「いつも若く見える印象の人」の秘密は頬にあり!
若く見える人と老けて見える人の違いは?
確かに、目もとがくすむ・下がるといったことや、フェイスラインのゆるみは、残念ながら老けた印象を与えてしまうものです。しかし、それと同じくらいに老けた印象を与えてしまう部位があるのです。それが“頬”。 『見た目の年齢を判断する際には、“目”のほかに、個人を特定するときには重要でなかった“頬”にも視線が向けられる』
こちらの資料1の写真は、2015年11月、ポーラ化成工業株式会社から研究結果として報告された『見た目の年齢判断時の視線解析結果』。赤い部分が視線が集中して向けられる部位であり、実は目だけでなく頬にも視線が集中していることがわかります。
表情にともなう頬の「輝く部分の変化」と「動きの遅れ」が老けた印象に
そして2016年7月、新たにポーラ化成工業株式会社から報告された研究結果が以下です。『実年齢が高くなるにしたがい、頬部において、表情の変化にともなって生じる白トビ領域(画像の中の、赤点線に囲まれる部分)面積のばらつきが大きくなる。これにより、若い肌にはない視覚的な「肌ノイズ」が生じる(資料2、資料3参照)』
『実年齢が高くなるにしたがい、表情の変化にともなう頬部の皮膚の動きのタイミングが遅れ、「潜在的な老け印象」を与える(資料4参照)』
つまり、笑ったり話したりしたとき、「光を浴びたときに反射する頬の部分」(白トビ領域)が、若い肌の場合はあまり変化しないけれど、年齢が高い人の肌の場合は変わっていくということです。そのため、ほかの人から見ると、表情によって頬の反射する部分がチラチラと変化するため、肌ノイズに感じるわけです。
これは、肌表面のキメが減少することで光が拡散しなくなることが主な原因として考えられるそうです。
さらに、若い肌の場合は「皮膚がキビキビと動き、若々しい」という印象を与えますが、加齢とともに表情を変えたときの頬の動きが顎よりも遅くなるため、「キビキビと動く」という印象とはかけ離れていきます。
“頬”の肌の状態や動きは、気がつかないうちに自分のイメージを伝える重要なファクターになっているのですね。
ツヤと高さのある頬のベースメイクで若々しい印象に!
若見えにはチークの位置が重要
ヘアメイクアップクリエイターの関野里美さんにお聞きしました。
「私がメイクでモデルさんを若々しく見せたいときは“頬に光を集めるベースメイク”をします。年齢とともに目の下から頬にかけて皮膚感が下がった印象に変化していくため、メイクで頬の中央を高く見せ、ツヤを与え、光を集めることで、若々しい印象を与えることができます。顔全体の中でも、この部分のメイクにはとても気を使います。若々しく見せる決め手となる部分だからです」。
“頬に光を集めるベースメイク”のポイントさえ押さえれば、誰でも若々しい印象をメイクでつくることができると関野さんはいいます。その具体的なメイクポイントは以下の3つです。
- ツヤ感のあるリキッドかクリームタイプのファンデーションを、頬の中央から顔全体へ薄くのばす。色味は首よりもワントーン明るめがおすすめ(首は影になっているので、首に合わせた色にすると、少し暗めになりがちなため)。
- 頬の中央の部分(小鼻の上の部分から水平に伸ばした線と、黒目の外側から垂直に伸ばした線が交わる部分)にのみファンデーションを重ね塗りして高さを出す(イラストA参照)。
- マットな質感にはしたくないので、フェイスパウダーは使わない。もしも使いたいときはTゾーンのみにして、頬の部分はツヤ感をそのまま生かす。
チークは、最初にのせる位置次第で、若々しい印象に
そしてもうひとつ。チークの入れ方にも工夫が必要だと関野さんはいいます。「たとえば、友達が入れているチークをまねして同じ形で入れても、同じようなイメージにならないことってありますよね。頬の形、フェイスラインの長さなど、顔の面積や部位のバランスは人によって違うからです。そこで、チークを入れるときにもっとも大切になるのが、形ではなく最初にチークをのせる位置。一番濃くなるところです」。
「もっとも視線が集まるところになるため、この位置が低すぎると、頬が下がった印象になり老けて見えてしまいます。高すぎると、かわいいイメージにはなりますが、大人の女性の場合は、頬から下の部分が広くなって顔が大きく見えてしまうというリスクを考えてしまうでしょう。
この、低すぎず、高すぎず、ちょうどいい位置というのが、“小鼻の上の部分から水平に伸ばした線と、目尻から垂直に伸ばした線が交わる部分”(若々しく見せるゴールデンポイント/イラストB参照)です。ここをチークの起点(最初にのせる位置)とすることで、どんな方でも失敗せずに、エレガントで若々しいイメージをチークでつくることができます」。
そして使うチークは「ツヤ感のあるクリームタイプがおすすめです。年齢を重ねている人ほど、肌なじみがよく、ツヤのある質感を得ることができるクリームタイプはとても使いやすいアイテム。パウダータイプよりも自然に、肌に溶け込むようになじませることができます。色はコーラルピンクを選べば、自然で血色がよいイメージを与えることができます」。
以下が具体的な、若々しく見せるチークの入れ方です。
1 若々しく見せるゴールデンポイントにチークをのせる
クリームタイプのチークをスポンジ(おすすめはハウス型のスポンジ)に取り、一度手の甲で色のつき具合を確認したあと“小鼻の上の部分から水平に伸ばした線と、目尻から垂直に伸ばした線が交わる部分”(若々しく見せるゴールデンポイント)にのせる。このとき、鏡に向かって正面を向いたまま顔にのせるようにする。(イラストB)
2 耳の中央に向かって丸みを帯びた形にのばしていく
1でのせたチークを耳の中央に向かって、少しずつ色が薄くなるようにスポンジでのばしていく。このとき、チーク全体の形が少し丸みを帯びた形になるようにする。直線的にならないように注意。(イラストC)
3 チークを頬の上下にぼかし、なじませて仕上げる
入れたチークを頬の上下にスポンジでぼかして仕上げる。正面からだけでなく横顔もチェックして、左右対象の、肌になじんだチークになっているかを確認する。最後に、スポンジに残ったチークを耳たぶの方向へうっすらとなじませると、シャドーの役割を果たし、小顔効果も期待できる。(イラストD)
今まで、頬のことを重点部位として考えていなかったとしたら、気がつかないうちに老けた印象を与えていたかもしれません。
これからは頬のスキンケアとメイクに手を抜くことなく、今まで以上に若々しさを表現しましょう。
取材協力
・ポーラ化成工業株式会社新解明!頬の動きに潜むエイジングサイン
・関野里美
関野里美さん