韓国語/韓国語の学び方

韓国語の学び方 入門から中級まで

韓国語に初めて触れる方から、中級者までの学習法をアドバイス。ハングルに親しめる方法、実力アップの方法をご紹介します!

幡野 泉

執筆者:幡野 泉

韓国語ガイド

初めての韓国語~ハングル文字は、どう習得する?

ハングル練習帳
書き込みながら楽しく学べるタイプがお勧め!
ハングル文字は母音と子音の組み合わせでアルファベットのように読める! とはいえ、数は少ないとは言えないし、パッチムは出てくるし「覚えるのがちょっと大変」「頭が痛い」というのが、大多数の日本語話者の意見ではないでしょうか。

そう、韓国語学習の難関の一つといっても過言でないこのハングル文字の習得が、韓国語学習の第一歩。残念ながらこで学習をあきらめてしまう方もいるようです。語学学校などでは先生の発音を真似しながら繰り返し練習をしたり、宿題をこなしたりする中で自然と覚えていくことが多いですが、独学の方はそうはいきません。それでは独学の方は、どんなふうにハングル文字を習得したら良いのでしょうか。

独学でハングル文字を習得しようとされる方は、できるだけ「楽しく学習を進められる教材」を選んでください。分厚い教材を買って、その一番前に付いているハングル文字の部分を勉強するよりは、どちらかというとハングル文字だけが扱われている、書き込めるタイプの学習書が良いでしょう。例えば、『目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(両、著者:八田靖史氏、出版社:学習研究社)などがお勧めです。これらは、楽しく学習を進められる工夫がされているので、ハングル文字を習得するストレスを感じることなく、勉強を進めることができるでしょう。韓国語は日本語にもっとも似ている外国語の一つ、ということを思い出し、是非ハングル文字の習得という山場を乗りきってもらいたいものです。

入門~初級者の学習方法は?

●文法は、どう学ぶ?
ハングル文字を一通り習得したあとの総合的な韓国語の教材は、どのようなものを使ったら良いでしょうか。よく「お勧めの教材は何ですか?」という質問を頂戴します。いまは、ありとあらゆる切り口の教材が溢れており、個人の趣向や好みもあるので限定することは難しいのですが、長い目で見て上達することを考えていらっしゃるなら以下の点をチェックしてみてください。

・そのまま使えそうな会話形式の本文が載っている
・音声CD(カセットテープ)が付いていて、録音箇所が多い
・文法説明が日本語で分かりやすくされている
・語彙数が豊富(多すぎず、少なすぎず。使う頻度が高そうな単語が多い)

よって極端な例を挙げると、音声CDが付いていない小さな旅行会話帳や、解説が付いていないドラマの台本などは初心者の学習には適していない、と言えるのかもしれません。

一方で、自身のフィーリングも大切にしましょう。以上のような点に加え、学びやすい、続けやすいということも大切な要素です。書き込める大きめのタイプがいい、軽くて持ち運びに便利そう、本文がそのまま使えそう、日本語の説明が丁寧で分かりやすい、字が大きくて見やすい、カラフルで楽しい、絵が少なくて落ち着いて勉強できる、など、自分に合ったスタイルの本を見つけられたら良いですね。

「聞く、読む、書く、話す」の4つの技能を満遍なく
語学の学習は「聞く、読む、書く、話す」の4つの技能を辛抱強く繰り返していくことが大切です。

まずは、韓国語教材の本文などの音声CDを何回も聞いてみてください(聞く)。耳が慣れたら一緒に声に出して読んでください(読む)。何度も何度も読んでください。覚えるまで読んで欲しいのですが、分からない単語や文法があると覚えにくいのでそれはクリアにしてください(文法、語彙の確認)。

分からないところがなくなったら、書く練習もしてください。本文や例文だけでなく、新出文法を使って身の回りのことについて作文してみたりすると良いでしょう(書く)。

また、本文などを見ずに、聞くことだけで書き取ってみてください。これは「받아쓰기(パダスギ/聞き取って書くこと)」といって、韓国語学習者の初級者から上級者までが取り入れるべき非常に重要な学習法の一つです。これをする方としない方では、大きな実力の差が生まれます

パダスギができるようになったら、暗記できていることが多いです。そうしたら、独学とはいえ実際の会話を想定して、感情をこめて話してみてください(話す)。机から立ち上がって、架空の相手に向かって何回も。違う単語を入れ替えたりし、シチュエーションを変えるなどして工夫しましょう。そうすれば、いざ会話をしたい場面で自然と口から出てくるようになります。

ここまで教材を「なめつくす」ことをすれば、あっという間に確固たる実力が付くこと間違いなしです!

単語の増やし方
日本で学習される方は、当然のことながら身の回りの一切のものは日本語で表示されています。単語を増やしにくい理由の一つですが、それでも単語数をアップさせたい、語彙力を付けたい場合はどうしたら良いのでしょうか。

オリジナルの単語帳を作る、なども良いでしょう(「作る」ことで満足しないように!)。そして、もう一つのお薦めは付箋紙とサインペンを使って身の回りに貼っておくことです。

例えば台所。食器棚に、付箋紙で「접시(皿)」、「젓가락(チョッカラッ、箸)」、「숫가락(スッカラッ、スプーン)」、「먹다(食べる)、먹습니다(食べます)」、「식사(食事)」、「요리(料理)」など、食事に関連する覚えたい単語を書いて貼っておくとすぐに覚えますよ。凝らずにパッと書いて貼るだけだから、所要時間5分程度!

単語は一日に10回だけ書くよりも、10回に分けて目に触れる方がよく覚えるそうです。数週間経って「覚えたな」と思ったら、今度は違う単語を貼ってみたり、そうすることでどんどん語彙が増えていきます。玄関先、寝室、同じように貼ってみましょう。もちろん、ご家族の了解を取ってくださいね(笑)!

話す場所を見つけよう
少しでも韓国語を覚えたら話す場所を見つけましょう。韓国旅行に行ったり、韓国の友達を見つけたり、恥ずかしがらずに、相手の韓国語が聞き取れないことを気にしないで覚えたことをどんどん話すことがポイントです。

日本語話者の方がよくおっしゃるのが、「話しても聞き取れないから、話すのが嫌なんです」ということ。これではいつまでたっても話せるようになりません。とにかく覚えたことからどんどん話す。どうしても聞き取れない場合は、「천천히 말해 주세요.(チョンチョニ マレジュセヨ/ゆっくり話してください)」、「써 주세요.(ソジュセヨ/書いてください)」、またはジェスチャーで!

「ああ、間違えた。悔しい」「もっともっと話したい!」、その思いこそが、もっとも貴方の韓国語を上達させる秘薬になることでしょう。また、ときには「相手の発音が悪いんだ、ハハハ」くらいの気持ちでいるのも大切です。

 テレビを観る人
ドラマを観ているだけで韓国語が上達したらいいのに……
ドラマ、映画との付き合い方
ドラマや映画を使った韓国語学習は、ある程度韓国語の基礎を勉強してからが良いかもしれません。大好きなドラマや映画の韓国語で勉強したい! という気持ちは痛いほど分かるのですが、高度な文法が入っていたりパンマル(友達言葉)が多いので、初心者、初級者の方が混乱してしまいがちです。

私の経験談を少し。私が初めて韓国ドラマ(映画)を使って韓国語を勉強する、ということを経験したのは、日本国内で趣味で韓国語の学習を始めて2年くらい。週に一回通っていた語学スクールの中級クラスに背伸びして入ったときのことです。ある一本の映画を1回の授業で10分ずつ観ていくのですが、授業にあたり当番の人がその10分間のあらすじと台詞の一部を韓国語で書き、みんなにプリントを配って説明するというものでした。

私は当時ハングル能力検定3級を取得していましたが、とてつもなくこれが難しかったのです! 10分間の中で単語がところどころ分かるだけ。日本語字幕が付いている映画でしたが、字幕の助けを借りても韓国語が聞き取れませんでした。クラスメイトや先生が励ましてくれなかったら挫折していたでしょう。

しかし、そのときの勉強法は非常にためになり、後々とても役に立ちました。その学習法については、後の「中級者編」でお話させていただきます。

中級者の学習方法は?

中級文法は、どう学ぶ?
中級以上の文型を体系的に学習したい場合にお薦めしたいのが、韓国の語学学校の教科書です。

韓国の語学学校は通常、1級からはじまり6級で修了します。韓国ではそれぞれの語学学校の3、4級の教科書が一般的に「中級」の括りとなっていますので、3、4級の教科書で文型を習得すると「中級の文型」が身についたことになるといえます。

韓国の語学学校の教科書は、東京・新大久保などのコリアンタウンの書店で購入できますし、韓国の「ハングルパーク」(ソウルナビ)という韓国語テキスト専門店から直接購入することもできます(日本語でのメールや電話問い合わせが可能)。ソウル大学、延世大学、高麗大学、西江大学、カナタ語学院など、いろんな教育機関の教材があるので、できれば韓国旅行の際には「ハングルパーク」に行って、直接見てみると良いでしょう。

前田式韓国語文法中級トレーニング
『前田式韓国語文法中級トレーニング』(アルク)(クリックするとアマゾンのHPにとびます)
どの教材を選んだとしても、初級者編で述べたような「読む、書く、聞く、話す」の4つの技能を満遍なく引き上げていく勉強法を心がけてください。そのためには音声CDが付いているか必ず確認してください。中には別売りのものもありますし、韓国で出版された最近の韓国語の教材は、普通のCDプレーヤーでは聞けないMP3式のものもありますので、注意しましょう。

また、日本で出版された書籍では前田真彦(まえだただひこ)先生の書籍シリーズもお薦めです。

先ほどご紹介した韓国の語学学校の教科書は、中級で学ぶべき語彙・文法などは網羅していますが、日本語話者の弱点を見抜いた解説などにはどうしても欠けてしまいがち。しかし、前田先生の著書は日本語話者の視点から書かれていますので、きっと助けになってくれるでしょう。

中級語彙はどう増やす?
先ほどご紹介した教材を「なめつくす」方法で学んでいけば、中級レベルに必要な語彙はある程度身に付くと思いますが、徐々に短い新聞記事などを読む練習をしていくと良いでしょう。そうすれば、いろんなジャンルの語彙を身につけることができます。

韓国の新聞は手に入りにくいと思いますので、韓国の新聞社のインターネット記事(例:朝鮮日報のサイトの記事)などを読んでみることをお薦めします。最初は短く、かつ興味の持てるニュースから入っていき、徐々に政治、経済、スポーツ……と、いろんなジャンルの記事を読むようにしましょう。語彙は、一つ一つ丸暗記をするより、まとまった文章を読む中で身につくことが多いです。

個人のブログなどの文章は、正式な綴りでなかったり俗語が多かったりもするので注意してください。

韓国語ジャーナル
『韓国語ジャーナル』や、韓国ドラマでヒアリング力アップを図る!(クリックするとアマゾンのHPにとびます)
聞き取り能力はどう養う?
中級の文型・語彙が身についてきたら、徐々にドラマを使った学習なども可能になってきます。

まず、アルク社の『韓国語ジャーナル』(スペースアルク)は、聞き取り能力をアップするのにはもってこいです。一冊を、それこそ‘すり切れるまで’聞き、パダスギをしたりすれば、格段に貴方の聞き取り能力はアップするでしょう。韓国の旬の話題も知ることができ、韓国の方との会話の素材としても役に立ちます。

韓国ドラマ、映画の活用法
中級くらいの実力が付いてきたら、効果的に韓国ドラマや映画を使って学習することができます。私なりに体得した学習法を、ご紹介いたします。

【1】
好きな番組を見つけます。ドラマはもちろん、映画、ニュース、バラエティなど、素材は何でも構いません(インタビュー番組は、簡単な対話形式で進むことが多いので特にお勧めです)。
【2】
録画し、その中からワンフレーズだけピックアップします。最初は欲張らずに、数秒くらいの台詞にしておくと良いでしょう。
【3】
そのフレーズをパダスギしてみてください。

まずは、聞き取れる、分かる単語から書いてみましょう。分からない単語は、発音から音を推測して、その音をハングルに落とし込んで辞書で調べてみます。「ㅗ」と「ㅓ」の違いや、「음악(音楽)」の発音は、[으막] になるといった連音化現象など、日本語話者を悩ませるものが一気に登場します。だからこそ、良いのです。こうして、弱点をつぶしていくのです。

この単語でもない、あの単語でもないと探し、ようやくたどり着いて「ああ、これって、こう言ってるんだ!」と分かった単語は、記憶に残りやすいです。画面の人物の表情やストーリーも手伝って「覚える→自分の言葉として定着する」可能性が高いです。

最後に、聞き取った韓国語を映像の中の人物になりきりながら話してみてください。そうすれば、韓国の方との会話でとても自然な会話ができるようになります。

 勉強
日本語直訳文章は、おさらば!
書くことも忘れずに
中級レベルの方の書かれる文章の中で特に気になることは、「日本語をそのまま直訳した不自然な韓国語の文章を書いていること」です。よく、「韓国語で考えなさい」というアドバイスをされる先生もいらっしゃいますが、おそらく韓国語で考えられないからそうなっているのでしょう。きっと、韓国語のインプット(文章を聞いたり読んだりすること)の絶対量が足りないのだと思います。

韓国語で考えることができるようになるには、正しい韓国語の文章を全身に染みこませるような工夫が大事。先ほど申し上げたようなインターネット記事や、好きな分野のまとまった文章を読み込むことをしていってください。美しい、正しい韓国語のインプットが増えれば自ずとライティング力も着いてくるでしょう。もちろん、自分の考えをまとめ、書く(アウトプットする)練習の絶対量も大切ですよ!

これまで韓国語の学習方法についてお伝えしてきましたが、語学の学習方法に王道はありません。熱意、努力、継続……もそうですが、何より大切なのは楽しむ心、そして異文化を理解しようという気持ちではないでしょうか。皆さんならではの学習法を確立し、楽しく韓国語と付き合ってくださいね!
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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