節税対策

海外コンテンツ配信に課税?リバースチャージ方式とは

平成27年10月から、消費税法等の一部が改正され、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供に係る消費税の課税関係の見直しが行われました。今回は、その改正のポイントについてご説明します。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

国外事業者からの「電気通信利用役務の提供」、10月以降は課税取引に

平成27年度税制改正により、消費税法等の一部が改正され、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供に係る消費税の課税関係の見直しが行われました。

電子書籍、音楽、広告の配信などのインターネット等を介して行われる「電気通信利用役務の提供」について、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかの判定基準が、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地から、「役務の提供を受ける者の住所等」に改正されました。

簡単に言うと、これまでは国内の事業者や消費者が、国外事業者から提供を受ける「電気通信利用役務の提供」については、消費税の課税対象外でしたが、今後は課税対象となります。

それに伴い、法人や個人事業主の方については、上記「電気通信利用役務の提供」に係る消費税の処理方法に注意が必要です。

大きくは、「電気通信利用役務の提供」が「事業者向け」か「消費者向け」かによって区分されます。

「事業者向け」については、国外事業者からその役務の提供を受けた国内事業者が申告、納税を行う「リバースチャージ方式」が導入されます。

「消費者向け」については、当分の間、その役務の提供に係る仕入税額控除が原則、制限されますが、国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から役務の提供を受ける場合には、例外的に仕入税額控除が認められます。

リバースチャージ方式は、課税売上割合95%未満の原則課税のみ

まず、今回の改正により対象となる「電気通信利用役務の提供」というのは、電気通信回線を介して行われる電子書籍や音楽、ソフトウェア等の配信のほか、ネット広告の配信やクラウドサービスの提供、電話や電子メールなどを通じたコンサルタントなどが該当します。

その上で、「事業者向け電気通信利用役務の提供」というのは、「役務の性質又はその役務の提供に係る取引条件等からその役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの」とされます。

事業者向けに該当するかどうかは、役務の性質又は取引条件等から判断します。

例えば、インターネット上での広告の配信は、その役務の性質から事業者向けと判断されます。また、取引当事者間において固有の契約を結ぶもので、契約において役務の提供を受ける事業者が事業として利用することが明らかなものは、取引条件等から事業者向けと判断されます。

なお、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者には、役務の提供を受ける事業者に対して、その取引がリバースチャージ方式の対象である旨の表示を行う義務があります。

リバースチャージ方式の対象となった場合、その役務提供の対価の額を消費税の課税標準額に加算すると同時に、仕入税額控除にも加算します。

ただし、課税売上割合が95%以上の場合には、上記の申告をしてもしなくても、納税額は変わらないため、当分の間、経過措置により、リバースチャージ方式は適用されません。免税事業者や簡易課税を適用している事業者も同様に対象外となります。

そのため、リバースチャージ方式の対象となるのは、その課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売上割合が95%未満である事業者のみとなります。

「消費者向け電気通信利用役務の提供」は、登録国外事業者がポイント

「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の電気通信利用役務の提供は、「消費者向け」とされます。

国外事業者から「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合には、経過措置により、当分の間、その役務の提供に係る課税仕入れについては、仕入税額控除が制限されますが、登録国外事業者から提供を受けるものについては、仕入税額控除の対象となります。

登録国外事業者の名称、住所、登録番号等は、順次、国税庁ホームページで公表されますので、そちらで確認することができます。なお、上記の仕入税額控除は、登録番号等が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。

これらの改正は、平成27年10月1日以後行う課税資産の譲渡等及び課税仕入れから適用されます。

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