お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

39歳、夫が起業したものの貯金100万円が増えず不安(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、自営業を始めたものの家計が苦しい30代夫婦のご家庭です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 まずは保険の見直しと借り換えの検討

ご主人の自営業の詳細は不明ですが、300万円あった貯蓄の半分を起業費用としたということは、その時点で貯蓄残高は150万円。もし、2万円の預金が継続していたら、本来2年後には200万円になっているはずですが、実際は100万円しかありません。つまり、2年間で100万円目減りしていることになります。単純には言えませんが、このペースが続くなら4年で貯蓄も底をつく計算になります。

したがって、家計の建て直しを急がなくてはなりません。ご相談者である胡桃さんの家計を見てみると、何はともあれ目立つのは保険料でしょう。学資保険を差し引いても、月に5万3000円は多過ぎます。そこで、保険料が割高な終身保険と外貨建ての保険はすべて「払済保険」にします。

そして、定期保険でご主人が2000万円、胡桃さんは1000万円、ともに20年定期で新たに確保します。保険料は夫婦合わせて7000円程度ですから、3万円は保険料が下がります。さらに医療保険は、ご主人が2本加入していますが、どちらか1本に整理します。これで計3万5000円が貯蓄に回せます。

加えて気になるのが住宅ローンです。自営業者とは言え、変動金利で3.8%は高いと思います。ネット銀行や信用金庫など、できるだけ多くの金融機関に相談すべきです。フラット35の35年固定でも、団体信用生命保険料分を上乗せして、低い金融機関であれば1.4%程度で借り入れられます。

公共料金の引き落としや給与振込も移すなどすれば、今より低い金利で、しかも全期間固定で借り換えられる可能性があります。仮に、金利2.0%で借り換えられたら、毎月の返済は5万5600円ほど。今より1万6000円下がります。支払い総額では700万円もの差となります。

ただし、借り換えには30万~70万円の諸費用が発生します。諸費用分も上乗せしてローンを組める金融機関もありますが、とりあえず諸費用分だけは手持ち資金で用意しておきたいところ。

したがって、それを支払っても100万円程度は手元に残る程度の貯蓄を目指してください。平行して、借り換え先を探していけばいいでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンの完済時期を少しでも縮める

また、ボーナスがないことを考えれば、家計から月5万~6万円は確実に貯蓄したいところです。それでなくても、太陽光発電の設置費用のローンが始まります。自宅の電気料金が下がり、さらに売電ができて、それで月1万円の返済が相殺できれば問題はありませんが、できなければ実際の生活コストはさらにアップします。

ただし、生活費はそれなりに抑えられています。スマホの契約を見直すなど、できることから細かく支出を見直していくしかないでしょう。

教育費については、学資保険に厚く入られていますので、それだけで大学費用はほぼ用意できそうです。中学、高校から私立となると、それだけ教育費もアップしますが、高校まで公立なら、学資保険をメインにこのまま用意していけばいいでしょう。

老後資金については、それを考える前にクリアしておかなくてはいけない大きな問題があります。住宅ローンの完済です。このままでは完済はご主人72歳のとき。自営業は定年がないことが大きなメリットですが、収入が保証されているわけではもちろんありません。そう考えれば、72歳まで支払いが続くことは、大きな家計リスクとなります。公的年金の半分がローンで消える可能性も十分にあるでしょう。

先の借り換えで返済期間を短縮もできますが、今回のケースでは、支払額を抑えるのが第一の目的ですから、それはできません。家計に余裕ができたら繰上返済によって、少しでも返済期間を前倒ししていくしかないと思います。
 

アドバイス3 妻のフルタイム勤務が第2子の条件

そういったことを考えると、提案したい点が2つあります。

まず、胡桃さんがパートからフルタイムに切り替える。厚生年金に加入し、手取りで月15万円程度になれば、家計は大幅に改善されます。

逆に言えば、第2子を希望されていますが、出産後も引き続きフルタイム勤務がひとつの条件と考えてください。経済的理由でお子さんをあきらめるのは辛い結論ですが、現状のまま第2子を出産されたら、家族の生活そのものが立ち行かなくなるかもしれません。

もうひとつは、今後の状況によっては、ご主人が自営業を断念し、会社員として働くという決断が必要ということ。今後もっとも避けたいのは、事業のために新たに資金を借り入れることです。住宅ローンを抱え、貯蓄も少ない今、それはあまりにリスクがあります。できれば、40歳をひとつの区切りとして、その時点で事業が長期にわたり収益を得られるというところまで来ていなければ、継続はあきらめる(あるいは小規模の副業にとどめる)べきではないでしょうか。もちろん、ご主人にも思いがあるでしょうから、そこはよくご夫婦で話し合ってみてください。

教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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