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中家正博『Men Y Men』インタビュー!(2ページ目)

新国立劇場バレエ団で日本初演を迎える『Men Y Men』。イングリッシュ・ナショナル・バレエで2009年に初演を果たし、話題を集めた男性ダンサーのみで描かれる異色作です。ここでは、キャストのひとりであり、2015/16シーズンよりソリストとして移籍入団した中家正博さんにインタビュー! 作品とバレエ団での展望についてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


牧阿佐美バレヱ団には5年間在籍されていました。

中家>ものすごく濃い5年でした。入団してすぐ『セレナーデ』に出演させていただきましたし、その年の『くるみ割り人形』ではアラビアなどソリストを踊らせていただきました。ドゥミソリストとして入団して、二年目の終わりにはプリンシパルに昇格していました。当時のプリンシパルは、森田健太郎さん、逸見智彦さん、京當侑一籠さん、菊地研さんというすごい顔ぶれで、プレッシャーでしたね(笑)。

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『Men Y Men』 リハーサル


とんとん拍子にプリンシパルにまで登り詰めてしまった、その陰にはやはり人並み以上の努力があったはず。原動力は、やはりバレエに対する愛でしょうか?

中家>何でしょう。好きか嫌いかと聞かれたら好きなんでしょうけど、バレエはもうあって当たり前なので、自分でも何だかわからない存在なんですよね。シンドイときもあるし、もしかしたら嫌いなのかもしれない。ただ、課題をひとつずつクリアにしていこうとしていただけです。

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『Men Y Men』 (C)Patrick Baldwin


2015/2016シーズンから新国立劇場バレエ団にソリストとして入団しています。移籍の動機は何だったのでしょう。

中家>新国立劇場バレエ団にはずっと憧れがありました。牧阿佐美バレヱ団時代に新国立劇場の舞台をお借りして公演を行ったことも何度かあって、とてもいい環境だなというのは実感していましたし、知り合いも沢山いる。オーディションを受けようと決意したのも、昨年の1月に新国立劇場で開催された地方招聘公演に出演することになり、劇場に出入りしているうちに“やっぱりいいな”という想いが高まってのことでした。1月8日がオーディションの締め切りで、ぎりぎりまで迷っていて、やっぱり受けようと決意したのが1月5日。郵送だと間に合わないと思い、劇場まで来て自分で応募用紙をポストに投函しました。

プライベートではなく、みなさんと一緒にオーディションを受けました。ソリスト希望かコール・ド・バレエ希望か丸を付ける欄があって、ソリスト希望で出しました。それで落ちたら諦めようと思ってました。オーディションは二日間あって、一日目はオーディションを受けるメンバーだけのクラスレッスンがあり、続いてパ・ド・ドゥ審査。そこで合格すると、翌日バレエ団と一緒にクラスレッスンを受けるという流れです。

オーディションを受けるにあたり事前にきちんと報告しようと思って、まず三谷恭三先生と牧牧阿佐美先生に“オーディションを受けに行きたいです”と伝えました。おふたりともびっくりされていましたし、引き留めてくださいました。牧阿佐美バレヱ団では6月に『ノートルダム・ド・パリ』が控えていて、自分の出世作でもあるのでもう一度踊りたいという気持ちもありました。でも今しかないと思った瞬間だったので、もう自分でも止められない。合格の通知が来てすぐ三谷先生と牧先生に報告しました。先生方には、“がんばって”と言っていただきました。

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新国立劇場バレエ団公演『ホフマン物語』 (C)鹿摩隆司


支えてくれた方々のためにも活躍しないといけないですね。

中家>そうなんですけど、『ホフマン物語』では本番直前にケガをしてしまって……。新国立劇場バレエ団の初舞台初日に降板という最悪のパターンです。二幕でソリストのひとりを踊ることになっていたんですが、カブリオルを打って着地した瞬間に足がぐにゃっとなっちゃった。もともとくるぶしの下にもうひとつ大きな骨があるんですけど、それとくるぶしがガチンと当たったらしく、本当に痛かったです。結局激しく踊る役は降板して、アントニアの父親役など演技が中心の役で出演しました。父親役が新国立劇場バレエ団でのデビューです。

『ホフマン物語』の本番中はずっと申し訳ない気持ちしかなかったですね。僕の代わりに踊ってくれてるひとがケガしないようにというのと、頑張ってという気持ちでいっぱいで、自分のことなんて何も考えられなかったです。自分はとにかく脚を治さないといけない。踊れるようになったのは3~4週間経ってから。なんとか復活できて本当に良かったですけど……。

バレエ団自体はバレエに集中できる素晴らしい環境で、ダンサーもみんな意欲があるから、そこにいることで自分も頑張ることができる。すごく充実してますね。求めていたものを間近で見ている気がします。


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