ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

田代万里生、確信を持ち届ける【気になる新星vol.18】

*17年10月インタビュー追加!*「世界最“恐”ミュージカル」こと『スウィーニー・トッド』に、5年ぶりの出演を果たした田代万里生さん。揺るぎない美声と優雅なオーラに加え、役の芯を掴むセンスも抜群の彼について、作品について、これまで(赤ちゃんの頃のお話も!)について、たっぷり伺いました!*観劇レポートを追記しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

*2017年10月インタビュー加筆!*(16年3月インタビューは2頁目以降に掲載)
田代万里生undefined84年長崎県出身。3歳からピアノ、15歳から声楽を学ぶ。東京藝大で声楽を専攻、在学中にオペラデビュー。09年に『マルグリット』アルマン役でミュージカル・デビュー。以来『ブラッド・ブラザーズ』『スクルージ』『ラブ・ネバー・ダイ』『エリザベート』『CHESS THE MUSICAL』など様々な舞台で活躍している。(C)Marino Matsushima

田代万里生 84年長崎県出身。3歳からピアノ、15歳から声楽を学ぶ。東京藝大で声楽を専攻、在学中にオペラデビュー。09年に『マルグリット』アルマン役でミュージカル・デビュー。以来『ブラッド・ブラザーズ』『スクルージ』『ラブ・ネバー・ダイ』『エリザベート』『CHESS THE MUSICAL』など様々な舞台で活躍している。(C)Marino Matsushima

難しさと面白さが同居した『グレート・ギャツビー』

――もうすぐライブCDも発売予定ですが、今年は新作ミュージカル『グレート・ギャツビー』に出演されました。主人公の友人、ニック役でしたね。

「すごく面白い役柄でした。原作小説はほぼ全編がニックの視点で書かれているのですが、いただいた台本を読むと、ニックはストーリーテラーではありませんでした。とは言えストーリーテラーの役割も反映されていて、他の登場人物とは違う客観性を持ったうえで、すべての登場人物をニックを通してお客さんに届けなくてはいけない。それも台詞や歌ではなく、演技や表情、呼吸で伝えなくちゃいけないのは難しかったですね。『スリル・ミー』や『エリザベート』など、それまでの経験があったからこそできたかなと思う部分もたくさんあったし、あそこはもっとできたんじゃないかなと思う部分もあって、他の作品では経験できない役柄でした。
『グレート・ギャツビー』(ハイライト・ライヴ録音盤CDが11月に発売予定)写真提供:東宝演劇部

『グレート・ギャツビー』(ハイライト・ライヴ録音盤CDが11月に発売予定)写真提供:東宝演劇部

音楽面では、ニックはソロ・ナンバーはありませんでしたが、作曲のオベラッカーさんは、20年代のジャズ・エイジの音楽を意識しながらも、ガーシュイン的な音楽や、自分のオリジナリティも注ぎ込んで、17年の僕が書く意味を考えて作曲したとおっしゃっていました。「誰も知らないギャツビー」など、当時の曲さながらのチャールストンナンバーもあれば、当時は存在しなかったであろうメロディ、異次元の音楽もあったりして、それが混在しているのが面白かったですね」

“ドキドキ”が忘れられないクリエでの初出演

――2018年はまず、シアター・クリエ10周年記念公演『TENTH』に出演の予定ですね。

「僕は一部のハイライトではなく、二部のガラコンサート的な部分に出演します。クリエというと、僕はこれまで『ブラッド・ブラザーズ』『トゥモロー・モーニング』『ピアフ』などに出演しましたが、舞台と客席がとても近くて大好きな劇場の一つです。生(なま)声ではないけど、体感的に生声が聞こえるくらいの距離感でやってるので、見やすいんですよね。
『TENTH』(18年1月4日開幕)シアター・クリエにて

『TENTH』(18年1月4日開幕)シアター・クリエにて

またデビューが『マルグリット』といういわゆるグランド・ミュージカルだった僕にとって、その後の二作目がここでの『ブラッド・ブラザーズ』。9割が芝居で歌はソロが一曲とデュエット的なワンフレーズくらいという作品でした。いきなり客席の近い中劇場で、歌無しで台詞で芝居をするということにドキドキしていた時期だったので、すごく強烈に覚えていますね」

――その後には「成人の日コンサート」で、演奏会形式の『フィガロの結婚』に出演されますが、演じるケルビーノは普通、ソプラノやメゾソプラノが歌うお役なのでびっくりしました。

「このシリーズにはこれまでも『蝶々夫人』『オペラ座の怪人』などいろいろ出演しています。青年ケルビーノはいわゆる宝塚でいうところの男役(女性が男性を演じる)の役どころなのですが、オペラの場合は男役ではなく、“ズボン役”と呼ばれます。オペラでは声種を超えて演じことはあり得ないのですが、今回ケルビーノは物語全体の語りも担い、音域的にもちょうどテノールと同じくらいというのもあって、ご依頼いただきました。僕もコンサートでは(『フィガロの結婚』の曲を)歌ったことはありますが、今回は本職のオペラ歌手のみなさんとの共演もとても楽しみです」

――次々引き出しを増やしていらっしゃる田代さんですが、最新作の『きらめく星座』では戦前の流行歌を歌っておられ、“平成の藤山一郎さん”というキャッチフレーズも加わったように感じます。

「いいですねぇ(笑)。この前、藤山さんの「東京ラプソディ」を歌わせていただいたのがきっかけでプロフィールを拝見したら、音楽学校(東京音楽学校=後の東京藝大)の頃からビクターでレコードを出されていて、僕もESCOLTA(名義)でビクターからデビューしていますので、何だか共通点があるなと思いました。でも藤山さんに限らず、過去のオペラの方々はジャンルを問わず華麗なる経歴をお持ちなんですよね。オペラをやりながら映画にも主演して、主題歌も歌ってそれが大ヒットしたり。

藤山さんも、バリトン歌手としてオペラや第九(演奏会)もこなし、流行歌も歌っていらっしゃって、そういう経歴を拝見していると、僕も食わず嫌いにならず、いろんなことにチャレンジして、いいと思ったものを確信をもってやっていきたいな、と感じますね。チャレンジしながら届けていけば、きっと想像もしないような世界が広がって行くんじゃないか。そう思いながら、今は頑張って経験を積み重ねているところです」

*『きらめく星座』(11月5~23日)についての田代さんへのインタビューは「 2017年11~12月の注目!ミュージカル 」にて掲載

*次頁からは16年3月のインタビューを掲載します!
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