歌舞伎

今、ノリに乗っている!U-30の歌舞伎俳優たち(2ページ目)

今ノリに乗っている20代の歌舞伎俳優たちを紹介してみたいと思います。中村隼人、坂東巳之助、中村米吉、坂東新悟、中村国生、中村歌昇。この若者たちは、今年飛躍的に活躍すると思われます。

宗像 陽子

執筆者:宗像 陽子

歌舞伎ガイド

穏やか控えめながら結構おちゃめキャラ
坂東新悟

■1990年12月5日生まれ。1995年初舞台。

父は坂東彌十郎。がっつりといかつい彌十郎に似ず、すらりとしていて優男(やさおとこ)風の坂東新悟は、早くから女方を目指し修行を積んできました。女方としては長身ですが、同じ悩みをもつ六世尾上梅幸を手本としています。

若者同士の楽屋での写真などではいつも後ろの方でにこやかに微笑んでいる風。それでいてなかなかおちゃめな面もブログでは見せています。そんなギャップがファンには魅力なのかもしれません。

2012年には新橋演舞場「ぢいさんばあさん」の妻きく、平成中村座「毛抜き」の小野左衛門息女錦の前などを演じて成長を見せました。着々と力をつけ、2015年は、「阿弖流為」(阿毛斗役)で新境地を見出したよう。ブログでは、自分の中の歌舞伎観さえ覆る「革命」とまで言っています。

今まで考えさせられる系の芝居が好きだった自分の中では革命でした。
王道を極めるとここまでかっこいく深くなるのかと。
でも思えばそれって歌舞伎じゃないかと。

今後は二枚目、若衆など幅広い役をこなすことに意欲を燃やしており、ますます楽しみです。

タレ目で大人気。愛されキャラの女方
中村米吉

■1993年3月8日生まれ。2000年7月歌舞伎座で中村米吉を襲名し、初舞台。

ふっくらほっぺにタレ目の愛嬌のある顔で「タレ目の女方」と大人気の米吉は、今最も期待されている女方といって過言ではありません。父は中村歌六、母はロス・インディオスの2代目ボーカルおがわ恵子さん。顔と伸びやかな声はお母さん似なのでしょうか。

2015年に大学を自主的に卒業(?)、「今までは『歌舞伎俳優をやっている大学生』でしたが、いよいよ肩書きは『歌舞伎俳優』ただ一つになりました」と挨拶をしたのは、2016年の浅草新春歌舞伎でのこと。米吉は立役も演じていますが、なんといっても女方としての才能に期待がかかっています。

2014年の「日本振袖始」では、坂東玉三郎に抜擢されて大役稲田姫を好演しました。その際玉三郎は「日本の芸能の未来を想う心で若手を抜擢した」と語っています。天下の玉三郎に未来を託された米吉です。

さらに2015年の活躍はめざましく、特に夏、染五郎のラスベガス公演「鯉つかみ」で、染五郎の相手役に抜擢されたことは本人にとっても大きな経験となったのではないでしょうか。

2016年の新春浅草歌舞伎ではお富さんを演じ、今までの「かわいいお姫様」からまた一つ演技の幅を広げました。

ブログも、出演している役の話のみならず、わかりやすく背景の説明が書いてあったり、ほかの役者さんを紹介していたり。ブログという表現ツールの長所を最大限に生かして、歌舞伎を紹介しているところが好感が持てます。

弟は龍之介、ただいま勉学に集中するため、歌舞伎の活動は休止中ですが、こちらも気になるところです。
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若者たちにとって浅草新春歌舞伎は活躍できる貴重な舞台のひとつ


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