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エンディングノートに盛り込みたい内容と書き方

50代に入ったら、どんなに遅くても70代前半までには、自分の死の前後の希望や死後の事務処理、財産分割などについてエンディングノートに書き残しておきましょう。これは、自分が望むエンディングを迎えるため、家族を迷わせないために必要なことです。エンディングノートに盛り込みたい内容と書き方をまとめました。

執筆者:小川 千尋

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エンディングノートは死の前後の希望を書き記しておくもの

自分の死の前後のことや財産の分割などに関する希望を記しておく「エンディングノート」がちょっとしたブームになっているようです。

紙の冊子もあれば、パソコンにダウンロードして使うものなど、いろいろなものが市販されています。書き込む内容と順番はものによって様々ですが、自分が書き残しておきたい内容が盛り込まれているタイプを選べばいいと思います。中には、書きたくない内容があるでしょうから、その部分は書かなくてもかまいません。

エンディングノートの形式は自由

いろいろと見比べて、ピンとくるエンディングノートがなかったら、筆者のように、ワード文書で作成してプリントアウト(筆者はエンディングメモと称しています)してもいいですし、普通のノートに書きたいことを書いてもいいですし……。

要は、みなさんに何かあったときに、自分の望みに近いエンディングを迎えるため、家族を迷わせないために、どうしてほしいかの希望を書き残しておく目的を達成できればいいのです。筆記用具は、後で書き直すかもしれないので、消せるペンやえんぴつを使うといいでしょう。

筆者が4~5冊のエンディングノートを見て、また、筆者自身の体験から、これだけは書いておいたほうがいいと思う内容を以下に述べていきます。

緊急連絡先のリストをまずは作成

まず、ノートとは関係ありませんが、自分が倒れたなどのときの緊急連絡先リストを作って、わかりやすいところに貼っておくようにしましょう。リスト化しておくことは、かかりつけの病院名と電話番号、持病名、連絡してほしい人の名前と電話番号です。

自分のプロフィールを書き残しておく

エンディングノートはいろいろなものが市販されている。

エンディングノートはいろいろなものが市販されている。

・名前と名前の由来(親から聞かされていたら)
・生年月日、干支、星座、血液型、出身地、本籍地、現住所
・家族構成(それぞれの続柄、生年月日も。家系図を書いてもいい)
・学歴、職歴、資格、免許
・記念日(結婚記念日など)
・趣味
・座右の銘とその理由、好きな言葉
・好きな色、好きな花、好きな食べ物

好きな色と花、食べ物は、遺族が仏壇やお墓に供えるなどのときに、書き残しておいてくれると助かります。筆者は、両親を見送りましたが、生前、聞いていなくて(もちろん、書き残しておいてくれるはずもなく)、どんな花や食べ物を供えたら喜んでくれるのかわからずに困っています。

父の好きな食べ物は、ちくわ(おでんのちくわを取り合いになったことがあるので)と赤貝(一緒に寿司屋に行ったときによく注文していたので)、母の好きな食べ物はトマト(毎日、食べても飽きないと聞いていたので)、好きな色は紫(遺品の衣類や小物に紫色のものが多かったので)、好きな花はクレマチス(庭に植えたことがあると聞いていたので)……生前の言葉やエピソードから想像するのみで、本当のことはわかりません。両親が亡くなって何年もたつ今でも、きちんと聞いておくべきだったと思っています。

死の前後をどうしてほしいのかの意思を表明しておく

・がんなどにかかったときの告知と余命宣告を受けたいか
・持病とかかりつけの病院
・延命治療は希望するかどうか
・臓器提供はどうするか(年齢的にできないかもしれませんが)
・献体するかどうか
・認知症になったらどうしてほしいか(後見人をお願いしたい人も)

葬儀や告別式、法要などの供養の希望を書き記しておく

・葬儀や告別式の規模(盛大にしてほしいのか、家族葬などの内輪でいいのか)
・生前葬儀の依頼をしてあるか(してあれば、業者名や連絡先も)
・葬儀を依頼したいお寺や喪主をお願いしたい人
・遺影の準備(どの写真を使ってほしいか、その写真の保管場所なども)
・戒名の希望(戒名は不要、必要な場合で入れてほしい文字など)
・葬儀に来てほしい人の名前と連絡先
・お墓の希望(既に購入済みなら、その旨と連絡先なども)
・法要はどこまでしてほしいか(3回忌まで、7回忌までなど)

死の前後のことと葬儀・告別式などのことは、身近な人に口頭でも知らせておきましょう。延命措置をした後や亡くなった後にノートを発見し、本人の意思とは違ったことをしてしまい、遺族の心に一生残るわだかまりを残さないための用心です。

死後の事務処理についてリスト化しておく

●公的制度の加入証
・年金手帳、健康保険証、介護保険証、マイナンバー関連のカードの保管場所(健康保険証は入院時に使用するので、保管場所は口頭で誰かに使えておく)
・運転免許証、印鑑証明カード、パスポートの保管場所(印鑑証明カードは死亡届が出ると自動的に使えなくなるので手続きは不要、運転免許証とパスポートは更新がなければ自動的に資格喪失するので、手続きはしなくてもかまわない)

●引き継ぎ事項
・仕事をしていたら連絡先(電話番号と担当者名、仕事の内容など)
・ペットの世話や供養についての希望
・家や花の手入れについての希望
・介護をしていたら、それを誰に引き継いでほしいか
・形見分けをしたい遺品があれば、「誰に何をと連絡先」のリスト

●解約または名義変更手続き
・携帯電話と固定電話(契約会社名)
・インターネットのプロバイダー(契約会社名)
・賃貸住宅
・利用しているネットサービス(名称とほっておいていいかなどの希望)
・脱退手続きが必要な団体に所属していたら、その名称と連絡先

これらのうち、家族が使い続ける場合は名義変更で対応します。料金が発生するものはきちんとリスト化しておきましょう。

財産の処分についての意思を明らかにしておく

●財産リスト作成
・不動産、金融資産(取引金融機関と連絡先、保有している商品名)のリストと権利証や通帳・印鑑などの保管場所
・加入している生命保険と損害保険のリスト(保険会社名と連絡先、保険種類)と証券の保管場所
・その他、金目のもののリストと保管場所
・クレジットカードを利用していたら、そのカード会社名と連絡先(年会費がかかるものは、解約してほしい旨も書き添えておくといい)
・貸金と借金のリスト(借金は特に大事。その金額によっては相続放棄が必要になるので)
・サイフと現金の保管場所

●財産をどう処分してほしいか
・遺言書の有無と保管場所

よく、大した財産はないので相続でもめないから遺言書はいらないと言う人がいますが、大した財産がない相続がけっこうもめるのです。遺言書があってももめることもあるのですから、自分の意思は遺言書という形で残しておきたいものです。

生前、世話になった人のメッセージを残す

・父親、母親、配偶者、子ども、兄弟姉妹、友人などへのメッセージを書いておく

以上、エンディングノートに盛り込むべき内容を挙げてみました。書くことがたくさんあり、1日では終わらないでしょうから、何日かかけて書くといいでしょう。

また、ノートは一度書いたらそれでおしまいではありません。「自分が意思表示をできなくなった、死亡したら見てほしい」と、ノートの存在と保管場所を信頼できる2~3人に口頭で伝えておきたいもの。そして、気が変わった、財産状況が変わった、相続人が変わったなどがあったら、遺言書も含めて修正します。

何もなくても、数年おきに見直して、修正したいところがあったら修正して、できるだけ最新の意思を残すようにしましょう。

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