投資資金の純流入は海外REITファンドに偏る

投資資金が流入している海外REITファンド

投資資金が流入している海外REITファンド

ETF(上場投資信託)を除けば、投資資金が順調に流入しているのは海外REITファンドのみ。正確には新光投信の「新光US-REITオープン(ゼウス)」、フィデリティ投信の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」、日興アセットマネジメントの「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」の3本に人気は集中しているのです。

人気が集中している理由は、相対的に高めの分配金が支払われていること、通貨選択型やカバードコール型のように仕組みが複雑ではないこと、過去3年(2013年以降)分配金が減額されていないことなどをあげることができます(フィデリティ・USリート・ファンドBはその間分配金を引き上げている)。

一人勝ち状況が続いている海外REITファンドですが、人気が集中している要因の1つと考えられる、「過去3年分配金が減額されていない」ことについては、暗雲が立ち込め始めており、分配金が減額されるリスクがかなり高まりつつあると言えそうです。その中身を見て行きましょう。

分配金は当期のREITからの収入だけで賄いきれていない

海外REITファンドの分配金の原資は、投資しているREITからの配当金、売却益、為替差益です。配当金で分配金の原資が100%賄われていれば、かなり健全な運用スタイルと言えますが、海外REITを投資対象とするファンドでは、毎月の分配金をREITの配当金だけで賄っている商品は皆無。ほとんどは売却益や為替差益も原資に加えて分配金は支払われているのです。

各商品によって運用報告書の表記が若干異なることがありますが、3ファンドともに直近の「交付運用報告書」によれば、当期の収益で毎月の分配金が賄われている割合は、約15%~約27%に過ぎず、残りは「翌期繰越分配対象額」を取り崩して分配金を毎月支払っているのです。

3ファンド共に為替ヘッジを行っていないことから、アベノミクスによる円安・株高により、当期の収益は増加傾向にありましたが、円高・株安に転換したことから、当期収益は減少傾向となり、翌期繰越分配対象額の取り崩しが加速する可能性が高まっているのです。

翌期繰越分配対象額を取り崩して毎月の分配金に充当することは、投資信託の運用の仕組み上問題はありませんが、問題は内部留保にあたる翌期繰越分配対象額は無制限にあるわけではないということ。あくまでも過去の運用状況が良かった時に積み立てたもので、足元の取り崩しが継続すれば将来的に枯渇する恐れがあると言うことです。

円高の長期化が分配金減額の引き金か?

もちろん、翌期繰越分配対象額を枯渇させるわけには行きません。足下のように決算期毎に減少が続いている状況が長引けば、減少速度を遅くさせるべく分配金の減額を行わなければならないというわけです。

翌期繰越分配対象額の減少速度を遅くさせるのは分配金の減額だけではありません。当期収益が増えることでも減少速度にブレーキはかかるのですが、残念ながら当期収益が大幅に増えることは難しいと思われます。

投資対象のREITの配当金が増えることがベストなのですが、賃料を大幅に引き上げればテナントが転居する可能性があるため、大幅な引き上げは難しいと考えられます。また、為替が円高傾向に推移していることから、たとえ外貨ベースの配当金が一定であっても円高により円ベースの収益が減少してしまうのです。

投資対象のREITを売却して売却益の確保も考えられますが、世界的な金融緩和政策により投資妙味の高いREITはイールドハンティングによりあらたか物色されてしまい、大規模なREITの入れ替えは難しいは難しいと思われます。

つまり、当期収益を増やす方法が皆無に近い状況なうえ、毎月の分配金jを相対的に高額に保つことで内部留保にあたる翌期繰越対象額を毎期大幅に取り崩している状況が継続しているのです。危うい状況が続いているにも関わらず、投資資金の純流入では一人勝ちの海外REITファンド。

いつまでも相対的に高めの分配が続くとは思わない方が賢明と言えそうです。

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