心の病気になったとき、大きな支えになる家族の力
心の病気からの回復には、ご家族全員の力が必要になります
家族は患者さんが病気から回復していく過程で、心の拠り所になる存在です。それと同時に、家族と患者さんのコミュニケーションの良し悪しは病気からの回復を大きく左右します。心の病気を家族全員で乗り切るために知っておきたい基礎知識を詳しく解説します。
本人だけではなく、家族みんなの心理的負担の軽減を
家族の一員が病気になることは、それが何の病気であれ、本人にとっても家族にとっても辛いものです。だからこそ、その病気を理解したいと思うのですが、心の病気は普段なじみが無い場合も多く、家族の皆さまがかなり誤解をしていることもあります。そういった場合、精神科を受診して、ご家族が病気の説明を医師から受けても、なかなか頭に入らず、ひどく混乱するようなこともあるかもしれません。実際に家族の一員が突然心の病気になれば、さまざまな問題が起こる可能性があります。そのため、病気の発症時、患者さんのケアをする家族は、まわりのサポートがないまま孤立感や孤独感を深めてしまう恐れがあるのです。また、家族の一員が病気になったことへの、周囲の反応が気になってしまうこともあるでしょう。
こういったことが原因で、家族全員にかなりの心理的負担が及んでしまうこともあります。具体的に考えられるのは、ストレスが強い日々を送るうちに頭痛がひどくなる、あるいはイライラがひどくなるといった症状です。胃潰瘍や高血圧といった身体疾患、飲酒問題やうつ病など心の病気の引き金になってしまう場合もあるでしょう。
対処法は家族全員で考える必要があります。たとえば、家族全員で楽しむ時間を積極的に作り、家庭のストレスを軽減させること。これは患者さんの療養を良好にしていく上で、大変重要です。
まずは「心の病気」に関する正しい理解と知識を持ちましょう
深刻なストレスは、放っておいて自然に改善していくものではありませんが、適切に対処するのはなかなか難しいことかもしれません。日常レベルのストレスでも、たとえばプレッシャーが強くなると、スマホの画面を眺め続けてしまう……など、ストレスへの対処がなかなか取れないことも少なくないでしょう。しかし、家族の一員が心の病気になってしまった場合、少しでも早く対処法を見つけたいと思うのが当然です。対処方法は、家庭ごとに違ってくるものですが、一般的にはまず病気に関する正しい理解と知識を持つことです。加えて、その病気が原因で生じる家庭内の問題にはどのようなものがあるかを詳しく知っておくことです。こうした病気に関する問題では、特に主治医のアドバイスが重要になります。
患者さんをサポートしていく上で、病状を同じくする患者さんのご家庭との情報交換はおおいに役立ちます。自分たちがこれまで感じていた孤立感や孤独感が和らぐかもしれません。
サポートはもちろん大切ですが、家族はそれぞれ自分の生活があることは忘れてはいけません。患者さんへのサポートと、自分の生活の間にいかにバランスを取るか、何とか折り合いをつけていきたいものです。
コミュニケーションや意思疎通に問題? 心の病気への理解を
心の病気は、症状の内容によって家族と患者さん間のコミュニケーションを悪化させてしまう可能性があります。たとえば、うつ病になると、何をするにも億劫になってしまうため、話しかけてもネガティブな反応しか返ってこない場合もあります。そうした時、「こんなに心配しているのに……」と思わずに、「きっと病状が影響してるんだろう……」と考えられる病状への理解が必要なのです。コミュニケーションの問題から生じるさまざまな家庭内のストレスは、心の病気が再発する主要なリスク要因です。患者さんの病状に応じて、生じ得る意思疎通の問題はかなり異なります。前述しましたが、主治医のアドバイスはコミュニケーションの取り方などの助言をもらう上でも大変重要になってきます。また、ここでも同じような患者さんを持つ家族との関係が心の支えにもなるでしょう。
時には「忍耐」「辛抱」といった言葉が必要になるかもしれませんが、そのためにも家庭内のストレス要因はできるだけ取り除いておく必要があります。
家族の一員が心の病気を発症した時、ご家族が患者さんをサポートするうえで知っておきたい事を詳しく解説しました。いずれにせよ、病気からの回復には、できるだけ早い段階での治療開始が最重要であることをお忘れなく。