街に溶け込むシックな外観
Sさん一家とご両親が住む2階建ての住宅は、道路に面した広めの駐車場の奥にあります。正面は淡いベージュ色の壁面と約1mセットバックした玄関まわりの木張りの壁のシンプルな組み合わせ。個性的でありながら控えめな外観は、さりげなく街に溶け込んでいます。子世帯の高い天井が自然光を導きいれる
Sさん一家の玄関はポーチの南側にあります。正面の木製の階段を上がり回り込んで2階に至ります。まず目に入るのが高さ約4mもある勾配天井です。上部のハイサイドライトから自然光が入り込み、空を眺めることができます。北西の角にキッチン、西側にテレビ台、東側に家の真ん中にある約1坪の坪庭、南側にウッドデッキのテラスが配されていて、ここから階下の両親の気配を感じることができるのです。
バスルームで露天風呂感覚を楽しむ
部屋のほぼ真ん中には約1坪の坪庭が設けられていて、ここも階下の親世帯の坪庭とひと続きになっています。ここは両世帯に自然光と風を導き入れる役割を担っています。バスルームは東南の角のバスデッキとガラスの引戸で仕切られていて、戸を開ければバスタブに浸かりながら空を眺める露天風呂感覚を楽しむことができるのです。
空間の広がりを演出する親世帯のテラス
親世帯のメインルームは約15帖のLDK。玄関からは坪庭からの自然光に迎えられてここに至ります。天然木のフローリングのリビング・ダイニングは、集成材の梁を現しにした天井が空間のアクセントになっています。北側にキッチンが配され、南側には木製フェンスに囲われたテラスが続き、空間をいっそう広く感じさせます。2階の南側は書斎。本棚が壁面いっぱいに造り付けになっていて、家族の本がぎっしり詰まった様はまるで図書室の趣です。上部は天井の高さを活かしてグレーチングを敷いたロフト空間になっていて、主に収納として使われています。
この家は親世帯と子世帯が独立した玄関を持ち、1階と2階に分かれて暮らす完全分離型です。しかし南側のテラスや家の真ん中にある坪庭によって、両世帯が付かず離れずのちょうど良い関係を保つことができる、理想的なプランニングの家なのでした。
[関町北の家] | |
所在地: | 東京都練馬区 |
構造・規模: | 木造 地上2階 |
竣工年月: | 2015年5月 |
敷地面積: | 202.08m2 |
建築面積: | 86.26m2 |
延床面積: | 152.35m2 |
設計・監理: | アトリエスピノザ/井東 力 市原香代子 |
構造設計: | 本岡構造設計 |
井東 力+市原香代子[アトリエスピノザ]プロフィール
共に現代建築研究所で「東京国際フォーラム」のインテリア設計などで建築の実務を経験し、2004年に事務所を設立。これまでに首都圏を中心に数多くの戸建て住宅を造り上げてきました。“快適で住み心地の良い住宅を創りたい。その上で「快適さ」、「心地良さ」を深く掘り下げ追求していきたい”との思いで設計活動に邁進してます。アトリエスピノザ |
Tel.03-3759-3185 |
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井東力 [Ito Chikara] 市原香代子 [Ichihara Kayoko] |