老舗そば処の絶品「鎌倉丼」
「鎌倉丼」なる丼が存在することをご存じだろうか。「しらす丼」と比べるとまだまだ知名度が低いが、鎌倉のいくつかの店のメニューにある。江戸時代、鎌倉沖で獲れるエビ「鎌倉エビ」は、「伊勢エビ」と並ぶブランドだったという。ところが、鎌倉のエビの漁獲量がめっきり減り、「伊勢エビ」だけが名前として残った。この「鎌倉エビ」に由来して、エビを使った「鎌倉丼」という丼ものが、いつの頃にか誕生した。
鎌倉 峰本 小町通り店
「鎌倉丼」に明確なレシピや定義はなく、店によって、使うエビの種類や調理方法、味付けも様々だ。しかし、正直言って、今まで格別に美味しいと思う「鎌倉丼」に出会ったことがなかったが、最近、創作そばと懐石料理の『鎌倉 峰本』のメニューに加わった「鎌倉丼」は本当に美味しいので、ぜひ紹介したい。
『峰本』の「鎌倉丼」は、卵でとじた衣に包まれたエビが3本のった、食べ応えのある丼だ。カツ丼のカツの代わりにエビを使った料理というと近いかもしれない。ひとくち食べると、口の中にややスパイシーな風味が広がるのは山椒だ。
『峰本』の「鎌倉丼」。胡麻豆腐、香の物、お椀がついて1300円(税別)
エビの衣やごはんに染みこんだ"つゆ"は、さすが、そばの専門店だけのことはあると思う味だが、小町通り店長の柿島祐一さんによれば、"そばつゆ"だけではなく、もう一つ、店に伝わる、ある料理に使う秘伝の"つゆ"を使っているとのこと。企業秘密だから、ここに書けないのが残念だが、やはり美味しいものには何か隠し味があるものだ。
また、料理長の塚平伸幸さんは、タマネギはそばつゆで煮ることで甘みが出るので、これも味を引き立てるポイントと話す。
長いこと『峰本』の丼ものの看板メニューと言えば「親子丼」だった。手軽で美味しい丼の新メニューを提供したいと思い、今年(2016年)から「鎌倉丼」をはじめたところ想像以上の反響で、いつも「親子丼」を頼んでいたお客さんで、「鎌倉丼」に乗り換えた人も多いという。
鎌倉らしい精進料理のセット「手桶 禅」(写真)なども人気のメニューだ。また、お得なランチメニューもある
『峰本』は鎌倉市内に3店舗あるが、「鎌倉丼」は、小町通り店、朝比奈店で提供している。
<DATA>
■鎌倉 峰本 小町通り店
住所:鎌倉市小町1-7-1
営業時間:11:00~L.O.21:00(日祝は、10:30~)
定休日:年中無休
席数:86席
アクセス:鎌倉駅東口徒歩2分
地図:峰本ホームページ
次のページでは、江ノ島にある超人気店の、あの丼を紹介します。