民泊保険の現状は?

民泊保険の現状は?

国の観光立国推進基本計画では、訪日外国人旅行者の数を2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人という目標を新たに設定しました。

訪日外国人旅行者の数が順調に推移しているためです。宿泊施設の不足や割安に宿泊できる手軽さもあって、「民泊ビジネス」が活発に行われています。

日本国内でも問題になっている空き家の有効利用や経済効果など期待が寄せられています。その反面、民泊ビジネスにおける法整備が明確になっていないことから課題も多く出ていました。

民泊物件で契約する保険(火災保険や賠償責任保険)についても、オフィシャルなかたちで保険会社が提供してこなかったこともあり、万が一の損害をどう補償するのか、曖昧なままでした。民泊保険の現状と今後の課題について解説します。

民泊保険の保険はなぜ提供されてこなかった?

民泊物件について対応する保険はこれまで提供されてきていなかったのはお話した通りですが実は理由があります。

民泊は必要な要件を満たしていなければ非合法です。実際にこの非合法の民泊ビジネスが大半を占めています。

民泊では主に以下の三者が関係します。

■物件の所有者(オーナー)

■オーナーから物件を借りて民泊ビジネスを行う者(ホスト)

■民泊の利用者(ゲスト)

オーナー自身が民泊ビジネスをしているケースもありますが、現状はホストがオーナーから借りた物件を転貸するかたちで民泊をしているのがほとんどです。

民泊とは直接関係ありませんが、間接的にはここに近隣の住民が関係してくるわけです。

保険の観点から考えると、ホストが賃貸借契約に違反するかたちで民泊サービスを提供している実態、民泊を非合法でしているケースがあると既存の保険を適用させるのは難しいのが実情でした。

民泊に必要な補償と保険

民泊に必要な主な保険は、オーナー及びホストの立場からは火災保険及び施設賠償責任保険です。ホストの場合にはこれに加えてオーナーに対して借家人賠償責任保険、近隣の住民への何らかの補償が必要になります。

火災保険には住宅物件や一般物件(事務所・店舗、併用住宅等)などがあります。当然これらは火災保険料率が違います。

普通に住んでいるだけなら住宅物件でOKですが、民泊という事業をしているのであれば一般物件です。民泊ビジネスするけど住宅用で火災保険の契約はNGです。

また相手に損害賠償をする賠償責任保険はさらに法律も関係してきます。特にオーナーから転貸して民泊していると、もともとの賃貸借契約との関係もでてきます。

他にもホストが個人賠償責任保険に加入している人は多いでしょうが、これは業務に関係する損害賠償責任は保険金支払いの対象外です。

これまで民泊に対応した保険は、曖昧な部分やそもそも保険金の支払い対象外になるようなことも多く、何かあった際に被害を受けた人を救済する仕組みが不十分でした。

民泊でどんなリスクがある?

民泊保険と民泊のリスクとは?

民泊保険と民泊のリスクとは?

民泊に関係する人それぞれの立場から想定されるリスクを考えてみます。

■オーナー
  • 所有物件(施設)の不備によるゲストなどへの損害賠償。
  • 所有物件の火災や破損など
■ホスト
  • 民泊物件を借りていることに対するオーナーへの損害賠償
  • 民泊物件の施設管理に不備によるゲストへの損害賠償
  • 施設内の家財(保険上は設備什器)の損害
■ゲスト
  • 誤って利用施設の家具や建物を破損、火災を起こしたことによる損害賠償
  • 自分の体の病気やケガなど
■近隣の住人
  • 火災発生による住まいへの類焼
  • 騒音などの迷惑行為
このようにそれぞれの立場でみると、実にさまざまなリスクや不安に感じることがあるのです。

発売がはじまった日本初の民泊保険

こうした状況の中で、国が民泊に対する方向性を明示していない中で、民泊専用の保険を発売する保険の動きがでてきています。

■損保ジャパン日本興亜
シェアリングエコノミー協会を通じて、「ゲストを対象」にした民泊保険を取り扱いが開始されています。

建物や設備を壊してしまったりした場合の損害賠償を補償する保険の取扱いを開始する。急病時に24時間対応のサービスなどが付帯されます。

日本人が海外旅行に行く際に海外旅行保険に加入するようなものです。旅行者への保険加入の義務づけは難しいでしょうが、告知をするなど保険加入の推進などは必要でしょう。

■三井住友海上
民泊支援事業を展開するジェイピーモバイル株式会社と新たに「ホストを対象」にした民泊専用の保険を発売しました。

民泊の支援ビジネスの中に保険が組み込まれていて、民泊支援事業に加えて民泊専用の保険を提供しています。

ホストが対象ですから、オーナーに対する借家人賠償責任保険・修理費用補償を中心に、所有する家具(保険上は設備什器)、ゲスト・近隣住人などへの施設賠償責任保険、類焼損害補償が補償されています。

特徴的なのは転貸して民泊サービスを行うホストを対象にした保険であることと、近隣住人に対する類焼損害補償まで付帯されている点です。

今後民泊サービスを期待されている効果を高めるためには、業界として民泊を合法的に推進する取組みと、民泊の保険などによる補償の枠組みを作ることが必要です。

民泊保険の発売とこれから

民泊ビジネスについて民泊の各関連業界も政府のルールがどうなるか待っています。

本格的に訪日外国人を増やしていくのであれば、宿泊施設の確保が大きな課題です。合法的な民泊の推進そして近隣住民も安心できる仕組みや補償の体制整備は不可欠です。

民泊の合法化の推進と保険を利用しての補償の枠組みを整備することが民泊の安心感につながります。

民泊ビジネスを行っている人は現状の保険の確認と見直しをぜひ進めてください。近隣住民などの理解も今後は一層重要です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。