世界遺産/アジアの世界遺産

開平の望楼群と村落/中国(4ページ目)

中国と欧米の伝統が融合して生まれた世にも珍しい歴史的高層建築、開平望楼。開平の村落には3000以上の望楼が建設され、1833棟が現存しているが、昔ながらの生活を守り伝える三門里、自力村、馬降龍、錦江里の4村落と20棟の望楼が2007年に世界遺産登録された。今回は竹林や田畑とのコントラストが美しい中国の世界遺産「開平の望楼群と村落」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

開平望楼群、その他の見所

赤坎の騎楼群

赤坎の騎楼群。赤坎には600もの騎楼が現存しており、数々のアーケードが残されている。左に進むと赤坎影視城が現れる

世界遺産に登録されているのはすでに紹介した4村20棟だが、開平には1833棟もの望楼が残っており、美しい村々が存在する。世界遺産の近郊にある主な見所を簡単に紹介しておこう。

■立圓
立圓の半立楼、炯廬、楽天楼、明廬

左から、立圓の半立楼(半はさんずい付)、炯廬、楽天楼、明廬

自力村の3kmほど南西にある庭園で、20世紀初頭に立氏が建設した。中国四大名著のひとつ『紅楼夢』に登場する大庭園・大観園をイメージして設計されており、望楼・橋・池・運河などを上手に配して趣ある庭園に仕上げている。

世界遺産に登録された4つの村のように住人がいるわけではなく、テーマパークのような形で保存されている。

自力村や立圓周辺の塘口鎮には多くの望楼が残されており、美しい村が点在している。自力村や立圓の周辺の村々にも注目してみてほしい。

 

■赤坎
赤坎の騎楼アーケード

赤坎の騎楼アーケード。この辺りは食べ歩きがとても楽しい

350年の歴史を誇る古都。この街の特徴は騎楼と呼ばれる洋風建築で、1階が隣の建物とつながってアーケード商店街を形成している。街の一角は赤坎影視城と呼ばれる映画村になっており、ウォン・カーウァイ監督『グランド・マスター』などで使用されたロケ現場を見学することができる。

■南楼
1912年に潭江の脇に建設された望楼で、対岸を監視する更楼として建てられた。1945年7月、7人の中国人が7日にわたって日本軍と激闘を繰り広げたことから抗日戦争の象徴となり、のちに南楼七烈士の彫刻が据えられた。あちらこちらに見られる銃弾や砲弾の跡が痛々しい。

 

■開平市内
開平の市内にも望楼は残されている。近代的なビルの間に突如現れる望楼もまた風情がある。
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