開平望楼群の構成資産 2. 自力村
葉生居虞の屋上から眺めた自力村。左から養閑別荘、龍勝楼、雲幻楼、安虞。手前の蓮池には合鴨や魚が泳いでおり、周囲ではウシたちがのんびりとくつろいでいる。とてもやさしい景観だ
銘石楼の1階部分。この望楼を建てた方潤文氏をはじめ、アメリカに渡った一族の写真が並べられている
いくつかの望楼や廬は開放されていて内部が見学できるが、いずれの望楼が開放されるかは日時によって異なるようだ。また、村史館では当時の生活の様子が再現されており、開平や自力村の歴史を学ぶことができる。
開平望楼群の構成資産 3. 馬降龍
竹林から突き出した望楼や廬が美しい馬降龍の神秘的な景観。もともとこの集落は毎年の豊作を祈念して「豊歳萌」と呼ばれていたが、1949年に馬降龍に改称した
馬降龍、南安村の培英書室。オーストラリアに渡った黄林徳氏によって1926年に建てられた望楼で、一族の子供たちが書に親しみ、世界に羽ばたいてほしいという願いが込められている
村と村は竹林で接続されており、竹林の上に顔を出す望楼群の景観は自力村とはまた違う趣を持っている。天禄楼、保安楼、河東楼、駿廬、昌廬、苑廬、林廬など、20世紀はじめに建設された7棟の望楼と8棟の廬が残されている。
開平では自力村とこの馬降龍がイチオシで、両者を景区観光バスが結んでいる。これらに加えて、景区観光バスが通過する立圓と赤坎を訪ねれば、十分楽しめるだろう。
開平望楼群の構成資産 4. 錦江里
錦江里の瑞石楼。最上階が少し出っ張っているのがわかる。これにより、壁や床に空いた銃眼から真下への攻撃が可能となる。最上階四隅の特徴的な小塔はインドのチャトリを彷彿させる
錦江楼の屋上。壁や床に空いた穴は銃眼で、ここから矢を放ったり銃撃を行った
望楼は瑞石楼、錦江楼、昇峰楼の3棟しかないが、それぞれがきわめて特徴的だ。
1923年に建てられた9階建ての瑞石楼は開平でもっとも美しく、もっとも高い望楼として知られている。1919年竣工の昇峰楼は7階建てで、フランス人建築家によって設計され、バロック様式の荘厳な造りとなっている。このふたつの望楼に挟まれているのがもっとも長い歴史を誇る錦江楼で、村が襲撃された際、人々はこの衆楼に逃げ込んで盗賊と戦った。