ブラック企業を退職したいと思ったら?
ブラック企業と一口にいっても、場面によってその意味するところはさまざまです。残業代を払わない会社や、ノルマが過酷な会社、最もひどいケースでは過労死に至るくらいに労働時間が長い会社など。いずれの会社にしてもいえるのは、社員のことを考えない、労働基準法などの法律を守ろうとする意識が著しく低い、もしくは全くないといっていいということです。以下でも法律を守る気がない会社をブラック企業とすることにします。【関連記事をチェック!】
ブラック企業チェックリスト4つ
社員のことなんて考えないような会社ですから、退職したいと思う人も多いことでしょう。退職を考える場合、まずは会社の就業規則を確認します。通常、就業規則には退職の手続きや会社に通知する期限も書いてありますので、それに従って退職の意思表示を行います。しかし、ブラック企業と呼ばれる会社はそもそも就業規則(もしくはそれに準する社内規程)がない場合も多いでしょう。そうした場合、どのようにして退職をするのが良いのでしょうか?
ブラック会社を退職する時に気を付けるべき注意点
会社を退職するという意思表示は、ブラック企業でなくてもそれなりに勇気がいるものです。かれこれ私も3社に対して退職の意思表示をしてきましたが、やはり言い出すタイミングなど結構気疲れするものでした。それでも退職を決意するからにはそれなりに理由があるものです。ブラック企業の場合は、たいていの場合その待遇に絶望して退職ということがほとんどでしょう。まず、ブラック企業においては社内規程がないケースが多いでしょうから、そもそもどのくらい前に退職の意思表示をすればよいかということが明確でないケースが多いと思います。民法上は退職日の2週間前に申し出るといった条文もあります。ただしブラック企業相手では法律を持ち出してもあまり意味がないかもしれません。とはいえ、そもそもブラック企業は法律上の義務を果たしていないケースがほとんどです。
例えば残業代を払わない、休憩を与えないなど労基法に明らかに違反しているケースでも、従業員が働き続けなければならないということはおかしな話です。ちょうどモノを売って相手がお金を払わないのに、モノを引き渡さなければならないようなものです。こうした場合、会社の意向に関係なく、雇用契約を解除、つまり退職しても問題ないと考えられます。
なにより、気を付けなればいけない点は、次のことを考えておくことです。退職することは当然の権利です。しかし次の一手を考えずにとにかく退職してしまうと、とにかく雇ってくれるところを、と思って転職した結果、転職先もブラック企業だったということにもなりかねません。
もちろん雇用保険に加入していれば失業給付を受けながら転職先を探すことも可能です。雇用保険は加入要件を満たせば加入しなければなりません。しかし、ブラック企業の中には、保険料を支払いたくないなどの理由から雇用保険未加入の会社があるのも事実です。給与明細で雇用保険料が天引きされているかを必ずチェックしておきましょう。
また、転職段階でも自分がブラック企業に勤めていた経験があれば、募集要項からブラック企業のにおいをかぎ分けられるようになっているかもしれません。このように、転職先もブラック企業だったという悪循環に陥らないように、転職先を慎重に選ぶこともブラック企業を退職する上での重要なポイントです。
退職で会社ともめてしまったらどうする?
法律上当然に退職できるとはいっても、相手はブラック企業。そんなことはお構いなしかもしれません。しつこく電話やメールをよこしてくるといったケースから、同業種への転職は禁止などといった文書を送ってくるなどもあります。いうまでもなく職業選択は自由である以上、このようなことに従う必要はありません。(もちろん、顧客リストなど営業秘密を持ち出すことはやってはいけません。相手がブラック企業だからといって、自分までブラックな行為に手を染めてよい理由にはなりません)また、退職する場合にそれまでの未払い残業代を払ってもらおうとする方もいらっしゃると思います。もちろん、未払いである以上支払いを受ける権利はあります。ただし、支払いを受けるには、労働時間などの証拠が必要です。証拠がなければ労働基準監督署も動いてくれないでしょう。できる限り確実に請求するためには、その分野に詳しい弁護士などの法律家に相談してみたほうがよいでしょう。