体のことを考えなくても、体は動く

歩く

ひとつひとつの関節の動きを指示しなくても、「動きたい」と考えるだけで体は動く

体の中には約260個の関節が存在します。私たちは日常的に、これだけの数の関節を動かして歩いたり走ったりと複雑な動きをしています。では、関節を制御するときに、一つ一つの関節の動きを頭で考えて動かしているでしょうか?

基本的に日常では「ながら動作」です。話しながら歩いたり、周りを見渡しながら階段を上ったり、走るときも信号を見ながら「信号が点滅してる、急げぇ」って頭で叫びながら動きますよね。

体の細部に意識を持っていきながら動くことは、武道やスポーツなど特殊な運動様式の場合は必要かもしれませんが、日常動作の中でそのように行うと頭がいっぱいになってしまいます。

頭では体のことを考えていなくても、しっかりと手足は連動して動き、目標の動作が可能になっているのです。

ある部分が動くと、他の部分も連鎖的に動く

実は体はほとんどがオートマチックに動くようにできています。体は連動していると言うと分かりやすいかもしれません。関節の視点で表現するとこれを「運動連鎖」と言います。

ある部分が動くと、それに影響を受けて他の部分も動き、またそれが連動して…というように、連鎖的に動きが伝わっていくのです。

まず骨の連鎖を見ていきましょう。

立った状態で股関節(太もも)を内側に回します。するとどうでしょうか、膝も内側に捻れて、足首も捻れて、土踏まずが下がりませんか?これが股関節から足までの運動連鎖です。

逆もしてみましょう。
股関節(太もも)を外側に回します。すると、膝も外側に捻れて、足首も捻れて、土踏まずが今度は上がりませんでしたか?

これが典型的な骨格上の運動連鎖です。骨の形と関節の構造からこのように動きが伝播していきます。

次は、重力に対して起こる筋肉連鎖を見てみましょう。
椅子に座った姿勢で体を脱力させて見ましょう。骨盤が後ろに倒れて、腰や背中が曲がりましたね。では、頭の頂を天井に向かって引き上げてみて下さい。

どうでしょうか、勝手に骨盤が起き上がって、腰に軽いアーチ(前弯)ができませんでしたか?これが、抗重力の連鎖です。体は重力に勝って伸びようとすると骨盤の筋肉までスイッチが入って頭の先からお尻まで繋がって動くのです。

そして、この抗重力の運動連鎖が体のつながりを作る一番大切なものになります。

伸びるから連動する

体は概ねオートマチックで動くという話をしてきました。特に歩くなどの基本的な運動の場合に起こります。しかし、この運動連鎖には姿勢の条件があるのです。それが以下の3点です。

  1. 頭が天井に向かって伸びている
  2. 骨盤が起きている(=腰椎の前弯がある)
  3. 体が左右前後に傾いていない(正中にある)

これらが整っている時、体のことは何も考えずに目的動作をしても、体はしっかりと反応して適切な運動連鎖が起きます。
逆に言うとこれらが崩れると適切な運動連鎖は起きないのです。

つまり、頭が垂れて、骨盤が倒れて、体が左右前後に傾いている姿勢では、適切な運動連鎖は起こらず、体に偏ったストレスがかかります。この使い方が続くと、関節や筋肉は疲弊し壊れていきます。これが生活習慣を背景とした多くの骨関節(整形外科)疾患の成り立ちです。

多くの方は、膝や腰、肩が痛くなってから「どこどこが痛い、悪い」といって病院にいきます。しかし、病院に行っても老化といわれ、湿布と飲み薬…。
しかし本当の原因は、この運動連鎖の破綻なのです。つまりは、姿勢なのです。

動きは実は正しい姿勢から起こる、これが大事なのです。適切な運動連鎖は正しい姿勢を条件として起こります。ですから、姿勢と運動は分かれている概念ではなく、本来は一緒のことなのです。心と体もそうですが、人間が勝手に頭の中で概念として分けているだけで、現実は同じものの違う視点というだけなのです。

美しさは適切な運動連鎖から

街行く人を観察していると、20人に1人くらいとても綺麗な歩き方をしている人がいます。歩き方が綺麗だとその人自身もきっと美しい人なのだろうと想像してしまいます。

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」
美しい所作と花を例えた有名なことわざですが、やはり人としての美しさと動きの美しさは関連すると思います。私の視点ですと、適切な運動連鎖が起こっている人の動きを美しいと感じます。漂う雰囲気も凛としています。

美しさを容貌や装飾だけでなく、このような体の繋がりも含めて捉えられると素敵ですね。

皆さんも体のつながりを綺麗な姿勢から作ってみて下さい。




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