マンション購入、住宅ローン4000万円が高額で貯金できない

住宅購入し収支がキツくなった

住宅購入し収支がキツくなった

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、昨年マンション購入し、一気に貯蓄がなくなった奥様。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
むーさん(仮名)
女性/派遣社員/31歳
神奈川県/持ち家・マンション

■家族構成
夫(会社員/43歳)・子供(4歳)

■相談内容
昨年、4000万円のローンを組んで中古マンションを購入しました。同時に、引っ越しや家具の購入等に貯蓄を充ててしまい、またその前年に250万円でクルマを買ったため、今の貯蓄はほぼなしです。これから住宅ローンの繰上返済の資金、教育資金、老後資金を貯めるべく(定期貯金や学資保険を始めようと計画中)、家計の見直しをしていきたいのですが、やりくりや貯蓄が苦手なのでアドバイスを頂ければと思っております。また、もう1人子どもを欲しいと思っていますが、主人の会社は55歳で役職定年になり、税込で月収20万円くらいになってしまうようです。そういうこともあり、主人は将来の家計を考えると第二子に反対しています。私も半ばあきらめていますが、やはりこの家計で第二子は難しいでしょうか。

■家計収支データ
「むー」さんの家計収支データ

「むー」さんの家計収支データ




■家計収支データ補足
(1)加入保険の内訳
1.夫/生命保険(死亡保障3000万、医療特約・入院5000円)=保険料1万5000円
2.妻/生命保険(死亡保障1500万、医療特約・入院5000円)=保険料7500円
3.妻/個人年金保険(60歳から10年確定、年金額50万円)=保険料1万円
4.子ども/学資保険(15歳払い込み終了、18歳満期200万円)=保険料1万5123円

(2)住宅ローンの詳細
借入額3930万円(頭金なし)、返済期間35年、変動金利0.775%、ローン残高3865万円

(3)ボーナスの使いみち(昨年例)
引っ越し費用20万円、家具購入50万円、帰省費用25万円、車検費用12万円、その他

(4)教育費の内訳
保育園費用3万1100円、延長保育4000円、子どものお稽古6690円

(5)家族の小遣いについて
夫が営業職のため、交際費がかかるが、打ち合わせが社外の場合、会社が支払ってくれず自己負担となる。多いときは月2万円ほど。普段は小遣い5万円に追加1万~1万5000円。さらに妻の小遣いを加えると9万円程度になる。妻はこの小遣いと食費の負担が気になっている。

(6)妻の仕事について
現在派遣社員4年目なので正社員への切り替えを目指している。社員になれば初年度は税込年収360万円。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 さらに月5万~6万円、家計から捻出したい
アドバイス2 繰上返済は貯蓄とのバランスを見ながら
アドバイス3 現状では第二子はリスクが高い

アドバイス1 さらに月5万~6万円、家計から捻出したい

まず今後、どの程度貯蓄が増えるかを試算してみます。

現在、毎月3万円貯蓄できていますので、年間36万円。ボーナスについては、昨年は新居購入により、引っ越し費用と家具購入費用が発生していますから、通常は半分の60万円は貯蓄できるとします。これをご主人が役職定年となる55歳まで継続できれば約1200万円貯まる計算になります。

では、家計のやりくりでもっと貯蓄ペースを上げることはできるでしょうか。

まず、世帯収入が月額52万円、対して支出が44万6000円。これに貯蓄分3万円を差し引いても、4万4000円の行き先が不明となっています。これは、年間では53万円にもなります。貯蓄が増えていないのですから、実際何に支出しているかを把握しておくべきです。

また、奥様が指摘されるとおり、家族の小遣いは多いと思います。ご主人が交際費を自己負担している件については、ご主人なりの立場や考えもあるでしょう。それでも、自己負担せざるを得ない状況は改善すべきだと思います。きびしいかもしれませんが、たとえば月6万円の定額にして、交際費が多い月は小遣いをやりくりしてもらうといった「協力」が必要だと思います。

奥様は食費も高いと思うとのことですが、ご夫婦共働きであれば、ここは仕方がないのでは。それよりも雑費が気になります。家族の小遣いと行く先不明の支出も合わせれば、月額18万4000円。ここから5万~6万円は貯蓄に回せることを目標に、支出を抑えてみてください。

生活費を落とすことは「我慢」を強いることでもあります。しかし、現実として、貯蓄が底をついています。これをいい機会ととらえて、家計を見直してみましょう。

アドバイス2 繰上返済は貯蓄とのバランスを見ながら

保険の見直しも、学資保険以外はその対象となります。

ご夫婦それぞれが加入されている生命保険ですが、保険料がやや割高です。おそらく終身部分(主契約)が含まれているからだと思われますが、ずっと先に手にできる貯蓄性よりも、今は目先の現金が優先されます。解約もしくは終身部分があれば払済保険にして、新たな保障は割安な定期保険(死亡保障、医療保障とも)や共済で確保してください。同様の保障を確保しても、月額7000~8000円は保険料コストが下がるはずです。

また、年金保険は、死亡保障と医療保障の見直しができれば継続してもいいですが、思うように貯蓄ペースが上がらなければ、解約も検討しなくてはならないでしょう。

家計をいろいろと見直し、新たに月5万円の貯蓄を捻出できたとします。結果、月の貯蓄額は8万円なりますから、ボーナスを加えると年間の貯蓄額は156万円。ご主人が55歳までに1900万円の貯蓄が可能となります。

このとき、お子さんは高校1年もしくは2年ですが、大学費用(私大文系390万円、私大理系530万円程度)はすでに準備できていることになります。

さらに、相談文にもありますように、住宅ローンの繰上返済も積極的にしたいところ。完済がご主人77歳のときというのは、あまりにリスクが高過ぎます。試算してみますと、5年後に300万円繰上返済をすれば、返済期間は2年11ヵ月短縮され、利息の軽減額は約75万円となります(金利が変わらないとした場合)。

これでもかなり効果は出ていますが、完済時期を60歳、少なくとも65歳まで縮めるのはそう簡単ではないでしょう。ともあれ、今は少しでも短縮することを目標にしてください。

ただし、繰上返済で注意したいのは、貯蓄がある程度増えた段階で行うこと。5年後、貯蓄が順調なら500万~600万円も可能です。しかし、結果、手持ち資金がまた底をついてしまっては意味がありません。貯蓄から教育資金分を差し引いて、さらに250万円程度(生活費の半年分)は残るようにしておくべき。そして、その後また、ある程度貯まった時点で行ってください。手数料が無料、もしくは少額であれば、こまめに(毎年など)行ってもいいと思います。

アドバイス3 現状では第二子はリスクが高い

ご主人が55歳以降に収入が減るということを考慮すれば、それまでにどれだけ貯められるかがポイントとなります。その意味で条件はきびしいですが、それでも、ある程度の家計の見直しができれば、教育費の準備と繰上返済は可能だと言えるでしょう。

老後資金については、ご主人の退職金が重要です。どの程度支給されるか、確定は難しくても、早い段階でおおよその額を知っておくことで、その準備ができます。また、55歳以降の貯蓄ペースもポイント。ボーナスも下がるのであれば、貯蓄ペースは3分の1。もしくはそれ以下になりかねません。加えて、定年が60歳だとしても、何らかの形で65歳、もしくはそれ以上働いて収入を得たいところです。元気により長く働くことが、もっとも有効な老後対策だと理解してください。

最後に、第二子について。結論から言えば、気持ちとして生んでほしいのですが、マネープラン的にはご主人の意見と同じです。思うように貯蓄できるかがまだ不確定であることに加え、奥様が働ける期間が減ること、教育費等の資金が倍になることを考えると、現時点での出産はリスクが高過ぎます。仮に、病気やケガで奥様の収入が長期間途絶えたら、最悪、自宅を手放すことも考慮すべきでしょう。

ただし、奥様は31歳ですから、まだ猶予期間があります。まずは数年、家計管理をしっかり行い、貯蓄ペースをつかんでください。加えて、奥様が正社員となり、収入アッブが確実となり、厚生年金加入により、老後資金も上積み分が増えるとなれば、第二子も不可能とは言えません。ぜひ、頑張ってください。

相談者「むー」さんから寄せられた感想

ご回答、ありがとうございました。支出についても目標の貯金額についても今まで漠然としていたので、アドバイスを頂けて、道筋が見えたと思います。まずは毎月の貯金をアドバイス通りにできるよう努力したいです。子供の事も誰にも相談ができなかったので、ご意見を伺えて良かったです。まずは自分達の生活を確立していく方に注力していきたいと思います。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん

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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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