2017年だけでiDeCoの加入者は倍増
個人型確定拠出年金がスタートしたのは2001年のこと。以来、2016年12月末までの15年間の加入者数が30.6万人。そして、2017年になって、iDeCoに模様替えしてからの1年間で45.8万人が新規加入し、加入者数の合計が74.5万人になりました。iDeCoのプロモーションは、なかなか成功したといっても良いでしょう。もちろん、制度が模様替えして1年と4カ月程度しか経っていませんから、まだ道半ばにも達しておらず、本格的に普及するのはこれからです。節税メリットで15%リターン
iDeCoは加入者が60歳になるまで積立を続けるもので、60歳になるまでは原則として中途解約が出来ません。長期的な資産形成が大前提の制度です。iDeCoは投資信託だけでなく、預金や保険など元本確保型商品もラインナップする決まりになっているのですが、長期的な資産形成を前提にした場合は、投資信託で運用するのがベターです。「預金など元本確保型商品で運用しても、iDeCoの節税メリット分を利回りとして考えれば、15%程度のリターンが得られる」という考え方もありますが、預金好きな日本人の場合、すでに預金にある程度の資金がプールされているはずです。
そうであるにも関わらず、iDeCoでも元本確保型商品で運用するのは、少しでも老後資金を大きく殖やすという目的からすれば望ましくありませんし、何よりも税金の還付が現金で、給与の振込口座に入るため、知らないうちに使ってしまうことも考えられます。これらの点を踏まえると、iDeCoの運用は投資信託が望ましいと考えられます。
世界の株式市場に分散投資する投資信託を選ぶ
では、何で運用すれば良いのでしょうか。iDeCoの運用対象となる投資信託は、運営管理機関にもよりますが、かなりの本数が用意されています。恐らく、多くの方が迷うと思いますが、実際のところ選び方は簡単です。大事なことはシンプルな商品で、かつ将来の成長がイメージできるものを選ぶことです。たとえば、日本株のインデックスファンドはどうか、ですが、日本は今後、人口が減少傾向をたどっていく国です。そのような国の経済が、どんどん成長していくとは思えないでしょう。当然、それは株価にも反映されるため、日本の株価が今後、大きく上昇する可能性は低く、したがって株価指数への連動を目指す、日本株のインデックスファンドを選んでも、20年後、30年後に向けて大きなリターンは期待しにくいと思います。
逆に、世界中の株式市場に分散投資するファンドならどうでしょうか。
これは良いと思います。たとえば世界の株式市場に分散投資したのと同じ投資効果が期待できる、MSCIコクサイのような株価インデックスに連動する投資信託なら、世界経済が今後、成長していくのに伴い、投資信託の値上がり益も狙えます。しかも、ひとつの投資信託で世界中の株式市場に分散投資したのと同じ投資効果が期待できますから、わざわざ複数の投資信託を選ぶ必要もありません。これ1本ですべて事足りるわけです。
資産運用の要諦はシンプルであることです。それは、通常の資産運用にも、またiDeCoの運用にも当てはまります。iDeCoの運用は、世界の株式市場に分散投資する国際分散型の投資信託1本で十分だと心がけましょう。また、運営管理機関を選ぶ時も、この手の投資信託がラインナップされているところに口座を開くべきです。