定年・退職のお金/老後資金の貯め方

老後資金の運用を考えるときの注意点はインフレ?

自分の老後に向けて資産形成をしようにも、どの金融商品を選べば良いのかで悩んでしまう人は多いと思います。老後のお金を作るときの日本経済の前提条件とは何でしょうか。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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将来、インフレ(物価上昇)は本当に起こるのか

老後のお金を考えるときの注意点

老後のお金を考えるときの注意点

長期的な資産運用を行う場合、金融商品選びが大事であるのもさることながら、長期的に、経済がどのような方向に進むのかということを、ざっくり想定しておく必要があります。なぜなら、インフレ率が年10%を超えるような状況下での資産運用と、デフレの状況下における資産運用とでは、お金の投資先が違ってくることも考えられるからです。

資産運用はリターンを稼ぐのが目的ですが、そのリターンは、インフレリスクをヘッジできるものであることが大事です。物価の上昇率を上回るリターンが得られなければ、資産価値が目減りしてしまう恐れがあるからです。

そこで、金融商品を選択する大前提として、将来、インフレが起こるのかどうかを考えてみましょう。

日本は人口減少でデフレが進む?

アベノミクスのもとで、日銀は2015年度中に年2%のインフレ率を実現するとしましたが、それを2016年度に先延ばししました。2014年こそ、消費税率を5%から8%に引き上げたことにより、消費者物価指数は「生鮮食品を除く総合」の年平均で、前年比2.6%の上昇となりましたが、2015年は0.5%の上昇にとどまりました。

また直近の消費者物価指数も、生鮮食品を除く総合の対前年同月比は、

2016年3月・・・・・・▲0.3%
4月・・・・・・▲0.3%
5月・・・・・・▲0.4%
6月・・・・・・▲0.5%

というように、むしろマイナス幅が拡大しています。これでは、2016年度中に2%のインフレ率実現という目標は、ほぼ確実に未達でしょう。日本は人口減少社会に入っているため、このままだと需要減少から経済の活力が低下し、物価はむしろ長期的にデフレ色を強めるかも知れません。今後もデフレが続くなら、リスクを取ってまでして、インフレに強い資産を持つ必要は無くなります。まさに「キャッシュ・イズ・キング」であり、現金を握りしめておけば良い、ということになります。

内包されたインフレリスク

ただ、多くの人が指摘しているように、日本は巨額の財政赤字を抱えています。日本の信用力に対する不信感が強まれば、円が売られて輸入物価が上昇し、インフレが進む恐れもあります。現実に1000兆円もの政府債務を抱えているのですから、円をベースにした資産形成をする私たちが、このリスクを全く無視するわけにはいきません。

日本の信用力が低下して円安が進み、インフレが進むというのは、日本銀行としても恐らく最悪に近いシナリオですが、こうしたイレギュラーなインフレが起こるリスクを、日本経済が内包している限り、自分たちの老後に向けて資産を築いていかなければならない私たちは、その対応策を考えておく必要があるのです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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