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中家正博『Men Y Men』インタビュー!(3ページ目)

新国立劇場バレエ団で日本初演を迎える『Men Y Men』。イングリッシュ・ナショナル・バレエで2009年に初演を果たし、話題を集めた男性ダンサーのみで描かれる異色作です。ここでは、キャストのひとりであり、2015/16シーズンよりソリストとして移籍入団した中家正博さんにインタビュー! 作品とバレエ団での展望についてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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5月公演『ドン・キホーテ』でバジル役に抜擢されています。主演が決まったときの心境はいかがでしたか?

中家>ただただびっくりしました。うれしかったのと同時に、プレッシャーも感じました。浮かれてた訳じゃないけれど、『ドン・キホーテ』が決まった一週間後にケガをしたんです。“おめでとう、がんばって!”“がんばります!”グキッとなって。本当にショックでしたね。

『ドン・キホーテ』はグラン・パ・ド・ドゥや発表会で全幕の抜粋を踊ったことはありますが、本当の意味での全幕は初めて。僕はテクニックをがんがん見せるタイプではないので、全幕を通して物語を運んでいくことを大切にしたいです。自分のビジョンとしては、一幕は動きというよりキトリや友人たちとのやりとりなどの演技を重視して、踊りは三幕で見せるという考え方。全体の流れを大切にしながら、決めるところはぴしっと決めたいと思っています。


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新国立劇場バレエ団公演『ドン・キホーテ』 (C)瀬戸秀美


パートナーの木村優里さんとは新国立劇場バレエ団に入る前から何度か一緒に踊っています。彼女が橘バレエ学校にいたときにパートナーを踊らせてもらったり、新国立劇場バレエ団研修所にいたときに組ませていただいたり。彼女は研修所出身でソリスト入団という、まさにエリートコースですよね。


日替わりで3ペアが登場しますが、他のキャストは意識しますか?

中家>昔からずっとそうなんですけど、僕はひとそれぞれだと思っていて。以前牧阿佐美バレヱ団で『ロメオとジュリエット』のロミオを踊ったときも、京當侑一籠さんと清瀧千晴さんと僕の3キャストだったことがありましたけど、それぞれタイプが全く違うので意識はしなかったし、今回もそうだと思う。僕は僕の踊りをする、という考え方。もちろん一定レベルを超える必要はあるけれど、そこから先はひとそれぞれ。そうでなければ、いろいろなキャストがいる意味がないですよね。

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『Men Y Men』 リハーサル


新国立劇場バレエ団のなかで憧れのダンサーはいますか?

中家>このひとのここがすごい、というのはみなさんにあります。なので、名前を言い出すとキリがないので挙げません。

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『Men Y Men』 (C)Richard Haughton


今後ご自身が打ち出していきたい部分、目指すものとは?

中家>トータルで無難ではないレベルのもの、いい意味でのバランスの良さは出したい。何でもできるけど面白くないよね、とはならないように気を付けたいです。何でもできるというのは基本でありたいし、その上で自分ができることがあれば嬉しい。もともと高く飛ぶことに命をかけてた時期があったんですけど、そればかりだと身体を壊してしまう。ケガから復帰している段階で、これからどうしようと考える部分はあります。でも、もしかして考え過ぎるのもダメなのかもしれない。10代の頃は感じるままにバッとできたけど、20代に入ってからは考えて踊るようになった。でもある先生から“昔の方が元気が良かったね”と言われて、じゃあもう少し考えずにやってみようかな、と思ったり……、その時々で考えが変わってますね。

いろいろな意見を聞けるのはすごくありがたいことで、絶対コレだと決め付けない方がいいときもあるし、自分を貫き通した方がいいときもある。でも最終的に判断するのは自分なので、そこはなかなか難しいところではあるけれど。コレというものが見つかったら、また違ってたのかなと思ったり。探り探り、と言うのが答えなのかもしれません。

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『Men Y Men』 リハーサル


オールラウンダーでいたいというのもあるし、でも賛否両論もありたい。矛盾しているかもしれないけれど、万人受けする踊りではなくて、熱狂するひともいれば、アンチがいたりする、それが個性だと思うんです。受け入れられなかったらそれはそれということで、そこはちょっと我が儘に個性を出したい。その個性が何かというと作品によって変わってくるので難しいけれど、とにかく心を動かす踊りをして、観ている方に何かが伝わればと思う。全員ではなくてもいい、とにかく何か響けばと思っています。どういう響き方でもいいので、何か感じるものがあってくれたらと。思うところはいっぱいあるけれど、何か心に響くものを伝えらえら、というのが一番の想いです。




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