埼玉県内にいち早く紅葉で秋の訪れを知らせる中津峡
猛暑が終わり、秋が深まるにつれて日本列島は北から季節の彩りをつけるようになります。埼玉県内でいち早く季節の化粧を始めるのが奥秩父です。海抜600メートル前後の中津峡には、荒川上流の中津川の両側にV字形の断崖がせり上がります。十文字峠から約10キロにわたる渓谷は日に日に色彩を変化させます。例年10月中旬から色づき始め、10月下旬から11月上旬にかけて見頃の時期を迎えます。山峡には、モミジ、カエデ、ナナカマド、ブナなどの落葉樹が生い茂り、木ごとに赤や黄色の衣にお色直しをしていくのです。中津峡の紅葉狩りの基点、相原橋
中津峡の紅葉狩りで基点となるのが相原橋付近です。秩父鉄道の三峰口駅から西武観光バス中津川線で50分前後のアクセスです。中津川の澄みきった川の流れが清々しい雰囲気を漂わせる河原には、空から色とりどりの樹木が川面に迫ってきます。しし汁や中津川いもなどの郷土の味覚
紅葉のシーズンを迎えると相原橋駐車場には、臨時のテントが登場します。ここではしし汁や中津川いもなど、他では味わえない郷土料理を楽しむことができます。しし汁は、イノシシの肉としめじ、大根、人参、ネギなどの野菜とともに味噌仕立てで煮込んだスープです。中津川いもは、このエリアでしか採れない独特なじゃがいもです。紅色の薄い皮が最大の特徴です。細長く5センチ前後の大きさのいもは身がしまり、ねばりけがあるので、串にさしても割れたり崩れたりすることはありません。両神山への登山口の中双里
腹ごしらえができれば、中津川の流れに沿って県道210号線を下ります。相原橋から中双里までのバス停1区間は、坂道を上下する数多くの人がすれちがいます。中双里には中津川に架かる小さな赤い橋を渡り、集落を超えたところに白井差峠登山口が設けられ、両神山の山頂まで山登りをすることができます。ヤトウロクの渓谷・市子岩の奇縁
中双里からさらに下ると、ヤトウロクの渓谷、市子岩の奇縁の景観が広がります。道路の脇の市子岩の奇縁のパネルから渓流を覗いてみると川の中に大きな岩が転々とし川の流れに変化を加えています。紅葉を背景に白いしぶきが上がります。大滑のヤシオツツジ・永世戸山の紅葉
坂道を下るにつれて短いトンネルが断続的に現れるようになります。大滑トンネルの上流の河原には推定樹齢約500年のヤシオツツジが育っています。例年4月上旬に艶やかな紅色の花を咲かせるのですが、秋には紅葉の彩りに包まれ主役交代です。中津峡に平行して走る県道210号線は上下一車線ずつの道ですが、永世戸山では路肩が広くなったところがあり、車を停めることができるポイントがあります。満車になっていることも多いのですが、写真を数枚撮ってすぐ車を発進する人が多いようです。奥秩父もみじ湖の愛称で呼ばれる滝沢ダム
中津峡の紅葉狩りで最も標高の低い地点は滝沢ダムです。2011年3月に滝沢地区に完成した流域面積約110平方キロのダムは、埼玉県内最大では最大級の規模を誇っています。秋には堤防はもみじで覆われ、奥秩父もみじ湖の愛称で呼ばれています。相原橋から滝沢ダムを結ぶ県道210号線は、紅葉のシーズンになると車で溢れます。スピーディーな移動はできませんが、渋滞で動けなくなるようなことはあまりありません。秋の彩りを楽しみながら、ゆっくりと車を走らせることができます。
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