お金の悩みを解決!マネープランクリニック/30代シングルの方のお金悩み相談

37歳貯金2000万円。同性愛で独身の予定。老後が不安(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、同性愛で一生独身と語る会社員男性。今後のマネープランについて、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 自分なりの「安心の尺度」を持とう

老後が不安ということですが、どの程度老後資金を用意できるか、試算してみましょう。

現在の貯蓄と投資の年間ペースは合計で80万円ほど。これを23年間、60歳まで継続したとすれば、トータルで1840万円が今の資産に上乗せされます。

一方、今後の大きな支出としては10年後に住宅ローンを繰上返済で完済する予定があり、その返済額が1200万円。また、マンションの修繕積立金は、マンションの戸数や形状、毎月積み立てている額がどの程度かで大きく変わります。クルマの買い替え費用も、そのサイクルや車両価格によって異なりますが、60歳までに計500万円程度かかったとしましょう(※)。

現在ある資産から、それらを差し引けば、60歳の時点で手元に残る資産は、2000万円前後となります(配当や利息を考慮していない)。ただし、住宅ローンの支払いが47歳でなくなりますので、それをすべて貯蓄に回せば約1300万円。したがって、実質3300万円が老後資金として用意できることになります。

では、この3300万円が老後資金として足りるかどうか。
90歳まで生きるとすれば老後は30年間。老後の生活費を現在と同程度とすれば、住宅ローンと保険料のほとんどの支払いがなくなりますので、月に約15万円。つまりは公的年金で65歳以降はカバーできることになります。公的年金の支給がない60歳からの5年間については、貯蓄に取り崩すことになりますので、計900万円が減り、65歳時の手元の資金は2400万円。また、66 歳からは個人年金保険から10年間で計500万円受け取れます。

ずっと一定の生活費であれば、計算上これら手元資金は目減りすることはないことになります。したがって、老後資金の金額からも、現状ではさほど心配することはないと思います。

ただし、老後は不確定要素が多く、何が起こるかわかりません。そこで、自分なりに「安心の尺度」を持つといいでしょう。具体的な試算をした上で、この金額が用意できていれば、とりあえず安心と思う金額を設定する。もちろん、尺度は変わっても構いませんが、それを持つことで漠然な不安、必要以上の不安からは開放されと思います。
 

アドバイス2 60歳以降も働ことで老後の不安は緩和


今後できる有効な老後対策としては、まずは「できるだけ長く働く」ということです。ご自身も「60歳以降も働きたい」と言われていますが、ぜひそうしてください。貯蓄を取り崩す生活は、貯蓄額にかかわらず、不安で心細く感じるものです。そういった状況をなるべく先送りするためにも、少額でもいいので収入を得ていくことが大切になってきます。

また、退職金の金額を確認しておくことも大切です。先の試算では退職金を含んでいません。まとまった額が支給されるのであれば、老後は資金的にさらにゆとりが生まれます。まだ先の話なので、実際の金額は変わることもあるでしょう。それでも、現時点でライフプランを立てることができます。幅があって構いませんので、おおよその金額を確認しておきましょう。

さらに転職の可能性もあるのでしたら、できる限り早めに動くことをおススメします。転職活動自体、30代の方が総じて有利なはず。早く転職ができれば、老後生活もより具体的に描けるでしょう。
 

アドバイス3 親の介護は「親のお金」でまかなうのが基本

最後は家計について。
全体に無駄はありません。住宅ローンも計画的に組まれていますし、購入後、なお2000万円近い貯蓄があるわけですから、これまでも十分に家計管理されてきたことがうかがえます。

しいて言えば、保険でしょうか。死亡保障600万円の終身保険ですが、必要性をさほど感じません。現時点で、お金を遺さなくてはならない家族はなく、貯蓄性を考えるなら、支払っている保険料を積み立てた方が流動性もあり、よほど合理的です。払済保険にすべきでしょう。

また、がん保険は継続するとしても、医療保険は解約されていいと思います。現時点でまとまった貯蓄があります。医療費はそこから捻出し、浮いた保険料も貯めていけば医療費に使えます。

親御さんの介護については、基本的には「親のお金でまかなう」ということになります。親の年金や預貯金などをその費用に充て、それでも足りない部分に関しては、子どもが経済的に支援することも必要かもしれません。ただし、まだ元気であれば、現時点で不安に思うことはありません。

最後に、10年後に予定されている繰上返済について。貯蓄が一気に1200万円減ってしまうのは、順調に貯蓄が増えていなかったり、途中大きな支出があると、手持ち資金が心許なくなることも考えられます。住宅ローン控除が終わったとしても、10年後に半分の600万円。残りは5年後といったプランも合わせ持って、柔軟に対応するといいでしょう。

(※)マンションにかかる修繕積立金は1戸あたり10~15年で100万円程度。そのうち半分は毎月の修繕積立金でカバーできるとした場合。クルマは買い替えサイクルを7~10年、買い替え費用を100万~120万円程度して試算。
 

相談者「チョコ大好き」さんから寄せられた感想

「自分なりの安心の尺度」という言葉に感銘を受けました。これまで今後のお金のことを自分でも計算してみても何か漠然とした不安がありました。先生にも計算いただいて同じ生活を続けても大丈夫とのことでしたので一安心しました。一度、「安心の尺度」について考えてみようと思います。この度はありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ





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