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ハースストーンに学ぶ納得できるガチャ(2ページ目)

モバイル端末向けゲームにおける、ガチャによる課金誘導の手法が社会的な問題になりつつあります。ガチャとゲームはどのように付き合えばいいのでしょうか? 米国のゲームメーカーBlizzard Entertainmentが手掛ける「ハースストーン」は、ユーザーが納得できるとても良い仕組みをいくつも備えていて、大変に参考になります。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

救済タイマー

スマートフォンでゲームをするユーザーの図

課金しなくても2日で1パックぐらいのペースで手に入るので、どんなに運が悪くとも3か月くらい遊ぶと何かしらのレジェンドは手に入れているでしょう

ハースストーンで最高の希少度であるレジェンドが出現する確率は、正式な情報はないのですが、1%ぐらいじゃないかという意見が多くあります。1パックに5枚入っているので、20パックに1枚ぐらいの割合で入っていることになります。

ここからが面白いのですが、大量にパックを購入して検証したユーザーによると、パックを開封してレジェンドが当たらないたびに、この確率が上昇し、40パックを開封したところで確実にレジェンドが手に入るようになっている、といわれています。この40パックはいっぺんに購入する必要はありません。チマチマと1つずつパックを手に入れていっても、いつかはレジェンドが出るのです。

40パック以内にレジェンドが出るということは多くのユーザーが体感していて、ファンの間では、これを救済タイマーと呼んでいます。この確率の設定の仕方は、いかにもゲーム的な作法です。

ギャンブルだったら、確率が公平なら後は運がいいか悪いか、ということになります。でもゲームの文化には、遊んでいる人みんなに楽しんもらえるエンターテイメントを作りたいという考え方もあります。そうすると、当たるかはずれるかのドキドキ感は残しつつ、ハズレばっかりでつまらない人が出ないようにこっそりケアしよう、とするのは極めて自然です。

いらないカードを砕いて欲しいカードを作る

ドクター・ブームの図

人気の強いカードが欲しい! と思ったら、こつこつ魔素を貯めていけば手に入れることができるようになっています

ここまでしてあったとしても、レジェンドの中でなおかつどうしても欲しいたった1枚のカードを引き当てる、というのは相当に困難です。しかし、ハースストーンではそこにも対応策がほどこされています。

手に入れたカードは、自分がいらないと思えばいつでも「魔素」というポイントに還元することができます。カードを失う代わりに魔素が貯まり、今度はこの貯めた魔素で好きなカードを作ることができます。

魔素に還元して手に入るポイント数と、カードを作成するのに必要なポイント数は、カードの希少度によって変わり、ノーマルなら還元すると5ポイントがもらえ、作成に40ポイントが必要、レアを還元すると20ポイントもらえ、作成には100ポイント必要という具合です。ちなみにレジェンドの作成には1600ポイントが必要です。

すごく極端な話をすると、1パック購入して最低保証されているノーマル4枚とレア1枚を魔素に還元すると、40ポイントになります。ですから40パック購入して全て還元すると、1600魔素確実に手に入るわけなので、どれでも好きなレジェンドカードを作成できるということになります。ちなみに40パックは6,000円で一括購入することができます。つまり、特定のレジェンドを手に入れるのに最もお金を使う方法が6,000円ということです。

実際には、40パック購入するとエピックやレジェンドのカードも出てくるので、魔素はずっとたくさん手に入ります。また、カードの中には金色で縁取られたゴールデンカードがたまに出現します。カードの能力は普通のものと全く変わりませんが、還元すると通常のカードに比べて4~10倍の魔素が手に入ります。そういうものを考慮にいれると、20パックぐらいでも1600魔素前後貯まることが多いかと思います。

もちろん、そこまで極端なことをしなくても、手に入れたカードの中から、いらないカードを魔素にしていって、ある程度貯まったところで気になってたカードを作成する、というスタイルでもいいわけです。

そしてもう1つ、このガチャの仕組みをゲーム全体の仕組みとセットで考える必要があります。
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