損害保険/損害保険関連情報

火災保険 一戸建て満期前の見直し相談「家財と水害」(2ページ目)

Aさんは、9年前に一戸建ての住宅を取得しました。その時、火災保険に加入していますが、とりあえず加入を急ぎ、内容はお任せだったようです。建物の保険金額を確認し、地震保険について確認した前回の「火災保険一戸建て満期前の見直しポイント」に続き、今回は家財の補償、そして水害の補償についても確認をしていきます。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

  • Comment Page Icon
 

自宅が川に近い!火事より水害の方が心配

住宅と河川

川が自宅の近くにある場合は水害のことも

Aさん ところで、わが家はすぐそばに川が2つあるんです。幸いにして、これまではそういうことはなかったのですが、豪雨で排水が詰まったり、川が増水したときの水捌けをとても心配しているのです。木造住宅が密集している地域なので、火災はもちろんですが、実は水害の方はもっと心配なんですよ。

清水 水害は地震と並ぶ恐ろしい災害です。何しろ水は止めることができません。水害の危険がある地域なら、火災保険で水害の補償を必ず確保しておくべきです。

Aさん はい……。でも改めて考えてみると、水害の契約をした記憶がないんですよ。そもそも地震保険に水害は含まれると思っていましたし……。

清水 ああ、水害と津波を混同してしまいましたか。地震保険でカバーできるのは、地震や噴火が原因による損害とか、それで発生した津波による損害なんですね。なので、地震が原因でない集中豪雨などによる水害は、地震保険ではカバーできないんです。火災保険で水害の補償を確保することになります。

Aさん では、わが家は水害がカバーされているんでしょうか?

清水 Aさんのお持ちになった資料では水害の補償があるかどうかが確認できないので、すぐに担当者に連絡して確認してください。火災保険の多くはパッケージ商品なので、水害が含まれているものも含まれていないものもあります。あるいは、1つ1つの補償をチョイスするタイプのものもありますが、いずれにしろ、損害が大きくなる水害については十分に注意して補償を確保することが大切ですね。

Aさん 水害の補償を確保すれば、もういざというときも安心なんでしょうか?それとも地震保険のように損害の一部しか補償されずに自己負担が大きくなってしまいますか?

清水 水害の補償内容は商品により異なります。損害を100%補償するものもあれば、70%までと限定的な補償となっているものもあります。損害額が一定額以下の少額だと、受け取れる保険金に上限額が設けられるものもあります。補償が限定的なものは保険料はおさえられますが、損害が大きくなったときには自己負担が大きくなってしまいます。水害で住宅に大きな損害を受けたら、生活再建はとても大変です。被災する可能性があるなら、Aさんは水害を手厚く補償するタイプにしておくのが良いですね。
 

補償内容を決めるときにも役立つハザードマップ

ガイドundefined清水香さん

「自宅周辺の災害予想は、定期的にチェックしましょう」清水

Aさん 心配だけど、そもそも、わが家がどの程度の被害を受ける可能性があるんだろう……。

清水 お住まいの地域のハザードマップ、ご覧になったことはありますか?

Aさん 長年住んでいましたが、あまり気にしたことはなく、詳しく見たこともなかったですね。

清水 ハザードマップは住所地に一定の災害が起きた時、どの程度の被害を受けるかを色分けした地図で示したものです。これは新宿区の洪水ハザードマップの一部です。平成12年9月に起きた東海豪雨並みの降雨量を想定して、地図上の色により、どの程度浸水する可能性があるかを示しています。例えば、薄い水色のところは1回の軒下(2メートルの高さ)まで水に浸かると予測されています。
 
ハザードマップの例

ハザードマップの例

 
ハザードマップの見方

ハザードマップの見方


Aさん はあー。これは他人事ではありませんね。自分の家が1階の軒下まで浸水するとなれば。

清水 そうなんです。大きな被害が生じた地域で、あらかじめハザードマップにより警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、それを住民が充分に理解していなかったケースもありました。生活がひっくり返るほどの最悪の事態がありうることを、事前に理解し、きちんと備えておくことは、被災後も続く暮らしのために何より大事ですよね。

Aさん そうですね……。

清水 ただ注意が必要なのは、ハザードマップはあくまでも一定の前提に基づく想定だということ。東海豪雨並みの降雨量を超えれば、想定を超える被害もあり得ます。ハザードマップを絶対視するのもまた危険ということです。それでもハザードマップを知ることからまずは始めないと。ハザードマップはあらゆる備えのベースですから、火災保険の補償もこれを参考にして決めるといいです。住所地の役所にありますから、ぜひ取り寄せてみてください。

Aさん 実際、ハザードマップを知らない人は多いと思います。私もですが、私の近所に住む人も、みんな知らないと思う。でもこれでは災害時、地域共倒れになってしまいますよね。

清水 ええ、そうかもしれませんね。今回Aさんがお知りになったことを、ぜひ皆さんに伝えてください。地域にどんなリスクがあり得るのかを考え、その上で平時にできることは保険も含め、みんなで前もって備えておくことが地域の安心にも繋がります。

Aさん 水害はみんなが必要な補償ですか?

清水 水害とは下から上がってくる洪水、あるいは土砂崩れなどを指しますから、その可能性の低いマンションの高層階では不要です。一方、一戸建てやマンションの低層階で川のそばとか、あるいは土砂崩れの可能性があるところは言うまでもなく必要でしょう。そうでない住宅でも油断なりません。水害が相次ぐ昨今では、多くの世帯にとって必要性の高い補償になりつつあると思います。

Aさん ……気になっていたことだけに、今回は家に戻ったら、やらなくてはならないことがたくさんでき、とても良い機会を得られました。ありがとうございます。

清水 こちらこそありがとうございます。引き続き、今後の生活設計に生かしていただければと思います。


<火災保険 一戸建て満期前の見直し相談 記事>
火災保険 一戸建て満期前の見直しポイント

【関連リンク】
火災保険の見積もりや契約に必要な書類は?
住宅取得時の火災保険 勘違いランキング 
火災保険の必要性2 自然災害に国の補償なし 
 
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/11/30まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます