新採用の「プロパイロット」“以外”を評価してみる
新型セレナが発売された。多くのメディアの紹介記事は新採用となった限定的自動運転装置である『プロパイロット』ばかり話題にしているけれど、機能を評価すれば2年前に発売され一般的になっているスバルの『アイサイト3』と同等。差は「車速10km/h以下で先行車が居るときに連続してハンドル制御を行ってくれる」ことのみ。加えてこの手の機能、クルーズコントロールと同じで「付いていても使わない人」が大半を占める。さらに言えば、使える条件も高速道路などの巡航に限られてしまう。正確に書けば、街中でも使えるけれど、機能が突如キャンセルされた時に対応出来る技量を必要とする。ということであえてプロパイロットを除いた新型セレナを紹介してみたい。
トヨタのノア3兄弟、ホンダのステップワゴンと比較すると?
車格としてはトヨタのノア3兄弟や、ホンダ・ステップワゴンと同じ。「車両価格帯が230~300万円の2リッター級エンジンを搭載する使い勝手の良い5ナンバーサイズの3列シートミニバン」で、 家族3世代の移動も可能というのがセールスポイント。日産にとっても売れ筋となっており、失敗が許されないモデルと言って良かろう。室内スペースはライバルと比べても大差なし。ユッタリとした運転&助手席と2列目シートと、成人男性が座ってもロングドライブ可能な3列目シートを持つ。ちなみに7人乗り仕様の2列目シートは、チャイルドシートを2脚セットした上、中央部分に大人一人が座れるから便利。子供のいる家庭で人気となっている。
3車種で迷った場合、パワーユニットと自動ブレーキの性能差が大きなポイントになってくる。
まずパワーユニット。一番燃費が良いのはノア3兄弟のハイブリッド仕様。普通のエンジンより30万円程度高いものの、15~18km/L走ってくれる。8万kmくらい走れば、普通のエンジンより高い車両価格分も、燃料コストの差でカバー出来てしまう。
続いて新型セレナの簡易式ハイブリッド。モーターのパワーだけでは走り出せないほど簡単なシステムながら、普通のエンジンより10%くらい燃費良い。実用燃費だと10~13km/Lといったイメージ。ステップワゴンは普通のエンジンしかなく、実用燃費で9~12km/L程度。走行8万km以下ならハイブリッドでなくても問題ないと思う。
今や絶対欲しい装備である自動ブレーキは、3車種共に違うセンサーを使う。ノア3兄弟が歩行者を検知出来ない赤外線+単眼カメラのタイプ。新型セレナの場合、単眼カメラのみ使うタイプ。ステップワゴンは、レーダー+単眼カメラ。ノア3兄弟とステップワゴンについていえば公的な試験期間である『JNCAP』(※)に成績が出てます。
※試験成績のデータ(ともにPDF)
・ノア
・ステップワゴン
停止車両に対しブレーキを掛けない状態で接近するテスト項目に於いて、ノア3兄弟とステップワゴンは50km/hまでなら自動停止。未テストである新型セレナの能力を聞いてみたら「40km/hまでなら停止出来ると考えています」。また、新型セレナとステップワゴンは昼間なら歩行者も検知出来る。10km/hの差をどう考えるかは、人によって違う。
ロングドライブや渋滞時にドライバーをサポートしてくれるクルーズコントロールは、新型セレナが停止まで含む全車速対応(プロパイロットの機能の一部)。ステップワゴンは車速25km/h以下になるとキャンセルされてしまう。ノア3兄弟だと速度固定の旧式クルーズコントロールのみ。したがって圧倒的に新型セレナ優位。以上、ライバル関係となる3車種の概要を紹介してみた。
まとめると、ノア3兄弟は燃費を重視するなら圧倒的。機能や性能を重視するのであれば新型セレナを。コストパフォーマンスを考えると、売れ行き不振のため大幅値引き中(平均すると40万円程度。新型セレナは基本的に値引き無し)のステップワゴンということになる。
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