ボジョレー・ヌーヴォーの大御所である「ジョルジュ・デュブッフ」の後継ぎとなるアドリアン・デュブッフ・ラコンブ氏(以下ADL)が、2015年の解禁日のために来日されたので、緊急インタビューをすることになりました!

アドリアンさんは、「ボジョレーの帝王」との異名も持つボジョレー・ヌーヴォーを一世風靡させたジョルジュ・デュブッフ氏のお孫さんにあたり、現在、輸出部長を務めています。日本の輸入元、サントリーで3か月の研修を受けたこともあり、大の親日家のようです。

2015年の収穫状況

— 今年はフランス全土、とてもよい収穫状況だと聞いています。ボジョレー地区でも素晴らしい出来のようですね。
ADL はい。とても、とても、とても!よい年です!! 夏は乾燥していて、日照量も十分でしたから。本当に健全な葡萄が収穫できました。でも量はちょっと少ない。

—でもその分、濃くて綺麗な色になりそうですね。
ADL そうです。小粒な葡萄でしたから、色が濃く、凝縮感がありますね。

— 今までの良い作柄の年で、似ているヴィンテージはありますか?
ADL 私はまだ27歳なので、それより以前のことはわかりませんが、2009年と似ているかもしれません。ちょうど私が初めて祖父と共に仕事をした年です。きっと祖父なら、記録に残るブルゴーニュの偉大なヴィンテージとされる1947年や1955年と似ている、という風に言うでしょうけれどね。

— アドリアンさんにとっても記念すべき年だったのですね。幸先がよい、ということでしょう。
ADL いくつかの醸造所を祖父と一緒に回っている最中に、醗酵途中のワインから、カシスや桑の実といった黒い果実の香りがたっぷり香り立っていたのを、よく覚えています。

ボジョレー現地でのヌーヴォーの楽しみ方

— 日本でも、この時期になるとスーパーマーケットやデパートなどで、美味しそうなおつまみと一緒にヌーヴォーが並べられ、いろいろな楽しみ方をするようになりましたが、お膝元ではどんなお料理と一緒に飲むのですか?
ADL ボジョレーは、リヨンのすぐ北にあります。車で45分ぐらいでしょうか。リヨンはガストロノミーの中心地として知られていて、豚肉が特に有名です。だから、サラミなどの豚肉加工品が振舞われることが多いですね。あとは、サン・マルスランなどのクリーミーで優しい味わいのチーズ。それにパンがあれば!

— なるほど。そういえば、現地でも、解禁日直前にやはりカウントダウンをするのですか?
ADL そう、これは「決まり」ですからね。地元に居れば友人や知人と一緒に第三木曜日になるのを待って乾杯しますが、今年は日本に居るので彼らより少し早めに飲めることになります。

今年は解禁日に日本に居るから、友人より早く乾杯できると喜ぶアドリアンさん

今年は解禁日に日本に居るから、友人より早く乾杯できると喜ぶアドリアンさん

— でも、どうして解禁日が木曜日なのでしょう? 週末だったら、もっとリラックスして存分に飲めるような気がしますけれど。
ADL 昔は「11月15日」と日付が固定されていたのです。ただそうすると、例えば15日が日曜日の場合は、その日だけにしか飲めなくなります。でも、木曜日だと、木、金、土、日と、続けて飲めるじゃないですか。いくつか説がありますが、そうやってその週末までずっと楽しめるように木曜日にした、と聞いています。

選べるヌーヴォー

一番右が上級キュヴェのセレクション・プリュス

一番右が上級キュヴェのセレクション・プリュス

— かつては、ボジョレー・ヌーヴォーとボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーの2種類しかなかったのに、最近では「オーガニック」だとか、デュブッフさんのところだと「セレクション・プリュス」のような上級品も出てきているので、選べる楽しみがあると感じています。
ADL 日本の消費者の方たちは、より品質の高いものを望む人が多いので、私たちもそれに応えよう、という結果です。「オーガニック」はドメーヌ・ド・ラ・コルティエールという造り手ですが、本当に素晴らしい有機栽培の騎手です。

— セレクション・プリュスは、何軒ぐらいから選ばれたものですか?
ADL 400軒ほどの個人栽培家と13軒の協同組合と契約していて、そこから本当にトップクラスのものを8軒だけセレクトしました。だいたい毎年6割から8割ぐらいは同じ生産者が選ばれますね。

— ワインになってから、おじいさまと共に試飲して選ぶのですか?
ADL 収穫前に畑を頻繁に見に行くので、葡萄の段階でもおよその検討はつきます。そして、果汁の段階でほぼ決まります。祖父と1日に200とか300の試飲をして、A+からCまで、選別していくのです。口の中が紫色になりますよ。
— 大変厳密な審査ですね!

ボジョレー・ヌーヴォーを楽しんだら、次に試してほしいのは

— ボジョレー・ヌーヴォーは、秋の収穫祭ですし、自然の恵みを愛でるのにとてもよい機会だと思います。ただ、ボジョレーでは、もちろんヌーヴォーではない「ボジョレー」が肝となるワインで、とても魅力的だと思うので、ヌーヴォーとの違いを少し語っていただけませんか。
ADL どちらもガメイという葡萄品種で造っています。ヌーヴォーは、マセラシオン・カルボニックという特別な方法で醸造していますから、フルーティーでシンプルで、タンニンもなく飲みやすいタイプです。一方、ヌーヴォーでないものは、伝統的な方法で10日間ほどきっちり醗酵させていますから、より深みや厚みが出て、質感のある味わいになります。私たちは「ティピシテ」と言うのですが、他のブルゴーニュの赤ワインのように、村ごとの特徴がよく出るのです。デュブッフでは「サンタムール」「フルーリー」「ムーランナヴァン」という3種類のクリュ・ボジョレーを造っています。

— それでは、「サンタムール」「フルーリー」「ムーランナヴァン」、それぞれの特徴を解説してください。
ADL 「サンタムール」は、軽めのクリュで、ボジョレーの一番北にあります。マコネのすぐ南ですね。砂岩、粘土、粘土石灰質などがモザイクのようにある場所で、出来上がるワインはとてもフルーティーです。
「フルーリー」は、フェミニンな香りが特徴で「レーヌ・ド・ボジョレー(ボジョレーの王妃)」と呼ばれています。ボジョレーらしい赤い花崗岩のある土地で、ストレートで上品さがあり、花の香りを感じてもらえると思います。
「ムーランナヴァン」は、「ロワ・デ・クリュ(クリュの王)」と言われています。土壌の上部は花崗岩ですが、下層にマンガンがあるのが特徴です。ボジョレーの中で最もタンニン分が豊かで、樽で熟成させることが多いですね。ゆっくりと熟成できるのもムーランナヴァンならではです。

— そうすると、ボジョレー・ヌーヴォーが気に入ったら、次にまず軽やかな「サンタムール」を試してみて、更には香り高い「フルーリー」に進み、もっと味わいの深いものに挑戦したい場合には「ムーランナヴァン」へ、という順番がよいでしょうか。
ADL はい。是非試してみていただきたいですね。

ワインのオンラインショッピングはフランスでも!?

— 日本では、ワインは持ち帰るのが重たいということもあり、最近オンラインショップで購入する人が増えています。数日前にAmazonのデュブッフ特集を見つけたのですが、情報もしっかりしていていいページだなあ、と思いました。フランスではいかがでしょうか?
ADL 日本はフランスより宅配の技術が進んでいるようなので、とてもよいシステムだと思いますよ。きれいなページですね。実は私も、フランスではネットを使ってワインを買うことが増えました。

— そうですか!? じゃあ、フランスでもオンラインショップが盛況なのですね。
ADL ワインショップでは、直接お店の人と会話してやりとりするという楽しさもありますけれど、ネットでは、写真があったり動画があったり、別の楽しさがありますからね。
— 時代の流れを感じますね。ともあれ解禁日が楽しみです!


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