常総市のハザードマップで水災補償の必要性を考える
甚大な被害を受けるかもしれず、それでも公的支援は最大300万円、そもそも支援が受けられないこともあり、火災保険の水災補償による経済的被害への備えは多くの世帯に必須です。火災保険は火災のみならず、各種の自然災害による損害もカバーする保険です。水害もそれに含まれており、火災保険金額と同額までの補償が可能です。火災保険における水害とは、集中豪雨などによる洪水や土砂災害、土石流、あるいは高潮などを指し、これらにより住宅や家財におおむね床上浸水以上の損害を受けたとき、補償を受けられます。集中豪雨による被害が相次ぐ中、都市部のマンションの高層階に住むなど被害が考えにくい場合を除き、水災補償は優先して検討すべき補償の1つです。
補償を選ぶとき、参考にしたいのがハザードマップです。以下では、常総市が公開している洪水ハザードマップを見ながら、水災補償の必要性を考えていきます。
以下の洪水ハザードマップは、「国土交通省 ハザードマップポータルサイト」の「わが町ハザードマップ」からでも、常総市ホームページの「防災」ページから入っても見ることができます。
常総市の洪水ハザードマップは、市全域の地図上に、鬼怒川が氾濫した場合の浸水区域と浸水の深さを示したもの。以下で表示しているのはその一部です。想定は鬼怒川流域、石井(栃木県宇都宮市)上流域に3日間の総雨量が402ミリメートルという、100年に1度の大雨が降ったときとしています。 ※常総市ホームページ「常総市洪水ハザードマップ」より引用
想定に基づくと、濃い青は2メートル以上の浸水、紫に塗られた区域は5メートル以上の浸水と、大きな被害が生じると予測される区域。想定通りの災害が起きれば、「り災証明書」の「全壊」と認定される可能性があるといえそうです。一方、薄緑色に塗られた区域は床上浸水1メートル未満と予測され、「半壊」と認定される可能性がありそうです。
色が塗られていない区域もあります。ですが前述のように、ハザードマップは一定の想定をもとに作られていますから、この想定を超えた災害となれば、被害が避けられないこともあると心得ていなくてはなりません。
また、危険なのは河川のそばだけではありません。ゲリラ豪雨などで公共の水域等に雨水を排水できなくなるなどして、マンホールなどから水があふれる内水氾濫は都市部でも見られ、「内水ハザードマップ」が作成されている自治体もあります。
常総市では、土砂災害ハザードマップも作成・公開されています。これは平成23年3月に茨城県が指定した土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域が反映されたもの。土砂災害というと特殊な災害のようですが、日本には、流出した土砂で家屋が破壊される可能性のある範囲である土砂災害危険箇所が52万か所もあります。集中豪雨の後の土砂災害や土石流による被害が毎年のように各地で発生していることから、土砂災害対策は全国的な課題となっています。都道府県による警戒区域・特別警戒区域の指定がなされていなくても危険な場所もあることに留意が必要です。
土砂災害の場合は必ずしも床上浸水に至ることはありません。しかし土砂が部屋に流れ込んだり、壁を壊したりすることもあり、大きな損害が発生することがあります。り災証明書発行のための判定は、住宅の倒壊、破損状況を市町村が確認して行われ、浸水同様、り災証明書によって支援金給付の可否が決定されます。火災保険の水災補償も、土砂災害では被害の状況を個別に確認し、修理費を基本とした損害額が判定されます。 ※常総市ホームページ「常総市土砂災害ハザードマップ」より引用
以上のように、思わぬ被災にも自力再建が求められる現在、ハザードマップで自宅の被災予測をしっかり確認し、公的支援の限界を知り、そのうえで最悪の事態に対抗しうる手段を打つことが誰にも求められます。ただし、契約により補償内容は異なります。「火災保険ならとりあえずなんでも入っていればよい」というものではないのです。自分の契約に水災補償は確保されているのか、最大補償額はいくらなのかを確認することも欠かせません。
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