キッチンをプランニングする際に、早めに決定しておきたいアイテムのひとつが加熱機器。キッチン設備の中でも、日々の調理のしやすさを左右し、住まい全体のエネルギープランにも影響する重要な設備機器です。一般的には住まいの熱源に電気を用いるオール電化住宅の場合はIHクッキングヒーター、ガス+電気の場合は、ガスコンロもしくはIHクッキングヒーターを選ぶことになるでしょう。それぞれ特徴がありますが、ここでは、キッチンのプランニングの前に知っておきたい、IHクッキングヒーターの基礎知識をまとめました。

[写真協力] パナソニックエコソリューションズ 

磁力線によって鍋そのものを発熱させ調理。直火が出ず、掃除がしやすい

明るさが火力に応じて変化する光るリング、掃除が楽で大火力のグリルも搭載のビルトインタイプ。undefined[KZ-V573S]

明るさが火力に応じて変化する光るリング、掃除が楽で大火力のグリルも搭載のビルトインタイプ。 [KZ-V573S]

IHとは、電磁誘導加熱(Induction Heating)のことで、IHクッキングヒーターは、磁力線の働きによって鍋そのものを発熱させるしくみの加熱機器です。通電するとすぐに鍋を発熱させるので、熱効率は高く(約90%)、プレートと密着している部分だけ発熱させるため、エネルギーロスを抑えることが可能です。また、調理をする直火がなく燃焼ガスが発生しないので、部屋の空気が汚れにくいのも特徴。まわりに放熱することが少ないので、夏場のキッチンでも快適に過ごすことができるでしょう。

その他、トッププレート(結晶化ガラス)は凸凹がないため、ふきこぼれも拭きやすく、お手入れも簡単。油煙もほとんどあがらないため、換気扇の掃除も楽に行えるのも魅力でしょう。

素材や大きさ、形状など、使用できる鍋には制限がある

IHクッキングヒーターには、鉄・ステンレス対応のIHとオールメタル対応のIHが揃っていますが、いずれも、材質や底部分の形状などによって、使用できない鍋があります。一般的に、土鍋や陶磁器(セラミックス)、耐熱ガラスなどは使うことはできません。オールメタル対応のIHであれば、それら以外は使用することが可能ですが、鉄・ステンレス対応のIHでは、銅やアルミなどの非磁性金属鍋やなべ底に磁石がつかないものなどは使用できません。商品によって、専用の天ぷら鍋を推奨していることもあります。

また、鍋の大きさや形状などにも注意が必要です。鍋やフライパンの底の形状は、平らでトッププレートに密着できるものが適しており、底が丸いものやそりがあるものは使うことができません。鍋やフライパンなどの調理器具を購入する場合は、IHに使用出来るものかどうか、「一般財団法人製品安全協会」が認定する「SGマーク」などを参考に選ぶことが大切でしょう。

ビルトインタイプと据え置きタイプ。システムキッチンにはビルトインタイプ

狭い場所でも施工しやすいコンパクトなプラグを採用。リフォームでも取り入れやすい。[据置タイプIH設置イメージ KZ‐D60KM]

狭い場所でも施工しやすいコンパクトなプラグを採用。リフォームでも取り入れやすい。[据置タイプIH設置イメージ KZ‐D60KM]

IHクッキングヒーターには、ワークトップに組み込むビルトインタイプとコンロ台に据え置くタイプがあります。新築やリフォームの際に多く用いられるシステムキッチンでは、ビルトインタイプが設定されているのがほとんど。ガステーブルをIHクッキングヒーターに交換するリフォームなどでは、据え置きタイプを用いることになるでしょう。一般的に、ビルトインタイプの方が、機能が充実している商品が多くみられます。

ビルトインタイプのIHクッキングヒーターの間口サイズは、60cmと75cm。ガスコンロと同様の大きで、75cmであれば、鍋を仮置きするスペースを確保できますし、60cmであれば、調理台部分を広く使うことができるでしょう。

3つ口のタイプが一般的。ラジエントヒーターを組み合わせたタイプも

IHクッキングヒーターの1口の最大火力は、1.5kw・2.5kw・3.0kw。これらを組み合わせた、3つ口のタイプが一般的ですが、2口や1口のタイプもみられます。

据え置くタイプには、2口が多く、ビルトインタイプは、手前にふたつと奥にひとつの3つ口のタイプがほとんど。3つすべてがIH のタイプ、もしくは、手前ふたつがIHで奥にラジエントヒーター(ニクロム線が配置されているもの)を組み合わせたタイプのいずれかを選ぶことになるでしょう。また、手前のふたつ、もしくはひとつがオールメタルとなっているものもあり、使用する調理器具に合わせて選ぶことも可能です。メーカーによっては、3つのIHを横一列に並べたタイプなどもみられます。

操作方法は使いやすく分かりやすい工夫が

ボタンも大きく使いやすい3色LED火力表示を採用した天面操作。使用中は赤色にひかるリングで鍋と奥位置も分かりやすい。undefined [KZ-F33XSフル天面]

ボタンも大きく使いやすい3色LED火力表示を採用した天面操作。使用中は赤色にひかるリングで鍋と奥位置も分かりやすい。  [KZ-F33XSフル天面]

ガスコンロのように火力を見ながら調整できる操作方法とは異なるため、使い勝手に不安を持つ場合もあるかもしれませんが、最近では、操作方法がより分かりやすいように工夫を施した商品が多くみられます。手元が見やすい上面に操作スイッチがあるもの、火力調整をガスコンロのようにダイヤルで操作できるタイプなどもあります。

また、操作手順を音声や文字情報などで教えてくれたり、次の操作するボタンが光ることで知らせてくれるもの、加熱中と認識しやすいような表示があるもの、スマートフォンで調理設定ができるものなども。高齢の方でも操作しやすいように工夫されたタイプが増えてきています。

ふきこぼれや焦げつきなどの安心・安全機能も充実

IHクッキングヒーターには、安心して調理することができる機能も搭載されています。メーカー商品にもよりますが、たとえば、ふきこぼれや焦げつきを感知すると加熱が止まり、音声や操作表示などで知らせてくれる機能、電源を切り忘れても設定時間に自動的に切れる機能、鍋を置かないと自動で切れる機能、鍋底の温度が異常に上がると自動的に通電をコントロールする機能など。高温注意の表示などもありますし、幼いお子さんがいたずらしないように、チャイルドロックなどの設定もみられます。

グリル(魚焼き器)には、大容量タイプや火力の強いタイプなどが

グリルにもIHを搭載し、素早く焼き上げ、うまみを閉じ込める。さんまも成分を多く残し美味しく焼き上げる。undefined[Vシリーズ グリル]

グリルにもIHを搭載し、素早く焼き上げ、うまみを閉じ込める。さんまも成分を多く残し美味しく焼き上げる。 [Vシリーズ グリル]

IHクッキングヒーターと一体になっているグリルにも、機能性が高まったタイプが多くみられます。容量の大きいタイプ、火力の強いタイプなど。上下同時加熱でスピーディー に焼き上げる両面焼きグリルや煙の少ないタイプなども揃っています。また、魚を焼くだけでなく、ローストビーフやスィーツまでオーブンのように利用できるタイプもみられます。

もちろん、掃除のしやすさにも配慮されたタイプも揃い、パーツが取り外しやすくなっているもの、すっきりとした庫内となっているものなど、お手入れが簡単なものが多くみられるようになりました。

換気扇と連動、HEMS(ヘムス)対応のタイプも

最近では、IHクッキングヒーターと換気扇との連動運転が可能なタイプもみられます。調理に合わせて自動で換気機能が働くので、つけ忘れや消し忘れなどを防ぐことも可能。また、調理中の消費電力や電気料金などをモニターやスマートフォンで確認できたり、住まい全体の消費電力に応じて火力を調整するなど、住まいのエネルギーを見える化するHEMS(Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」に対応できる商品もみられるようになりました。


いずれのビルトイン機器も同様ですが、システムキッチン商品やメーカーによって、選ぶことができるIHクッキングヒーターが設定されているので、こだわりのある場合は、システムキッチンを選ぶ前にどのような機器を取り入れることができるのか確認を。機器の価格は、20万円から40万円程度ですが、搭載されている機能によって大きく異なるので、家族構成や食事のスタイル、調理内容などを考慮して、わが家にとっての必要な機能などの優先順位を明確にして選ぶようにしましょう。

はじめて取り入れる場合は、できる限りショールームで確認を。実際に調理を体験できるセミナーなどを行うショールームもあるので、積極的に参加することをお勧めします。また、電磁波に関しては、現時点では、他の一般的な家電製品と比べて同じレベルと言われていますが、医療用ペースメーカーなどを使用している場合は、専門医師と相談をしておくことが大切でしょう。


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