして並ぶわけです。4階は椅子席90席、立ち見席が60席なので整理券が150番までになったら、締切となります。

この販売開始時間は、先ほども書きましたが歌舞伎座の前に行くか、ネットでは初日前に歌舞伎美人というサイトの公演情報でひっそりと発表されます。
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長椅子が用意され、座って待つことができます


販売開始は10:30。その15分前くらいに並べばほぼ座ってみることができますが、たとえば襲名披露や人気俳優が出るようなときには販売開始の30分ほど早めに並んだほうがいいでしょう。


冬は寒くて行列を避ける人が多いせいか空いている傾向がありますので、防寒対策をしっかりして並んでみてはいかがでしょう。

・販売開始と上演開始の時間のずれ

10:30販売開始11:00上演開始ですと、チケットを買ったらすぐ入場となりますが、販売開始時間によってはすぐ入場とはならない場合があります。

今月を例にとりますと、次の演目「大津絵道成寺」は、販売開始時間が11:15です。上演開始が12:28です。売り出してから上演まで随分時間があきますね。

そういう場合は、一旦解散となり、「上演20分ほど前までに集合してください」と言われます。間が空く時にはその間に小腹を満たしたり、木挽町広場を冷やかしたりして上演を楽しみに待ちましょう。

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こちらが一幕見専用入口

さて、集合時間になると、この別の入口から入場します。立派な歌舞伎座正面の入口を横目で眺めて4階までエレベーターで直通です。
4階に着くと殺風景な廊下があり、係員の指示に従って、番号順に並び中に入るのを待ちます。

時間になると速やかに番号順に入場しますが、中に入ればあとは自由席です。真ん中、もしくは少しでも花道が見えるよう、右側の席をとるようにしましょう。


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エコバッグに入れて椅子の下に荷物をいれる

席は歌舞伎座中を見下ろせるてっぺんです。眺めの良さを堪能しましょう。
席は狭くて荷物もじゃまになります。4階にはロッカーはありますが、ロッカーに入れるほどでもないという場合はなるべくやわらかくてたためる袋、つまりエコバッグにひざ掛けやコートはしまって、椅子の下にギュっといれてしまうと楽です。





4階にあるものないもの

はじめての歌舞伎なら、ぜひ借りたいのがイヤホンガイド。イヤホンガイドは通常700円(プラス保証金1000円※返却時返還)ですが、一幕見の場合は500円で借りられます。オペラグラスは、レンタルがありません。3倍の1050円のもののみ販売しています。(3階より下のショップでは8倍のオペラグラスを販売しています。)そのほか、筋書きの販売はあります。ロッカー、トイレはありますが、お土産物屋さんや食べ物屋さんはありません。飲み物の自動販売機はあります。


一幕見のコツ

一幕見は、昼の部なら昼の部の3、4演目は続けて取ることができます。チケット買うときに係りの人に「続けて次の演目も見ますか?」と聞かれるので、「次の演目も」とか「最後まで」といえば、続けて買えるのです。つまり、どんなに人気の演目でチケット完売のときでも「当日並べば歌舞伎は必ず観られる」のです。

ただ昼の部を買うときに、夜の部まで通して買うことはできません。一旦また外にでて買い直しましょう。

また、たとえば二つ目の演目が大変な人気であることが予想される場合は、一つ目の演目から入ってしまえば、それほど二つ目の演目の行列に並ぶことなく観られるということになります。もちろんそれだけお金を払うことになりますが。

逆にそういう人(前の演目から続けて観る人)が多い場合、二つ目の演目の販売売り出し時間30分前に行っても、「すでに立ち見席しかありません」と言われてしまうこともあります。



さて、実際に一幕見を観てみると、またいろいろなことがわかってくるでしょう。
「なんだか小さくてよく見えなかったなあ」という人もいるかもしれません。「まるで額縁に入った絵のようで美しかった」「ちょっと面白かった」という人もいるでしょう。「歌舞伎ってこんな演目もあるんだ。イメージが変わった」と新鮮に感じた人もいるでしょう。

ちょっと興味がわいたら、また観に行ってはいかがでしょう。もう少し気になったら、次は3階で観てみてください。そうして少しずつ舞台との距離を縮めて行ってみてはいかがでしょうか。銀座界隈で時間が余ったときにフラリと立ち寄るのもまたいいですね。

あなたなりの楽しみ方で、ぜひ今年は歌舞伎と関わってみてください。

筆者は毎月一幕見のツアーを開催していますので、ぜひそちらにもご参加ください。見る演目のあらすじや見所を解説したあとで一幕見をいっしょにみましょう!歌舞伎座ギャラリーなども巡って、歌舞伎の楽しさを満喫するツアーです。

ブログで随時告知もしております。
「親子で歌舞伎を楽しもう」