Last Dance ~XANADUよ永遠に~
今は伝説となってしまった「XANADU」。なんだかまだ、ドアを開けたらみんなが「おはよう~」って言ってくれるような気がします…
ゴトウは正直、ダンナと違って、そんなに思い入れがあるわけではありませんでした。ママ(ザナゑさん)は特に面白いわけでもイケメンでもなく、フロアだったらArcHとかAiSOの方が広くて楽しいし、実際、「XANADU」に顔を出してちょっと飲んで、荷物だけ置いてArcHとかAiSOに遊びに行くっていうことの方が多かったりして(ダンナが回すときは残るようにしてましたが)
でも、何年かして、そこで何度も会ううちにいろんな人と顔見知りになったり仲良くなったりして、周年パーティにも出させていただいたりして、だんだん、そこが「ホーム」になっていったのです。クラブ感覚で自由に過ごせる(音に身を任せたくなったらフロアに降りたり、疲れたらソファでくつろいだりもできる)のも魅力でした。
あるとき、お店で盗難事件が起こりました(今もあるみたいなので、二丁目のお店の皆さん、十分気をつけてください)。鍵を閉めていたのに、PCや売上げのお金がごっそり無くなっていたのです。ザナゑさんはショックのあまり、行方不明になる始末…(旅に出ていたそうです。戻って来ましたけど)
見かねたお店の常連さんたち(主にDJさん)が、建て直し策を練りました。そして、背に腹はかえられぬということで、流行りの「ちょいエロイベント」をやることになりました。「XANADU」を愛するいろんなDJさんがボランティアで協力し、成功させました(二丁目DJ人気ランキングのトップ10に入るような方がホウキで床を掃除している様を見て、また、40もとうに超えたDJさんがセクシーランジェリー姿(笑)でスタッフをやっているのを見て、胸が熱くなりました)
ゴトウも(もともとそういうイベントやってみたかったというのもありますが)一肌脱ごうと思いました。そこで、レインボー祭りの夜に(レインボー祭りって褌を締めた野郎神輿っていうのがメインの出し物だったりするので)褌とポップなアイドルの曲で盛り上がれるナイト(今までになかった組み合わせ)をやろうと提案し、二丁目でアイドル的な活躍をしている方やいろんな方たちの協力を得て、無事に開催できました(この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました)
しかし、この8月、ザナゑさんが突然、入院し(その間、お店は友人たちが回していました)、そして、9月頭に「XANADU」の閉店が発表されました。ドクターストップがかかるような重い病気が見つかったためでした。関係者は一様に深く悲しみ、なんとかお店を存続できる手立てはないものか…と考えました。しかし、ザナゑさんが抱えているものの重さは個人でどうこうできるレベルではなく…万事休す、でした。
そこから、ファイナルに向けて、怒涛のイベントプランが立てられ、シルバーウィークも、過去にやっていたあらゆるイベントが復活し、いろんなDJさんが回し、毎日のように通う人もいて、お祭り騒ぎが繰り広げられました。わざわざ福島や沖縄から「XANADU」のために駆けつけてくれたDJさんもいました。
そしていよいよ9月27日のファイナルの日。ゴトウはたまたま「酒未来」というパーティ(全国の貴重な銘柄の日本酒がすべて1コインで飲めるというお得なイベント)に出演することが決まっていたので、オーガナイザーさんにお願いをして途中で抜けさせていただき、Donna Summerの「Last Dance」という曲で(定番ではあるのですが、これ以上ラストにふさわしい曲はありません)万感の思いを胸に、ショーをやらせていただきました(友達が「ずるいよ!」と言いながら泣いてたりして、やってよかったなと思いました)。最後の方はもう、若い子とかオイオイ泣いてて、こっちももらい泣きで…。
酔っ払った若い子の行動が面白くてゲラゲラ笑った夜もありました。なんでか電気がつかなくてキャンドルナイトみたいになってた瞬間もありました。アイドルの振付を練習してて間違って近くにいた子にパンチしちゃったこともありました。ショーも何度かやらせていただきましたし、エロ楽しい夜もありました。数々の思い出が一気にフラッシュバックしてきて…。きっとみんな同じ気持ちだったと思います。最後に撮った記念写真は、iPhoneの中で、特別な輝きを放っています。
「ホーム」だったお店、かけがえのない居場所が無くなる、その喪失感というのは、ちょっと…うまく言葉にできないものがあります(未だに怖くてまだあそこの前を通っていません)。特に「XANADU」のようなクラブみたいなお店だと、イベントのキラキラしたハッピーな思い出がフロアに染み込んでいますし、そこでDJデビューしたりイベントデビューした(「青春」だった)人も多いので、よけいに悲しみが深いと思います。
きっとまた、二丁目でザナ友達にまた会って、思い出話に花を咲かせたりすることでしょう。「XANADU」で育った若い子たちが、いつか、ああいう場所を作ってくれたりするといいなあと願いつつ。まだ気持ちの整理がついていないけど(だからこそ、こうして書いていたりします)、あの場所、あの出会いに感謝!と、前を見て言えるようになる日がきっと来ると信じます。