グローバル社会の本格化により、中高生の学習内容も変化している。修学旅行にしても単なる体験や交流だけではなく、事前事後の学習を踏まえて実践的な内容へと変わってきているのだ。

その流れを受けて、長年、教育旅行の実績を挙げているJTBが、グローバル教育プログラムを提供している。今回、JTB旅行事業本部・向田淳 教育旅行担当部長と、JTBコーポレートセールス国際交流センター・松村幸博 センター所長に、中高生を対象にした国際交流事業や教育プログラムについて、お話を伺った。

グローバル人材育成への保護者や学校の期待に応えるには

JTB旅行事業本部・向田淳undefined教育旅行担当部長

JTB旅行事業本部・向田淳 教育旅行担当部長

中高生の修学旅行や海外への研修を長く支援してきたことから、多くのノウハウを蓄積してきたJTBが今、最も力を入れているのは「学校の教育目標などを理解したうえで、教育効果の高いソリューションや実践の場を提供することで、学校のパートナーとなること」であると、教育旅行担当部長の向田淳氏は言う。

確かに、グローバル社会の本格化により、教育機関も大きな転換期を迎えている。2020年に予定される大型の大学入試改革に向け、本格的にグローバル教育を導入する学校が全国に広がりを見せていることは言うまでもない。2014年度から始まった文部科学省が進めるスーパーグローバルハイスクール構想も、2016年度はいよいよ3年目を迎える。

こうした変化を先取りして、教育機関との関わり方、提供するプログラムにいち早く改良を加えてきたのが、業界大手のJTBだった。「グローバル人材育成に対する保護者や学校の期待にこたえるべく、生徒たちの様々な実践の場を作ってきました。教育現場の多様なニーズを把握して、その思いを具体的な形にできてきたのではないかと思います」と、向田氏はそう語ってくれた。

アジア現地社会人との討論や企業・農村視察などで培うグローバル視点

JTBコーポレートセールス国際交流センター・松村幸博undefinedセンター所長

JTBコーポレートセールス国際交流センター・松村幸博 センター所長

次に、「グローバル教育を推進する学校のパートナー」 として教育現場のニーズを把握しているかについて、さらに深く聞いてみた。国際交流センター長の松村幸博氏によれば、「現在、グローバル教育の大きな潮流として、『体験+交流型の教育旅行』から『実践+目的達成型の教育プログラム』へシフトしている」と言う。

従来は若者に異国を体験させること、その過程での外国人との交流を通して異文化を理解させ、多様性を受容できる人間つくりに役立つ教育旅行を企画できれば、教育現場のニーズには十分こたえることができたと言う。それがどう変わってきたというのか。そのことを理解するには、CAS in ASIAというグローバルキャリア研修、及びベトナムのミッション型PBL研修に注目するとわかりやすい。

前者のCAS in ASIAは、マレーシアの生徒たちと交流し、グローバルキャリアへの意識づけをすることをプログラムの目的としている。社会人とのパネルディスカッションを通して、働くことの意味やキャリアのグローバルな広がりについて考えるきっかけを得る。企業や農村の視察などもプログラムに盛り込まれており、これらはただの異文化体験や現地の人との交流にとどまる話ではなくなってきている。

そして後者のベトナムで行われるミッション型PBL研修では、レクチャーやフィールドワークで考える材料を仕入れ、その後グループでディスカッションをした後に、最終的にはプレゼンテーションという形でアウトプットまでもっていく。

ここまでくれば、これは教育プログラムというよりも企業の人材育成の発想に近い。「教育界のグローバル人材育成に対する産業界の期待は非常に高く、JTBが提供するプログラムが将来の日本のためになるものにしたい」と、松村氏は話す。

向田氏も同様に、最近の教育プログラムの潮流について次のように語っている。「今後、教育プログラムのカギとなるのは“アクティブラーニング”であり、教育プログラム自体も、日本国内から発生するもの、つまり日本から海外へ行くという一方通行ばかりではなく、アジア圏内で『双方向に人やアイディアが行きかうような教育プログラム』に進化していく」と言うのだ。

アジアの中高生が研究成果を発表する「グローバルサイエンスリンク」

そうした先を見越して、すでに具体的に始まっている代表的なプロジェクトを紹介する。

その1つは、2015年度で5回目を迎えるつくばサイエンスエッジである。サイエンスに関心の高い中高生が、アイディアを競うコンテストとして毎年参加者が増えており、今後の成長が期待されるイベントである。
つくばサイエンスエッジ(2015年の様子)undefined画像提供:JTB

つくばサイエンスエッジ(2015年の様子) 画像提供:JTB

そしてもう1つは、前述の“つくばサイエンスエッジ”の発表の場をグローバルに展開し、日本も含めたアジア地域全体の中高生を対象として2014年からシンガポールで開催しているグローバルサイエンスリンクである。

こうした場を作ったおかげで人材のネットワークとアイディアのコラボレーションがさらに高まり、JTBの教育プログラム自体も同時に進化していくことができるのである。
グローバルサイエンスリンク(2015年度プレゼンテーションの様子)undefined画像提供:JTB

グローバルサイエンスリンク(2015年度プレゼンテーションの様子) 画像提供:JTB


グローバルサイエンスリンク(2015年度ポスターセッションの様子)undefined画像提供:JTB

グローバルサイエンスリンク(2015年度ポスターセッションの様子) 画像提供:JTB


プログラムだけではない教育旅行に求められる「安心」

「世界各国に支店があるので、そのネットワークを生かした安心・安全管理や24時間の電話によるヘルプラインでもサポートしています」松村氏

「世界各国に支店があるので、そのネットワークを生かした安心・安全管理や24時間の電話によるヘルプラインでもサポートしています」松村氏

JTBグループに求められるのは、プログラムの充実だけではないという点を、ここで少し指摘しておきたい。それは長く教育旅行をサポートしてきたことによる『安心』についてである。

グローバルネットワークと危機管理に対応するサービスにおいて、これまで長年培ってきた信頼とそれを裏打ちする実力、実績に関しては、やはり業界最大手ならではのアドバンテージがある。充実したプログラムに生徒たちが集中して参加して高い成果を出すためには、トラブルの予防や、いざという時の早期解決へのアプローチや正しい判断が求められる。教育旅行だけでなく、様々な海外旅行を取り扱ってきたJTBグループであるからこそ、学校からの信頼の厚さがある。

正解の無い時代、「教える」ことより「学習支援」を

教育の現場では、「正解を見つける」より 「正解の導き方」や「多様性の受容」のほうが、むしろ大切さを増していることがわかってきた。つまり、学校教育は「教える」ことよりも「学習支援」にシフトしており、今の時代、教員の役割が変わってきたのである。そうした中で、JTBが提供する教育プログラムは、「新しい教員の役割」を理解し、生徒たちの学びのバリエーションを増やすべく、今後ともさらに多様性を増して進化していくだろう。

向田氏は、教育プログラムの今後について次のように締めくくった。「国際舞台で活躍する人材を育てなければならない。一方、グローバル化した日本国内で活躍する人材も育てなければならない。JTBはこれからも一歩先の未来社会を見据え、学校教育の真のパートナーとなるための進化を続け、グローバル社会を支えていきたい」。松村氏も同様に「これからもアクティブラーニングの要素を多様に取り込んだJTBの教育プログラムに是非注目してほしい」と締めくくった。
「国内外で活躍する生徒たちを育てるために、学校教育の真のパートナーになりたいですね」

「国内外で活躍する生徒たちを育てるために、学校教育の真のパートナーになりたいですね」


地球を舞台に、自然や文化、歴史とのふれあいや人々との価値ある交流をつくり、感動と喜びを提供してきたJTBグループ。グローバル社会で活躍する人材を輩出するために未来志向の教育プログラムの開発に注力して、あらためてグローバル社会を下支えしていきたいという。そんなJTBグループのこれからの挑戦に今後も注目していきたい。

取材協力:JTB

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