ヒューグラントになごみ、名画の世界に酔いしれる！
『Re:LIFE～リライフ～』（2015年11月20日公開）アカデミー賞脚本賞の受賞経験はあるものの、今や仕事がない落ち目の脚本家（ヒュー・グラント）が、田舎町で脚本クラスの教師になり、生徒たちと交流を深めていく姿をユーモラスに描いたヒューマン・ドラマ。
プライド高く、落ちぶれた状況に納得できず、他の奴とは違うと心のどこかで思っている主人公にヒュー・グラントはピッタリ。一見嫌われキャラだけど、ちゃんとその人物の弱みや人間味を垣間見せることができるので、いつの間にか愛すべきキャラに。
「こんなところにいる人間じゃない」と思っていた場所が、いつの間にか居心地のいい場所になっていくプロセスも温かみがあっていいし、生徒たちとの会話は映画ネタが満載。でも黒澤明がアメリカで〇〇だと思われているなんて……ちょっとショック!?（公式サイト）
監督・脚本：マーク・ローレンス 出演：ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、Ｊ・Ｋ・シモンズほか
『ザ・トゥルー・コスト ～ファストファッション 真の代償～』（2015年11月14日公開）
低価格で人気のあるファストファッションの抱える問題にスポットをあてたドキュメンタリーです。
アンドリュー・モーガン監督は、ファッションのことを調べるにつれ、ファッション産業は労働依存が高く、貧しい人々が低賃金で縫製をこなし成立している産業だということを知ります。今にも壊れそうな工場で作業中に事故が起こるという危険、衣服の消費が拡大するにつれ、環境汚染も拡大している現実。そんな現実を見せていくのがこの映画です。
安くてお洒落なファストファッションは手軽に購入できるので助かります。でも、この映画が映しだす背景の上で成り立っていることは知っておくべき。購入するときにふと思い出し、衣服を大切にする気持ちになれそうな気がします。（公式サイト）
監督：アンドリュー・モーガン
『FOUJITA』（2014年11月14日公開）
パリに愛された日本の芸術家：藤田嗣治。藤田の1920年代（パリ）と1940年代（日本）、彼が生きた2つの時代を描き、アーティスト藤田の実像とその歴史に迫っていく、名匠・小栗康平監督作です。
最初に目にする場面のあまりの暗さに驚くかもしれません。でも次第にワンシーンワンシーンが絵画のように浮き上がってきます。そうなったらもう『FOUJITA』の世界に入り込んだと言ってもいいでしょう。
破天荒に華やかに過ごしたパリ時代、一方、戦時色が色濃い日本時代。藤田嗣治は常に浮世離れしていて、パリ、日本、それぞれの国での佇まいに明暗はありながらも、その時代を自身の芸術とともに流れるように生きた人なのかなと。「映画はアートだ！」と言える小栗康平監督の素晴らしい作品です。（公式サイト）
監督：小栗康平 出演：オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルドほか
＞お次は３D登山映画と感動的な人間ドラマと80才の強い老婦人の物語をご紹介します。
