守りの節税、攻めの節税
決算予想が黒字の時には節税対策を考えるケースが多いかとは思いますが、そんなときにはぜひ、「守りの節税」と「攻めの節税」を状況に合わせて選択するようにしてください。守りの節税とは、会社や経営陣を守るための節税で、「保険の加入」や「中小企業倒産防止共済の加入」、「健康診断の実施」などがあります。業績の好調なときに悪くなるときを想定して、事前に手を打っておくというのは、経営の王道です。それを節税対策でも活かそうというのが、「守りの節税」です。
次に、攻めの節税ですが、これは将来の売上向上につながるための節税で、「広告宣伝費の投入」や「人材への投資」、「(中古)設備の購入」などがあります。来期の布石を今期の経費という形で打っておこうとするのが、「攻めの節税」です。
「悪い節税」は意外なほど多い
私は、節税には、先ほどの守りや攻めといった「良い節税」と、それらとは真逆の「悪い節税」があると思います。悪い節税とは、税金を払うのを極端に嫌う結果、無駄遣いをしてしまうパターンです。経営陣が派手な交際費を支出したり、従業員が望んでもいないのに使える設備を新しくしたりすると、会社の士気が極端に落ちることがあります。悪い節税を実行されているケースは意外なほど多いです。
300万円の利益は300万円の経費で税金0円にできますが、当然会社の現金もそれだけ減少します。もし悪い節税を実行していなかったら、300万円-300万円×30%(実効税率と仮定)=210万円は会社に現金が残ることになります。税金を払うのが嫌で、会社の現金残高を減らしてしまうような愚を犯さないようにしましょう。
節税の極意3ケ条
では、良い節税とは、どのようなものでしょうか。私なりに「節税の極意3ケ条」をまとめてみました。以下をご覧ください。第一条 資金不要であるべし
第二条 永久的な節税であるべし
第三条 高い節税効果があるべし
すべてを満たす節税は少ないですが、例えば、「資金不要」で「永久的」な節税対策としては、不良債権の処理を税法の基準に従って行ない、「貸倒損失」という経費を計上するようなことです。この場合には、帳簿上の仕訳だけで済み(資金不要)、その効果が永久に継続(永久的)します。永久的とは、単なる来期以後への利益の繰り延べ対策ではないということです。
また、たとえ、資金が必要であったり、利益の繰り延べ対策であったりしても、「高い節税効果」が得られるのであれば、会社の状況によっては検討の余地があるでしょう。例えば、「経営者保険の活用」や「地代家賃の年払い」などが該当します。
節税対策は、「節税の極意3ケ条」に該当するような形で、自社の現状にとって「守りの節税」か「攻めの節税」のどちらが必要なのかを判断したうえで、実施するようにしましょう。